1988年に発表されたチゼータ V16Tは、名前の通りV16ユニットを搭載し、1980年代以降の「第二次スーパーカーブーム」を支えた1台です。その、カウンタックに酷似したスタイリングは、デザイナーが共通しているがゆえのものでした。
ビバリーヒルズに姿を現したチゼータ V16T
1988年にアメリカのビバリーヒルズで初公開されたチゼータ V16T(チゼータ モロダー V16T)は、文字通りの「スーパーカー」でした。
正式名称の「モロダー」は、チゼータの共同出資者だったミュージシャン、ジョルジオ・モロダー氏の名前が由来です。
ボディはアルミニウム製で、ランボルギーニのカウンタックと酷似したデザインが特徴的ですが、それもそのはずで、 V16Tのデザイナーはカウンタックを担当した、マルチェロ・ガンディーニ氏。
ガンディーニ氏はかつてランボルギーニ ディアブロ用にデザインを描いており、V16Tのデザインには、当時のランボルギーニの親会社、クライスラーに却下された第二案が採用されたと言われています。
V16Tという名前が意味する通り、6.0リッターのV型16気筒エンジンが、横置きミッドシップで搭載されており、最大出力550ps、最大トルク55.0kgmを発揮する、スーパーカーに相応しいパワーユニットです。
このV16Tの生産が開始されたのは1991年で、当時は80万ドル(約1億円)で売り出されていましたが、共同出資者だったモロダー氏が離脱したことや、不景気の影響でチゼータは倒産。
しかしチゼータの創始者だったクラウディオ・ザンポーリ氏は、生産設備やパーツをアメリカへと移し、そこで2003年に新会社の「チゼータ・オートモービル・USA」を創設します。
そこで現在もV16Tは受注生産され続けており、2006年時点では、新車価格64万9000ドルで販売されています。
また、日本では、1990年代初期に2台輸入されたV16Tのうち、1台が河口湖自動車博物館に保存・展示されています。
チゼータ V16Tの基本スペックと中古車価格
チゼータV16T 基本スペック
全長×全幅×全高(mm):4440×2060×1115
ホイールベース(mm):2690mm
重量(kg):1700
エンジン:90度V型16気筒 DOHC
排気量(cc):5995
最大出力:550ps/8000rpm
最大トルク:55.0kgm/6000rpm
駆動方式:横置きミッドシップRWD
トランスミッション:縦置き5速MT
中古車価格:不明
まとめ
かつて生産を終了したものの、拠点をアメリカ、カリフォルニア州に移し、チゼータ V16Tは現在も生産され続けています。
バブル期に展開されたスーパーカーの中で、数少ない今でも生産中の1台であり、新車を入手できる唯一の車だと言えるでしょう。