’70~’80年代には、リアバンパーにゴム製ストラップを取り付けている自動車が目立ちました。このゴム製ストラップはアースベルトやアースゴムと呼ばれ、車体に帯電した静電気を地面に放電する働きがあるとされていました。しかし今では、装着車をめったに見かけることはありません。いったいどうしてなのでしょう。

掲載日:2019.8/30

出典:http://braith.co.jp/

アースベルトとは?

アースベルトは、概ね100cm程度のゴム製ストラップにハーネスがついたもので、車体に帯電した静電気を地面に逃がす働きがあるとされていました。

ストラップ内部には導線が内蔵されており、アースベルトの取り付け部付近からハーネスとして出ています。

また、アースベルトの取り付け部はリアバンパー付近で、ハーネスは車体金属部に接触させていました。

そして1970~80年代に大流行し、実用品でありながら、ファッションアイテムとしても人気でした。

そんなアースベルトを装着するユーザーは、車内でアマチュア無線を楽しむ方や、カーオーディオを楽しむ方、ドアに触れたときの静電気に悩まされている方など、様々でした。

アースベルトは必要なかった?

トヨタ MZ20 ソアラ エアロキャビン /出典:http://www.grocerygettercrew.com/home/toyota-soarer-aero-cabin/

アースベルトが流行した時代、アースベルトはかなりの高評価を得ていました。

アマチュア無線愛好家は車体周辺の電波状況が改善されたと言い、カーオーディオ愛好家はオーディオノイズやラジオの電波ノイズが減少したと言います。

しかし、静電気が減少したとの声はあまり聞かれませんでした。

その後1985年ごろから、アースベルトは静電気対策用品としては、次第に人気に陰りが見え始めます。

その理由は代わりの静電気対策グッズに人気が集まったためで、それがポール型アンテナを模したアイテムでした。

しかしポール型アンテナタイプの静電気対策グッズも、現代ではあまり見かけません。

ポール型アンテナは元々、車載テレビや自動車電話のアンテナでした。

しかしテレビアンテナはプリントフィルム型へ、自動車電話は携帯電話に進化したことで、ポール型アンテナそのものが廃れたためと考えられます。

車載型静電気対策グッズは以上のような変遷を経て、現在ではほぼ見なくなっています。

この理由は、実はアースベルトやポール型アンテナタイプの放電アイテムには、大した静電気放電効果が確認できなかったからだそうです。(某アースベルト製造メーカーによる)

現代の自動車の静電気対策

©️Motorz

現代の自動車には、元々静電気対策装置が装着されています。

それが、タイヤです。

タイヤに含まれるブラックカーボンは電導率が高く、ただタイヤを装着して走っているだけで、自然と車体に帯電した静電気が放電されているそう。

しかも最近では、車体の静電気でラジオにノイズが入るという苦情は聞かれません。

これはアンテナがリアガラスにプリントされ、チューナーがデジタル式になったためと言われています。

金属製ロッドアンテナとアナログチューナーの組み合わせで、しかも自動車という移動体で聞くのであれば、受信状態が一定になるはずもなく、ノイズも多々入るのは当然です。

また、ドアの静電気のクレームが聞かれなくなったのは、静電気パッドやキーホルダー型静電気除去アイテムが発達したからです。

しかしアマチュア無線への効果だけは、どうなのでしょう?

プラシーボとも決めつけられないので、本当に効果があったのかもしれません。

まとめ

現代ではほぼ生産中止になったアースベルトですが、時折限定販売されています。

運転歴の長い方には、今も静電気対策グッズとして有用であると信じられている上に、若いドライバーにとっては、昭和を懐かしむレトロアイテム。

もしカー用品店でアースベルトを見かけたら、ぜひお手に取ってみてください。

昭和モダンな雰囲気に浸れることは、間違いありません。

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