今も根強いファンが多く、中古車市場でも高値で取引されているAE86。その心臓部に搭載されていた4A-Gは軽量・コンパクトでサウンドも申し分なく、チューニングベースとしても高いポテンシャルを秘めたエンジンでした。実はそのチューンモデルとして5A-G、7A-Gが存在することを知っていますか？

トヨタ・スプリンタートレノ(AE86) / Photo by orion

4A-Gエンジンとは

Photo by halfrain

1983年、FFレイアウトが欧州車の主流となっていた頃、カローラ/スプリンターシリーズのFRスポーツグレード AE86がデビューしました。

このAE86はスポーツ性を売りにした、“最後のFR”として販売されたモデルであり、その心臓部として搭載されていたエンジンが、4A-Gです。

排気量は約1,587cc、直列4気筒DOHC16バルブの自然吸気エンジンである4A-Gは、ヘッドにアルミ合金を採用。

バルブやピストンといった部品にも軽量パーツを用い、徹底した軽量化が図られました。

この徹底ぶりが功を奏し、4A-Gは先代の2T-G型より29kgも軽いエンジンとして完成。最高許容回転数7700rpm、最大出力130psを達成します。

また可変吸気システムのT-VISを採用することで、ドライバリティの向上も図られました。

そして1984年には横置き仕様の4A-GELUが登場し、ミッドシップ車のMR2へ搭載。1986年には縦置きスーパーチャージャーモデルの 4A-GZEがデビューしました。

●型式：4A-GEU
●主要搭載車種：AE86型カローラレビンGT
●発表年月：1983年5月
●配置・気筒数：水冷直列4気筒・縦置き
●バルブ駆動機構：DOHC・ベルト
●気筒あたりバルブ数：4（吸気2／排気2）
●過給器：なし
●燃焼室形状：ペントルーフ
●総排気量：1587cc
●ボア×ストローク：81.0×77.0mm
●圧縮比：9.4
●最高出力：130ps／6600rpm
●最大トルク：15.2kgm／5200rpm
●燃料供給装置：EFI-D（電子制御燃料噴射）
●燃料・タンク容量：プレミアム・50L
●燃費：13.0km／L（10モード・GTアペックス）

初期型はレギュラーガソリン仕様でしたが、1989年にAE92型カローラレビン／スプリンタートレノに搭載された後期型は、ハイオクガソリン仕様となっています。

そして1991年には1気筒あたり4バルブの16バルブだった仕様を、1気筒あたり5バルブの20バルブヘッドへと進化させ、可変バルブタイミング機構 VVTを装備して、より出力を向上させました。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB4A-GE#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF_%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%B9_G_Type(%E5%89%8D%E6%9C%9F%E5%9E%8B)_%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3.JPG

  • 型式:4A-GE
  • 搭載車種:AE101型カローラレビン
  • 最大出力:160ps/7,400rpm
  • 排気量:1,587cc
  • 内径×行程:81.0mm×77.0mm
  • 最大トルク:16.5kg・m/5,200rpm
  • 圧縮比:10.5
  • 燃料:ハイオクガソリン

最終的に4A-GはAE111に搭載されて、排気量1587cc、許容回転数7800rpm、最大出力165psへと進化。エンジン出力と燃費の向上が図られ、より扱いやすくパワーの出るエンジンへと改良されました。

4A-Gをチューンして誕生したエンジンたち

出典：https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0d/Toyota_Corolla_Levin_001.JPG

そんな軽量・コンパクトな4A-Gの内部行程のアップやシリンダー内径の拡大、7A-FEエンジンとの組み合わせなどを駆使し、独特のチューンが施されたエンジンが存在します。

それらは5A-Gや5.5A-G、7A-Gと呼ばれており、おもに排気量のアップを図り、出力を向上させることを目的にチューンされています。

5A-G、5.5A-G

5A-Gは、4A-GにHKS製のクランクシャフトを採用することによって、内部行程を83 mm×77 mmへと伸ばし、排気量とトルクを向上させたエンジンです。

もともと1,587ccだった排気量は、約1,710ccまでアップし、低中回転域でのトルクも向上していますが、その一方で高回転域ではストロークをいじらず、チューンされた4A-Gほどは回らなくなっています。

また、5A-Gのシリンダー内径を拡大をした5.5A-Gと呼ばれるエンジンもあり、排気量は約1,796ccへと向上。5A-G以上の出力を発揮しますが、こちらも高回転域ではチューンされた4A-Gほどは回りません。

7A-G

7A-Gとは、4A-Gのシリンダーヘッドに7A-FEエンジンのシリンダーブロックを組み合わせたもので、排気量は1,762ccまでアップ。ストロークも81 mm×85.5 mmまで伸びています。

同エンジンは、もともと1,600cc仕様として開発された4A-Gのボア・ストロークをアップさせるだけでなく、5A-G、5.5A-Gと比べてエンジンが壊れる心配が少なく、部品代もかからないというメリットがあります。

こちらも低中回転域でのトルクがアップし、最大出力も向上していますが、高回転域では回らず、エンジンの高さがアップすることから、搭載位置を下げてフライホイールとタイミングベルトを交換しなければなりません。

まとめ

トヨタが生んだ名機 4A-Gは、その軽量・コンパクトな仕様と心地よいエンジン音、スムーズに高回転域まで回せることや、高いチューニングポテンシャルなどによって、今も多くのファンを魅了し続けています。

エンジンの載せ替えが簡単な点も4A-Gの特徴であり、AE86にAE92やAE111の20バルブ4A-Gを搭載するというカスタムも人気です。

今となっては速いエンジンではないかもしれませんが、4A-Gは低回転域でもエンジンの出力を活かして走ることができるので、ドライブを楽しむという点でも優れたエンジンだと言えるでしょう。

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