日本初の市販ミッドシップレイアウト車として知られるAW11型の初代MR2。一昔前のスーパーカーのような低くウェッジシェイプなデザインに加えて、軽量ボディと4A-GEエンジンの組み合わせによる軽快な走りから、今でも人気の高い一台です。そんな、AW11の購入と所有のツボを、現役オーナーへの取材を参考にまとめました。

Photo by Ken.I

AW11とは

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トヨタ自動車が1984年から1999年にかけて製造していたミッドシップスポーツカーのうち、1989年までに製造されていた初代MR2がAW11です。

80年代を思わせるウェッジの効いたボディにはリトラクタブルヘッドライトが備えられ、いかにもスポーツカーという印象。

市販車初のミッドシップというエポックメイキングな車である事に加え、名機4A-GEエンジンを軽量ボディに搭載するなど、当時のトヨタの本気度が垣間見えます。

1984年に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、2代目であるSW20型MR2が登場するまでの6年間生産されました。

また、1997年から連載されていた山口かつみ氏の漫画「オーバーレブ!」で、主人公の愛車として登場し、再び脚光を浴びることとなります。

現在ではヒストリックカーの域に入ってきており、旧車イベントでも見かけるようになりました。

ちなみにAW10という1.5リッター3Aエンジン搭載のグレードも存在しますが、中古市場では数年に一度しか出てこないような希少車です。

こちらが欲しい場合は、かなり根気よく探さなければ見つからないかもしれません。

AW11の魅力

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AW11オーナーは、なによりもそのスタイリングに惚れ込んで購入したという方が多いのではないでしょうか。

大衆向けスポーツカーとは思えない、地を這うような低く角の立った車体に、カウンタックや356BBといったスーパーカーを連想させるリトラクタブルヘッドライトが、後にも先にも日本車では存在しないデザインが、唯一無二の特徴です。

この車輌特有の挙動とハンドリング特性も、コツをつかんでしまえば軽快な走りを楽しむことが出来るでしょう。

スペック

トヨタ・MR2 (AW11)
全長×全幅×全高(mm) 3,950×1,650×1,250
ホイールベース(mm) 2,320
車両重量(kg) 1,080
タイヤサイズ 205/55R15 87V
エンジン種類 直列4気筒DOHC16バルブ ICスーパーチャージャー
排気量(cc) 1,587cc
最高出力(PS/rpm) 145/6,400
最大トルク(kgf・m/rpm) 19.0/4,400
トランスミッション 5速M/T
駆動方式 MR

AW11の中古車価格と注意点

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ヒストリックカーの領域に入ってきていることもあり、乗り出し価格は100万円程度がほとんどです。

走行距離も年式相応に伸びているものが基本で、15万キロ以上の車体もザラな印象。

当然ながら、低走行車は価値が高くなっているので、200万円ほどする車両もちらほらと出始めています。

購入時に見るべきポイントとして分かりやすいのは、バンパー裏やエンジンルーム内の錆付き具合です。

経年によるゴムの劣化で雨漏りをする個体が多く、水が溜まることで車体やフレームへの錆が発生していることもあるので、しっかりとチェックしましょう。

また、ボディータイプにはノーマルルーフとTバールーフの2種類、エンジンタイプにもNAエンジンとスーパーチャージャー付きの2種類が設定されています。

自分が欲しいのがどのタイプなのか、しっかりと事前に確認しておきましょう。

AW11の持病

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前述したように、ゴム部品の劣化による雨漏りは現存する多くの車体に見られる症状です。

特に開口部が広いTバールーフの車輌においてはその傾向が顕著にみられるので、保管環境と併せて注意しましょう。

また、テールランプのシール部から水が入り込み、最終的にトランクに穴が開くという症状も定番トラブルです。

購入する際は、リアトランクを確認することをお勧めします。

駆動部品では、トランスミッションのシンクロが弱く、ひどくなるとミッションのオーバーホールが必要となります。

既にオーバーホール済みであれば、多少相場より高くても、トータルで見ると安い可能性もあるでしょう。

写真の様に、内装が割れている車輌も増えているので、年式を考えると仕方ありませんが、どこまでの状態にこだわるのか予算と相談して考えることも必要です。

AW11の購入後の注意点

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AW11には、全車パワーステアリングが搭載されていません。そのため、初めて乗る際には、ステアリングの重さに驚くかもしれません。

走り出してしまえばそこまで気にならないのですが、駐車の際などはやはり現代の車と比較するとかなり重く感じるでしょう。

また、スポーツ走行をする場合は、ミッドシップレイアウト故の挙動に手を焼くかもしれません。

ジムカーナ場やエスケープの広いサーキットなど、安全な場所で練習をすることをお勧めします。

当然ですが、年式が年式なので、現代の車のように乗りっぱなしではなく、小まめなメンテナンスが必須となります。

部品に関しても純正供給が無くなっている場合も多いので、専門店など何かあった際には頼れる場所を見つけておくことが重要です。

まとめ

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登場から30年以上経過し、既にヒストリックカーの域に入りつつあるAW11。

今後、相場価格は上がる一方なのは確実で、5年後には最低でも200万円なんて事になっていてもおかしくはありません。

AW11特有の個性的なスタイリングに憧れていた方も多いかと思いますが、憧れを自分の手にするチャンスは今が最後かも⁉

気になっている方は、今こそ思い切って中古車を見に行ってはいかがでしょうか。

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