「シルビア S13」と「180SX」は、同じ型番の姉妹車という関係です。これに目をつけたチューニングカー愛好家達の手で誕生したのが、あの有名な「シルエイティ」と「ワンビア」。特に、人気の高かったシルエイティを制作したという方は、多いと思います。このように、型番が同じクルマのフロント周りの交換は、簡単にできるものなのでしょうか。

掲載日:2019.7/11

出典:https://tr.wikipedia.org/wiki/Nissan_Sileighty

シルエイティとは

本題に入る前に、この2種類の車について解説しておきましょう。

まず「シルエイティ」から。

日産の「シルビア S13」と「180SX」は、型番が同じであり、部品の互換性が非常に高く、パーツ流用が簡単に行なえます。

これに目をつけ、修理時の部品代を安くするためや、リトラクタブルヘッドライトを除去することで軽量化を図るなどを目的として考案されたのが、シルエイティです。

シルビアのフロントと180SXのボディを合わせたことから、双方の名をとってこの名前でに呼ばれました。

当時、S14型にフルモデルチェンジしたシルビアよりも、S13型を懐かしんだドライバーが次善策として180SXを購入し、このシルエイティにカスタムして楽しむということも。

しかし1989年当時はメジャーな存在というわけではなく、メディア掲載と言えば、三栄書房から出ていた「Option」という自動車雑誌に、東京都内のとあるショップで作成途中のシルエイティが掲載された程度。

この頃は、まだ知る人ぞ知る車という存在でした。

しかしその後、「ホリデーオート」という自動車雑誌にシルエイティが載ったことや、しげの秀一原作の漫画、「頭文字D」に登場したことによって、知名度が一気に上昇。

現在ではゲームに登場したりトミカになったりと、幅広い人々に普及・認知されています。

そんなシルエイティはS13だけではなく、実はS14やS15とのフロントスワップも可能でした。

しかしS13以外からフロントを流用する場合は、部品構造の違いから板金作業を伴う大掛かりなチューンが必要で、車両変換キットを使用することになります。

そこで、S14、S15からのチューンを考えている方は、車両変換キットを使うことをおすすめします。

ワンビアとは

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その存在が広く普及・認知されているシルエイティに対して、長らくあまり有名でなかったのが「ワンビア」です。

ワンビアはその名の通り、180SXのフロント周りをS13シルビアに移植した車。

シルエイティが修理費用削減や車体の軽量化を目的とした、メリットを求めたチューンによって誕生したのに対し、こちらは「その逆をやったらできた」車です。

というのも、先に述べたようにリトラクタブルライトは修理費用が高く、車重を増加させるので、性能だけに注目するのであれば、搭載するメリットはあまりありません。

そのため、ワンビアは部品代が高価になり、性能が低下するチューンを行っているので、「走りの性能」だけを見れば、シルエイティよりも需要はありません。

そのためあまり人気が出ず、長らく知名度も高くありませんでした。

しかし全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)に出場していた、黒井敦史氏があえてワンビアでの参戦を繰り返したほか、関西出身選手が活躍したことによって徐々に認知されていきました。

こちらもS14、S15シルビアとフロントスワップするのであれば、大幅な板金作業が必要なので、制作する場合はやはりS13型が車体ベースのトップに挙がります。

日産が新車販売したシルエイティ

photo by Colin

シルエイティはあくまでチューンドカーですが、1998年に限定500台で、日産純正のシルエイティが販売されています。

これは名古屋のチューニングショップ「きっずはぁと」が、日産ディーラーに制作を委託したことによって実現したもので、純正シルエイティにはNIライトやサイドステップ、専用ロゴやニスモ製LSDなどが装備されていました。

このメーカー純正シルエイティは、数あるシルエイティの中で商標登録を使用することが日産から認められた唯一の車両です。

そのため現在シルエイティという名前は、日産公式の名称として存在しています。

フロントスワップは簡単なのか

結論から言うと、S13と180SXのフロントスワップは比較的容易です。

ただしS14やS15となると板金作業が必要なので、それほど簡単というわけではありません。

シルエイティやワンビアにするために、必要なパーツは以下の通りです。

  • ボンネット
  • フロントグリル
  • フロントバンパー
  • フロントフェンダー
  • レインフォース
  • ヘッドライト
  • サイドマーカー
  • フォグランプ
  • アンダーカバー

このほかに、ウィンカー、ヘッドライト周りの配線作業も必要となります。

フロントスワップと車検

出典:写真AC

シルエイティやワンビアを制作した場合、全長が短くなったり長くなったりします。

そのため、これら車両を作ったときは公認申請が必要です。

まとめ

シルエイティもワンビアも、ともにシルビア S13と180SXが姉妹車だったからこそ、生まれたカスタム車です。

フロント周りの交換で性能と修理費用が向上するシルエイティに対し、ワンビアはデザイン面を除くと愛好家向けと言ったところ。

しかし、どちらのカスタムも、それぞれ魅力的なことに変わりはありません。

手間は掛かりますが、完成したときの喜びは大きいもの。

自分好みのカスタムを、是非楽しんでください。

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