1972年から登場したカワサキZシリーズの集大成とも言えるGPz1100。当時の空冷モデルとして最速を誇り、水冷エンジンになったGPZ900Rが登場するまではカワサキのフラグシップモデルでした。わずか3年しか生産されず今では中古車でプレミア価格が付く希少絶版希少車に!そんなGPz1100についてご紹介しましょう。
掲載日:2020/03/15
CONTENTS
歴代Zのノウハウをすべて詰め込んだ究極のZはGPz1100だ!
カワサキZ1は、世界最速・最強を目指して世に送り出され、初代Z1から多くの派生モデルや後継モデルが登場するなど、カワサキのバイク作りの基盤を築いたバイクです。
そして、Z1の誕生から約10年が経過した1983年には、究極のZといわれるGPz1100・A1が登場!
GPZ900Rニンジャのスタイリングを決定づけるモデルとなりました。
そんなGPz1100で注目だったのが、歴代Zの中で究極といえるスペック値で、搭載されたエンジンは最高出力120ps、最大トルク10.2kg-mを発揮。
ゼロヨン10.91秒、最高速度240km/hという速さは世界で1、2を争う動力性能でした。
これほどまでに完成しつくされたGPz1100は、空冷Zシリーズのなかで最もハイパフォーマンスなモデルとして今でも語り継がれています。
カワサキGPz1100とは
GPz1100というモデルは1981年と1982年に生産されたB1/B2型、1983~1985年に生産されたA1/A2/A3型、さらには1995年に登場したGPZ1100ABS(ZXT10E型)が存在します。
また、GPZ1100ABSはZZR1100と同じエンジンを搭載したツアラーモデルで、水冷エンジンが搭載されているため、ZファンやGPZファンからはGPz1100・B型やA型と全く異なるモデルとされています。
小文字”z”と大文字”Z”の違いは?
80年代に登場したGPZシリーズを見れば、『GPz』もしくは『GPZ』とゼットの文字が小文字か大文字で異なる場合があります。
カワサキは空冷エンジン搭載モデルは小文字の『GPz』、水冷エンジンを搭載モデルを大文字の『GPZ』としており、今回紹介するGPz1100が空冷エンジンなので小文字のゼット、水冷に変わったGPZ900Rニンジャや1995年登場のGPZ1100ABSが大文字ゼットとなっています。
フェアリングがなかったGPz1100・B1/B2型
81年/82年に生産されたGPz1100・B1とGPz1100・B2は、それぞれ『KZ1100B1』、『KZ1100B2』とも呼ばれ、GPzシリーズのネイキッドモデルとビキニカウル装着モデルという違いがあります。
また、GPz1100・B1型は、初代Z1の後継モデルZ1000J1に搭載されていた998cc空冷並列4気筒DOHCエンジンを1,089ccまで排気量アップさせ、カワサキ車で初めてフューエルインジェクションを搭載。
初期はBOSCHタイプ オープンループ アナログ フューエルインジェクションが採用されていましたが、B2型ではスロットル開度で燃料噴射量を調整するクローズループ デジタル フューエルインジェクション(d.f.i)に変更されています。
そしてB2型ではエンジンヘッドのバルブリフトを8.3mmから8.7mmに延長。
クランクシャフトも280度位相から288度位相に変更され、最高出力は108馬力を達成し、0-1/4マイル加速11.8秒、最高速度220km/hを発揮しました。
衝撃のデビュー!世界最速の座を奪回したGPz1100・A1/A2型
1983年に行われたモデルチェンジで、GPz1100は『ZX1100』と呼ばれるようになり、83年モデルを『GPz1100・A1』または『ZX1100・A1」、84年モデルを『GPz1100・A2』または『ZX1100・A2』とされています。
A1型はフロントカウルの装着やタンク、シートカウルの形状が変更され、海外ではSwish look(スイッシュルック)と言われるGPz1100特有の流れるようなフォルムがユーザーから大好評!
後に登場するGPZ900Rニンジャにもデザインが継承され、GPZ900Rニンジャが生産終了となる1996年までの約12年間、変わらぬ定番スタイルとなりました。
また、エンジンはバルブリフトを8.7mmから9.5mmまで再び延長。
Z650に装備されたアンダーバケットシム、S2レーサーで培った技術のバスタブ型燃焼室などを採用したことで最高出力を120馬力までアップしました。
そしてGPz1100・A1がマークした最高速240km/hは、1981年まで最速だったラベルダ・Jotaの235km/hを更新し、世界最高速の座を奪回。
これは、もちろん歴代空冷Zシリーズの中でも最速の記録であり、GPZ900Rニンジャが登場するまで最速記録を残し続けました。
カワサキGPz1100・A1型のスペック
1983年式・カワサキGPz1100 A1 | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,320×740×1,275 | |
軸距(mm) | 1,565 | |
乾燥重量(kg) | 244 | |
乗車定員(人) | 2 | |
エンジン種類 | 空冷4ストローク並列4気筒DOHC2バルブ | |
排気量(cc) | 1,089 | |
内径×行程(mm) | 72.5×66.0 | |
圧縮比 | 9.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | [120]/8,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | [10.2]/8,000 | |
トランスミッション | 5速 | |
タンク容量(ℓ) | 20 | |
タイヤサイズ | 前 | 110/90-18 |
後 | 130/90-17 |
まとめ
GPz1100の生産終了後、代わって登場したGPZ900Rニンジャが大ヒット。
GPZの名は一気に世界に広まったわけですが、実はGPZという車名を最初につけたのは何を隠そうGPz1100でした。
そんなGPZシリーズで最も古いのはGPZ1100・B1型で、その後『GPz750』→『GPz750ターボ』→『GPz1100・A1型』の順で登場。
GPZ900Rニンジャが登場する以前からGPZの名は世界的に知られ、GPZ900Rはサブネームである『ニンジャ』をカワサキ車に定着させていったのです。
そのため、GPz1100は最初にして最後の空冷型GPzとなります。
しかも、空冷Zの最後にして最速のZとなれば、数々の伝説を残してきたことに!!
これほどまで多くの称号をもつGPz1100は、絶版カワサキ車の中で今後も次世代へ語り継がれるでしょう。
Motorzではメールマガジンを配信しています。
編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?
配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!