FD3S購入時、外観が綺麗とかキズや錆がないかなど、見た目でわかる部分はいいけれど、内部の状態は素人にはわかりません。そこで、ロータリー専門ショップに、FD3Sを買う時の注意点を聞いてみました。

掲載日:2020/11/03

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FD3Sの選ぶポイントとは

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今回、FD3Sの中古車を買う時の注意点を教えてくれたのは、RX-7やRX-8などのマツダ車を専門に扱うチューニングショップ『R Magic』の代表、大原さんです。

FD3S型RX-7は生産を終了してから随分経ちますが、今だに色褪せないスタイリングとピュアスポーツカーとしての高い運動性能、そして唯一無二のロータリーターボエンジンが、多くの人を魅了し続けています。

しかし、生産終了から17年が経過しているため、実走可能な個体がかなり減ってきており、中古車市場では修復歴有りや多走行車が目立ちます。

となれば、自分で中古車の状態を見極め、予算にあった車両を選ばなければなりません。

お店任せでなく、自らの目利きが重要となるのです。

外装での注意ポイントとは

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今回、参考に見せていただい車両は、R Magicのお客さんのFD3S。

見た目はけっこうカスタムされていますが、とても綺麗な状態です。

ガラス周りのゴムパッキン

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この車両では見られませんが、中古車の注意点として、ガラス周りのゴムパッキンや樹脂パーツが劣化していないか、ゴムパッキンの内側が錆びていないかがポイント。

純正パーツがまだまだ手に入るため、ガラス周りがきれいだと、前オーナーが丁寧にメンテナンスをしていたことがわかります。

サイドシル

車両の下から手を入れて、サイドシルを触って確認してみましょう。

前オーナーがジャッキアップする際に、ジャッキアップポイントではないところにジャッキを当てていたために、アンダーカバーがバキバキになっていたり、その周辺のパーツに甚大なダメージを与えていたなんてことがよくあります。

フェンダーの内側

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フェンダーの内側も要チェックです。

ごく稀に、フェンダーの爪が凸凹になっている場合があります。

前オーナーが車高を下げたときにフェンダーの爪や内側の対策がさていなかったり、激しい乗り方をしていた、もしくはあまり気にせずに使われていた可能性があります。

サイドドアの鍵穴

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見せてもらっている車両のサイドドアは、鍵穴にカバーが有りませんが、従来はドアのキー挿し口はシャッターが閉まる構造になっているため、こちらの車両はシャッターが折れてしまっています。

このままだと、キーの差し込み口が錆びてしまい、キーを開けるのが硬くなってしまいます。

またドアノブに注目すると、ドアノブが面一より奥に入り込んでいます。

これは内側の部品がヘタってきたことで生じる現象で、ほっとくと中のプラスチック部品が折れてしまうことがあるため、要注意です。

ちなみに、ドアキーのシャッターやドアノブの修理は可能。

純正のドアノブは樹脂製ですが、R Magicでは金属製のパーツを販売しています。

そのため、いずれも中古車選びの対象外にするほどの深刻な問題ではありません。

見つけなかったら修理代が高額に!内装の注意点とは

FD3Sの純正内装パーツは、継続販売されているものがいくつもありますが、なかには欠品になっていて、修理しようとすると高額となるポイントも存在します。

そのため、要点を押さえて、破損箇所などをチェックすることが必要です。

ヘッドライト切り替えレバー/ウインカーレバー

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FD3Sのシートをバケッドシートに変更した際に、乗り降りをしやすくするために、クイックリリースのステアリングハンドルに変えることがあります。

そうすると、ステアリングのグリップ部分がシート寄りになるため、左右にあるヘッドライトの切り替えレバーとウインカーレバーの操作がしにくくなることも。

それに対処すべくレバーを延長するパーツが販売されており、取り付けられている車両もありますが、延長パーツを取り付けるとウインカーレバーが割れやすくなるため、こちらも要注意。

もし、ウインカーレバーが折れてしまうと、レバーのみの交換ではなく、チルトそのものをアッセンブルで交換することになり、修理費が高額になるため、延長パーツが装着されていないかを、購入前にチェックしましょう。

