1/13〜15まで開催されたチューニングカーの祭典「東京オートサロン2017」今回ご紹介するのは、クルマが好きで好きでたまらない専門学生たちによるオリジナルカーたちです。クオリティの高さ、独創的なアイディアには業界からの熱い注目が注がれています。学生たちによって作られた渾身の1台!ぜひ、ご注目ください!
日本自動車大学校(NATS)
NATS TYPE 175-R
毎年クオリティの高いカスタムカーを持ち込んでいる日本自動車大学校(NATS)。
3年生による卒業制作で、デザイン・設計・製作までをすべて学生たちが行っています。最終目標は「卒業旅行」で、そのために公道走行が可能というのも大きなポイントでしょう。
まずはこのクルマ、一見してベースが分かる人がどれだけいるでしょう?
トヨタのセラをベースにフロントセクションを延長、なんとグループCカー「トヨタ・ミノルタ88C-V」を再現。
車体はFRPでベニア板を挟み込んだコンポジット素材。コストは最小限に抑えられているんですね。
この美しいリアウイングも”芯”の部分はベニア板!侮るなかれ、1970年代には由良拓也さんも同じ手法でレースカーを加工していたんですよ。
更なる驚きはエンジンルーム。フロントセクションはフレームごと延長されており、ラジエターが横置きになっています。
TRDのロゴはペイントによるお手製、というニクい遊び心も効いています。
個人的にウケたのがこのリザーブタンク。バイスサワーが入っているよう…いやいや冷却水ですね。
「楽しんで作っている」ことがビシビシ伝わってくる1台。作った学生さんによるプレゼンも卓越していて“接客も勉強”という意識が伝わってきました。オートサロンは貴重な勉強の場なんですね。
NATS Charger Daytona
映画「ワイルドスピード」のダッジ・チャージャーにインスパイアされたこのクルマ、またしてもベースの面影がありませんが…正体はなんとトヨタ ソアラです。
アメ車特有のボディラインが見事。鉄芯で作ったフレーム上から鋼板を貼り、パテで表面処理する製法が採られています。
テールランプはチャージャーの”本物”をオークションで探し出して装着!最も高価な出費だったそうです…。
それにしてもNATSのクルマはどれも塗装が美しいですね。
まさに「神は細部に宿る」、細かいラインの処理も見事。学生さんによる手作りという事実も驚きですが、何よりベース車への愛がなければここまで出来ないでしょう。
NATS CP-7 SA66R
道行く人から「かわいい!」という声が多く聞かれたこのクルマ、ベースはカプチーノです。ルーフにしか面影がありません。
1980年代、デイトナ24時間耐久レースなどで活躍した「RX−7 IMSA」がモチーフ。
鋼板を溶接して整形しているそうですが、美しいエッジの部分はパテを盛って延々と磨いた賜物だそうです。
最も苦労したのは、やはり複雑な形状のオーバーフェンダーとのこと。
リア周りも見事な造形。スポイラーの縁は当たり前のように綺麗な曲面ですが、曲げたスチールパイプの上からパテで整形されているのです。
細かいこだわりの積み重ねが”本物感”を生んでいるんですね。
NATS AMG J-CLASS
高級クロスカントリー「G63 AMG 6×6」をスズキ・ジムニーで再現してしまったこのクルマも圧巻でした。
6輪仕様はなんとジムニー2台を結合することで実現。
予算の都合で6WDは実現出来なかったそうですが、荷台が増えているだけでも充分な機能でしょう。
コンパクトなベンツのクロカン、実に魅力的でした。
本家が出しても日本では流行りそうな予感がします。
NATS MRP
「あ!デ・トマソ・パンテーラが停まっている!」と思ったら、こちらはMR2がベースでした。
サイドウインドウ後方のインテークも鋼板で自作されています。
相当デフォルメされているのですが、それにしても良く纏まったデザイン。
ウィンドウとルーフ以外、すべてのフォルムがMR2から作り変えられています。
ちなみにNATSのクルマたちは1台あたり100万円の予算が原則で、6ヶ月ほどの歳月をかけて完成させているとのこと。
プロが向き合う”予算と納期”を、身をもって学ぶ貴重な体験でもあるのです。
まだまだ登場する学生たち渾身の力作たち!次のページでは、もっと細部にこだわったクルマが登場しますよ!