車のエンブレムデザインは、時代とともに変わりゆくものです。一方で、デザインは変わってもエンブレムの役割は変わりません。そこで今回は、エンブレムの役割とデザインの変化について、トヨタ自動車の例を挙げながら解説を行います。
車のエンブレムに秘められた想い
自動車のボンネットやフロントグリルでキラリと輝くエンブレム。
車のエンブレムは、その車がどんな車であるのかを示しているものです。
大抵のクルマには自動車メーカーのシンボルとも言えるロゴマークが配置されていますが、車種によっては専用のエンブレムが用意されることも。
今回は、そんなエンブレムに込められたメーカーの想いを、トヨタ自動車を例に紐解いていきたいと思います。
エンブレムは時代とともに変化する
現在のトヨタのエンブレムは、1989年に会社創立50周年記念に発表されたエンブレムです。
遠くからでも「トヨタのクルマ」だとわかること、そして他メーカーのクルマと並んだときに、いっそう輝いて見えるような強い個性があることをテーマにデザインされ、企画から約5年もかけて生み出された一大プロジェクトでした。
左右対称に組み合わされた3つの楕円は、トヨタの頭文字にあたる『T』を表すと同時に、クルマの象徴的な部品とも言えるステアリングホイールも表しています。
また、外環の楕円はトヨタを取り巻く”世界”をイメージしているそうで、言われてみればモルワイデ図法のような形をしています。
この頃からすでに、トヨタ自動車は海外での認知度も高まっていた為、その点も考慮したエンブレム作りが重要であると考えられました。
楕円を描く線の太さに強弱があるのは、毛筆からヒントを得たそうで、グローバルに世界各地で使われながらも、日本らしさを感じられて存在感のあるマークを目指したそうです。
ちなみに、会社創立当初の1935年は、まだ”トヨタ”ではなく豊田(とよだ)自動織機製作所の自動車部という扱いだったので、その点をローマ字のTOYODAで表しており、デザインももっと角ばっていました。
82年前の今日、カタカナの「トヨタ」を円で囲んだ旧トヨタマークが採用されました。
先代ロゴへの感謝を忘れずに、今日一日はTwitterアイコンを旧マークへ変更いたします!#トヨタ #toyota pic.twitter.com/s5HBt9V14r
— トヨタ自動車株式会社 (@TOYOTA_PR) September 25, 2018
その翌年の1936年に一般公募され、カタカナの”トヨタ”を丸で囲んだマークが採用されて、上掲のマークに変わるまで、53年もの間、社章として親しまれます。
ちなみにトヨダからトヨタへとなった背景には
1. 商業美術的に見て、濁点を付けないほうが、さわやかであり、言葉の調子(音の響き)も良い
2. 画数が8で縁起が良い
3. トヨダ(豊田)という人名から離れることにより、個人的企業から社会的存在への発展の意味を含める
という理由があるそうです。
クラウンのエンブレムの変遷
トヨタを代表する車種であるクラウン。
クラウンには初代からモデルチェンジの度に、専用の王冠エンブレムが装着されています。
初代クラウン(1955年)は、金色とワインレッドの「まさに王冠」といったエンブレム。
現在のように王冠のマークが図案化されるようになったのは、2代目クラウンからでした。
そして、トヨタ初のコネクティッドカーとしてデビューした現行の15代目(2018年)クラウンのエンブレムは、シルバーをベースに始動中は青色に光るギミックが施されています。
まとめ
エンブレムはその車がどこの自動車メーカーの製品であるかを示すものであることは、昔から変わりません。
しかしデザインは時代のトレンドなどに影響を受けて変わるもの。
近い将来、各自動車メーカーのエンブレムも新しいものが採用されるのでしょう。
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