ドアトリムのドアポケットカバー

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FD3Sのドアトリムについているドアポケットのカバーは、とても割れやすい材質です。

後ほど紹介する動画内では、部品欠品として紹介していますが、大原さんから連絡があり、なんと純正パーツが再販されていました。

部品代は、16,920円(部品番号はF110-68-4MZA 00)。

走りに直接関わる部分ではないため、気になる場合は簡単に修理できます。

カスタムパーツのポン付けだけには注意

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FD3Sは、チューニングによって、車両の状態を悪化させる場合があります。

たとえば、マフラー交換をしているのにECUが交換されてない、ブーストアップするのにECUやマフラーが交換されていないなど、チューニングのセオリーを知らずにパーツをポン付けしていると、エンジンが壊れてしまうことも有り得ます。

このようなことがないように、エンジンチューニングやマフラー交換が行われている車両は、そのほかにどのようなカスタムが施されているか、把握しておきましょう。

圧縮がわからないエンジンの調子はどう見極める?

FD3Sはエンジンありきのクルマであるため、中古車選びでもっとも重視すべき点は、エンジです。

ロータリーエンジンで重要なのは圧縮。

しかし、ロータリーエンジンの圧縮を調べるには、専用のコンプレッションテスターが必要です。

置いているお店は、ロータリーエンジンに強いショップやRX-7専門ショップ、マツダ系のディーラーに限られるでしょう。

FD3Sのロータリーエンジンの圧縮値は最大で7kgで、2ローターのエンジンでは6つの圧縮値が有りますが、このうち1か所でも7kg未満、または圧縮の最大値と最小値の差が1.5kg以上あった場合は、要オーバーホール。

となれば、購入する際にエンジンの圧縮値は知っておきたいところですが、普通の中古車店だと圧縮値がわからないと断られることも。

そうなれば、自らエンジンをかけて見極めなければなりません。

エンジン始動時に注意する点

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まず、エンジンを始動させましょう。

このとき、セルを回してから実際にかかるまでの時間と、かかった瞬間のエンジン音を確認します。

セルの時間が短ければ短いほど!エンジンの状態は良く、圧縮も適正である判断材料となります。

しかし、エンジン作動時だけ変な異音がしたり、極端にエンジン音がうるさい、セルを回したときにアクセルを踏み込んでエンジンをかけるような車両は、エンジンに何かしらの異常があると疑うべきです。

アイドリング時には、タコメーターを見て針が大きな幅で揺れていないか、エンジンのバラつきがないかに注意してください。

ボンネットをあけて、エンジンに揺れがないかも確認しましょう。

圧縮に異常がある場合は、エンジンの振動が大きくなり、動いているエンジンが前後左右に揺れることがあります。

一番はお店側が圧縮圧力を測ってくれていることですが、もしそうでなく圧縮値を教えてくれないお店なら、自らエンジンをかけて確認することが重要です。

エアポンプ

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エアポンプは、エンジンをかけてアイドリングしている時は動いていませんが、特定の条件になったときに外側のプーリーと一緒に回転します。

このエアポンプ自体が回っているときに、ガラガラと音が出ていたら、エアポンプが故障しかけている、または故障しているサインです。

エアポンプは純正新品で15万円以上しますが、R Magicではリビルトエアポンプを、下取り品有りで70,000円、下取り品無しで90,000円販売しています。

R Magic製のほうが格段に安くなりますが、それでも修理費は高額。

車検では、エアポンプは必ず機能していないと通らないため、エアポンプの状態は十分にチェックしましょう。

バキュームユニット

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エンジンのブーストを制御するユニットの、『バキュームユニット』という部品は壊れやすく、このパーツは38,000円、工賃も高額なのでトータルで75,000~80,000円となります。

バキュームユニットの故障は、アイドリング状態では判断できません。

実際に走ってみると、ブーストがかからないままアクセルを踏み込んでも、正常時より加速しません。

そのため購入前に試乗すると確認できますが、RX-7に初めて乗る方だとブーストがかかっているかの判別が難しい場合もあるため、そのあたりもふまえて、信頼できるお店で購入するのが一番です。

FD3Sの購入するうえでおすすめの型式は

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FD3Sは1型から6型まで、古い順から6つに分類されますが、型式は車体番号を見れば判別できます。

