“小さなモノが大きなモノを倒す”という構図にヒーローを見てしまうのは、健全な男児の証拠でしょう。それは今回ご紹介するトヨタの1.6リッターエンジンにも当てはまることです。丈夫で最高のサウンドを響かせ、かつ軽量でコンパクト。ドライビングやチューニングを楽しむ人々を夢中にさせてくれます。デビューから30年以上を経過した今でも熱烈なファンが数多く存在していますが、どうしてこんなに人を惹きつけるのか?今回はレースで鍛えられた名機「4A-GE」の歴史を、その刺激的なサウンドとともに振り返っていきましょう。

 

掲載日 2016/12/16

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”ハチロク”誕生

AE86型カローラレビン(出典:https://www.youtube.com/)

AE86型カローラレビン(出典:https://www.youtube.com/)

4A-Gのお話をする前に、やはり”ハチロク”ことAE86の話をしない訳にはいかないでしょう。

80年代に入り、欧州コンパクトカー勢はFFレイアウトを次々に導入。操縦安定性、車内空間に優れたFFは、「基本がFR」だった大衆車の常識を変えていきました。

そんな中でトヨタは、ハッチバックのスターレットまでもFRというラインナップを構えており、「このままでは時代に取り残される」という事態に陥ります。

そこで、83年にデビューした新型カローラ&スプリンターシリーズは、大衆車には先進のFFレイアウト、スポーツグレードには従来のFR、といういわば「半々」のラインナップで登場しました。

既にFRは少なくとも小型車の世界では淘汰が始まっていて、カローラ系も将来的には全ラインナップがFF化される宿命にあったのです。

AE86 スプリンター・トレノ出典:http://beegfree.org/

AE86 スプリンター・トレノ出典:http://beegfree.org/

そんな中、スポーツグレードであった「AE86型」スプリンター・トレノと、カローラ・レビンはスポーツ性を売りにしたことで、カローラ系”最後のFR”としてデビューしました。

しかし…このAE86が、長野の峠からル・マン24時間レースにまで羽ばたいた”ドリフトキング”という名のヒーローを生み、更にはカリスマ的走り屋マンガで世界的フィーバーを起こすことになろうとは、誰にも想像などつかなかったことでしょう。

そうして”ハチロク”はモータースポーツを楽しむ人々の間ですぐさま人気を獲得しますが、その心臓部こそが1.6リッター4バルブ・DOHCユニット、「4A-GE型」だったのです。

 

4A-GEエンジン

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki

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トヨタのエンジン形式名には、

「ブロック型式」-「ヘッド形式(過給機)( 燃料方式)」

という決まった書式があります。

「4A-GE型」という名前は、4代目のA型ブロック、ツインカムヘッドを意味する”G”、EFIを意味する “E”で構成されています。

同じツインカムでも「4A-FE」という形式があるのですが、”FE”は構造の簡略化&ヘッドのスリム化を行えるハイメカツインカムのこと。

これに対し、ベルト駆動のスポーツ・ツインカムを意味する”G”は、より効率を高めた高回転型エンジンの証でした。

 

 

「4A-G」というエンジンが多くの人々を虜にした理由とは何だったのでしょうか。

魅惑のFRスポーツ”ハチロク”のエンジンとして一般的には知られていますが、なにより「官能的」という以外に適当な表現が思い当たらないサウンド、フィーリングこそが最大の魅力でした。

グループAレースでは最下位のカテゴリーで戦ったハチロクですが、他のどのマシンよりも大音量を轟かせ、それでいて金管楽器のような美しい”音色”を放っていたのです。

 

登場から30年以上経過しても、多くの人々に愛される4A-G。

次のページでは、AE86を駆って戦った”ドリキン”こと土屋圭市選手と、様々な4A-G、そしてそのサウンドについてご紹介します。