かつて日産の量販車種だったサニーには時代により、いくつもの兄弟車が存在していました。その1つがパルサーです。パルサーは特別な存在感があり、相次ぐ兄弟車の統廃合の嵐を潜り抜け、2000年12月まで日本市場に投入されていました。今回紹介するのは、4代目パルサーに設定されていたホッテストモデルです。

©NISSAN

誕生の背景

N14型パルサー 3ドアハッチバック GTI-R

出典:https://www.flickr.com/search/?user_id=51811543%40N08&view_all=1&text=pulsar

スカイラインを開発したプリンス自動車は、リッターカークラスのFF車も開発していました。

しかし開発中に日産に吸収されたため、プリンスブランドで陽の目をみることはなく、日産ブランドで発売されます。

それが日産 チェリーで、日産 パルサーの直接的な先代モデルです。

チェリーは前述したように、プリンス自動車が開発し、その性能やスポーティーさ、人馬一体感は折り紙付き。

プライベーターによるラリー参戦車両になったこともあり、ラリーフィールドでのスポーティーなイメージが付きました。

そのイメージを受け継ぐ後継車のパルサーの初代モデルには、ホットモデルは設定されていません。

しかし、1990年にフルモデルチェンジされたN14型4代目パルサーで状況が一変。

4代目パルサーは開発当初から、WRC参戦を前提としたホモロゲーションモデルをホッテストグレードに設定する予定となっていました。

そして誕生したのが、パルサー 3ドアハッチバック GTI-Rです。

名車たる理由

N14型パルサー 3ドアハッチバック GTI-R リア

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N14型パルサー 3ドアハッチバックは、廉価グレードからラグジュアリーグレード、スポーツグレードまで多岐に渡り展開されました。

その中でもGTI-Rはホッテストモデルとして、突出した性能とメカニズムを備えていたのです。

駆動システムはビスカス式LSDを備えたフルタイム4WDのATTESAで、エンジンはSR20DET型直列4気筒DOHCターボをU12型8代目ブルーバード 4ドアセダン SSS-R(スリーエスアール)から移植。

U12型ブルーバード SSS-Rはラリー競技参戦車として、オーテックジャパンが開発し、NISMOで販売されました。

オーテックジャパンは日産の特装車開発を担当する関連企業で、初代社長は桜井眞一郎氏。

初代から7代目までスカイラインの開発に携わり、「スカイラインの父」として有名なエンジニアです。

そしてオーテックジャパンのメンバーには、桜井氏の仲間のプリンス自動車の面々が配置され、1986年に設立された当時はまさに、プリンス自動車の再来と言っても過言ではありませんでした。

そんなオーテックジャパンから生み出されたブルーバード SSS-Rのパーツを移植したパルサーもまた、ルーツはプリンス自動車の開発車両です。

さらに駆動システムのATTESAは、元々前年の1989年にモデルチェンジされたR32 GT-R用に開発されたもの。

N14型パルサー GTI-Rは、旧プリンス自動車と日産の時代を超えたコラボモデルであり、当時の日産モータースポーツの技術の結晶だったのです。

主要スペックと中古車価格

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日産 パルサー 3ドアハッチバック GTI-R 1990年式

全長×全幅×全高(mm):3,975×1,690×1,400

ホイールベース(mm):2,430

車両重量(kg):1,220

エンジン仕様・型式:SR20DET 直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ

総排気量(cc):1,998cc

最高出力:230ps/6,400rpm

最大トルク:29.0kgm/4,800rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:フルタイム4WD

中古車相場:169~238万円(2019年12月現在)

まとめ

1990年ごろの日産は、R32 GT-Rの人気とレース実績もあり、モータースポーツに力を入れ、スポーツイメージの強いメーカーでした。

肝心のパルサー GTI-Rは狭いエンジンルームにハイパワーエンジンを詰め込んだことでエアフロ―を確保できず、レースでは不本意な結果を残しWRCから去ることになってしまいます。

しかし日本でのホモロゲーションモデルの人気は高く、パルサー GTI-Rも御多分に漏れず人気車で、5代目にモデルチェンジするまで生産されました。

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