『FD3S-4×××…』の場合FD3Sの次の数が4であれば4型なため、この数字で1~6型まで判別してください。

前期/中期/後期それぞれの違いは

上:前期型、下:後期型 / © Mazda Motor Corporation

FD3Sでは、1型/2型/3型が『前期』、4型が『中期』、5型/6型が『後期』と呼ばれます。

外観上の違いに注目すると、コンビネーションランプやバンパーなどのフロントマスクは1~4型まで前期仕様で、5型/6型は後期仕様。

リアのコンビネーションランプやバンパーのデザインは、1~3型までが前期仕様で、4~6型までが後期仕様です。

CPUは前期型で8ビット、中期/後期で16ビット。

エンジンパワーは前期型が255馬力、中期型で265馬力、後期型のRZとRSといったグレードが280馬力、RBが265馬力です。

中期と後期のパワーさはタービンの大きさの違いで、280馬力仕様はエンジンレスポンスで優り、中期型のタービンは高剛性のため、それぞれの良さを持っています。

また、RZとRSは17インチホイールが装着されるためブレーキローターが大きく、ブレーキの制動力が強力です。

おすすめは4型

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大原さんいわく、おすすめは4型。

4型はフロントが前期仕様、リアが後期仕様、パワーは265馬力と中途半端に感じられますが、後期型に比べて相場が安価。

登録台数が少なかったため、中古車のタマ数は少ないですが、出会えれば買いなモデルです。

前期型は買ってもいい?

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前期型は中期や後期に比べて、かなり安価です。

CPUを16ビットに交換すれば、中期や後期並みの性能へ一歩近づけますが、前期型は設計が古いため、センサーや配線類への不安感は否めません。

中期や後期に比べれば古いため、故障をしやすいのと、修理費が心配です。

しかし、ベースを安く購入して、大改造するならば初期型を購入するのもアリではないでしょうか。


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徹底的に改造するなら購入してもいいのですが、ノーマルで乗り続けるなら、断然後期型を選ぶべき。

後期型は新車販売時より高値で販売されることも珍しくありませんが、FD3Sに乗り続けたいなら中期や後期を購入することをおすすめします。

まとめ

FD3S購入時の注意点は以下の通りです。

・外装は窓枠、サイドシルが傷んでいないか。
・内装は直せる部分が多いですが、中にはウインカーレバーの延長パーツ取付車両は避けるべき。
・エンジンをかけてみて、かかるまでの時間/かかる時の音/アイドル時のエンジンの揺れに注意。
・エアポンプ、バキュームユニットは壊れやすいので修理歴を確認。
・用途に合わせて型式を決める。

最後にロータリーエンジンは、耐久性がないとか脆弱であると言われることがありますが、そういう訳ではありません。

キチンとしたチューニングをし、適正なメンテナンスをおこなえば、早々に故障してしまう事は、まずありえません。

長く乗りたいのであれば、前オーナーが、どれほど大切に乗っていたかが重要となります。

しかし、一般の中古車店で購入する場合は、そんな情報は知りえません。

R Magicでは積極的に中古車販売を行っているわけではありませんが、チューニングや整備を依頼していたお客さんの愛車を手放す際に、次のオーナーに販売する手続きを行っています。


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また、予約販売も行っており、『条件』、『希望の仕様』、『予算』などを事前に伝えて予約すれば、希望に合ったクルマが入ったときに連絡してくれます。

これは、半年や1年待ってもいいから状態の良いFD3Sに乗りたいという方にはうってつけのシステム。

R Magicで登録すれば、上質な車体と最良のメンテナンスを受けることができます。

また、車両の悪いところを工場長が2日間かけて徹底的にチェックする、『セブンドック』を実施。

セブンドックを受けることで、どこが良くないのか把握して、症状が悪化する前に修理できるため、より長く愛車に乗り続けることが可能。

購入後の修理やメンテナンスを考えれば、R Magicのような専門店は、非常に心強いパートナーとなってくれます。

FD3Sの中古車を購入するときの、一番重要視すべきポイントは、信頼できる専門店を見るけることです。

R Magic(アールマジック)
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