2016年4月9.10日に岡山国際サーキットで行われた「スーパーGT 第1戦 岡山300kmレース」のレースレポートです。500クラス、300クラス共に今年一年のシーズンを占う開幕戦、どのようなレースだったのでしょうか?
『2016SUPER GTが開幕!3連覇を狙うMOTUL AUTECH GT-Rが勝利!』
2016年のSUPER GTが9日、岡山国際サーキットで開幕。2日間で2万8600人が来場し、今シーズン最初の国内最高峰ツーリングカーレースを楽しんだ。
例年、雨に見舞われることが多かった開幕戦だったが、今年は金曜搬入日から3日間通して晴天に。日曜の決勝時には一時気温24度まで上昇。春を超えて初夏を思わせるような陽気になった。
GT500クラス 予選
9日(土)に行われた公式予選。レクサス、日産、ホンダの3メーカーで争われるGT500クラスは今年も激戦の予選に。その中で速さをみせたのが、2年連続で開幕戦を制している#37Keeper TOM’S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮)だった。
ロシターが1分19秒130でQ1を突破すると平川が終了間際に渾身のアタックを見せ1分18秒126を記録。昨年に引き続きポールポジションを獲得。2番手に#6WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)が入りレクサス勢がフロントローを独占。3番手に#1MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が続いた。
500クラス 決勝
決勝では、スタートから#37 ロシターがリード。後続が抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げている間に、10秒近いリードを築き、早くも開幕3連覇に向け順調に周回を重ねていった。しかし、今年は#37の独走を許すまいと追い上げてきたのが#1松田/クインタレッリ組。スタートドライバーのクインタレッリが、序盤こそ様子見の展開だったが、15周を過ぎたあたりから追い上げを開始。まずは#6のカルダレッリに接近し28周目のヘアピンでパス。その後も7.7秒先のロシターを猛追。あっという間に追いつき、GT300との混走も使い仕掛けにかかる。
ちょうどこのタイミングでロシターがピットイン。平川亮にドライバー交代。この間にクインタレッリは1分22秒台を連発しプッシュ。自身のピットストップ時間を稼いで39周目にピットイン。松田次生に交代を果たした。
チームも完璧な作業で40.8秒で送り出し#37の逆転に成功。その後も松田が安定したペースで後続を引き離し独走状態へ。前半までのレクサスペースから一転し、後半は日産GT-Rが有利になっていく。
さらに4番手につけていた#46S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代勝正が見せ場を作る。GT500のデビュー戦にも関わらずアグレッシブな走りをみせた。まずは#6の大嶋に近づくとGT300の混走も使いヘアピンで果敢に並びかけていく。1度目はリボルバーでの切り返しで交わした大嶋だが、2度目のチャレンジでは千代も粘りサイド・バイ・サイド。ここでもなんとか大嶋が耐える。しかし千代も諦めずに再度挑戦。52周目に突破口を開き、オーバーテイクに成功した。
その後もペースを緩めることなく、今度は#37平川に接近。当初は10秒近くあった差を数周でつめ、残り10周で背後に。一方の平川もGT300を巧みに使い対処。並びかける隙を与えない。千代は無心になって前を追いかけることだけに集中しており、時にはダートにタイヤをはみ出すほどの気迫あふれる走りをみせ、ファンを魅了。最後まで諦めずに攻めきったが、今回ばかりは平川攻略は叶わなかった。
結局、後半は独走で公式映像にもほとんど映らなかった#1松田/クインタレッリ組が優勝。3連覇に向けて好スタートを切った。
一方、今回はホンダ勢が大苦戦。予選では下位5台に沈み、決勝では#100RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也)が一矢報いる走りで10位入賞。ハイブリッド非搭載となり、重量が軽くなる分、速くなるのではないかという話もあったが、パッケージ全体でのライバルよりパフォーマンスが遅れているのが最大の原因のようだ。
GT300 クラス 予選
今年は参戦マシンの大半は入れ替わり、どのマシンが開幕戦を奪取するかに注目が集まった。
予選Q1では、#61SUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝がトップタイムを記録。
また、Q2進出をかけた14番手争いは激戦となり、全車ギリギリまでアタックを試みるも最終的には、#2シンティアム アップル ロータスが0.142秒上回りQ2進出を果たした。
予選Q2は、終盤にマザーシャシー勢の#25VivaC 86MCを操る土屋武士が、渾身のタイムアタックを決め、トップタイムを0.038秒!塗り替えポールポジションを獲得した。
GT300 決勝
スタートでは土屋武士がGT3勢を押さえ込むが、2番手の#65 LEON CVSTOS AMG-GTを駆る黒澤治樹がつけ、いきなり86MCとメルセデスAMG GT3のガチンコバトルが展開。会場に詰めかけたファンもGT500のバトルと並行して注目していた。
前半は両ドライバーによる白熱した攻防戦で、逆にこう着状態となったが、#65黒澤が先にピットに入り、クリアなところでタイムを稼いで逆転するアンダーカットを決断。30周を終えたところでピットインし蒲生尚弥に交代。これに#25土屋もすぐに対応し翌周にピットイン。こちらは松井孝充が乗り込んだ。
ピット出口では#25の松井にアドバンテージがあったが、1周先に作業を終えタイヤも温まっている蒲生が一気に差を詰め、34周目のアトウッドコーナーでインを突き逆転に成功。その後は少しずつ松井との差を広げていき、逃げの展開に持ち込んで行った。
トップ浮上以降は2位以下に近づく隙を与えず、最後まで堅実な走りをみせ、そのままトップチェッカーを受けチームとして嬉しい初勝利を獲得。2位に#4グッドスマイル初音ミクAMG GT3(谷口信輝/片岡龍也)が入り、メルセデス勢が新車での初レースでワンツーを独占。3位には、こちらも新車で臨んだ#7 Studie BMW M6 GT3(ヨルグ・ミューラー/荒聖治)が食い込み、メルセデス勢の表彰台独占を阻止した。