トヨタ ライズとダイハツ ロッキーは、コンパクトなボディと凝った外装デザインが人気のシティ派SUV。そのサイズ感とキャラクターは、世界的に見ても稀有な存在であり、それも人気の理由となっています。

ライズ/ロッキーが発売されて4年目を迎え、ひとつの問題がオーナーを悩ませているんだとか……。それが、タイヤサイズが希少過ぎて選べるタイヤが少ない!ということです。

そこで、希少なライズ/ロッキーサイズをラインナップする「クムホ ecowing(エコウイング) ES31」を緊急テスト!いわゆる“エコタイヤ”とはひと味違うというその実力を検証していきます。

Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

選べるタイヤが少ないライズとロッキーの新たな選択肢

ライズ/ロッキーのもっとも特筆すべきポイントは、全長4mを切るコンパクトなボディと4.9~5.0mという最小回転半径です。しかも、実際の数値以上に堂々とした存在感があり、まさに“デザインの妙”と言っていいかもしれません。

しかし、使い勝手とデザインを両立するがゆえ、ある意味犠牲となったのがタイヤです。ライズとロッキーには、グレードによって195/65R16と195/60R17という2種類のタイヤサイズが設定されています。

売れ筋グレードが履いている195/60R17に至っては、2023年4月の原稿執筆時点で選択肢がほとんどないと言っても良い状況です。多少扱っているメーカーの多い195/65R16でも、SUV用のブロックタイヤも含まれており、街乗りメインのライズ/ロッキーにはやや不釣り合いと言わざるを得ません。

そこに新たな選択肢として登場したのが、クムホ ecowing ES31。なんでも、一般的なエコタイヤのワンランク上を目指したのだとか。純正で履いていたエコタイヤを交換し、その実力を一般公道、高速道路、石畳路というステージで検証していきます。

エコタイヤにありがちなペラペラ感の無いワンランク上の乗り味

いざ、日本中どこにでもあるような一般道を走り出した印象は、「ん?コレ本当にエコタイヤなの?」でした。もちろん悪い意味ではなく、タイヤのカテゴリーで言えば「コンフォート」に分類されるような乗り心地です。

エコタイヤがなぜ“エコ”と言われているのかと言えば、転がり抵抗を極限まで減らして燃費を向上させるからにほかなりません。転がり抵抗を減らすということは、極端な話、コンパウンド(ゴム)を固くし、トレッド面をラウンドさせて接地面積を減らすことで路面との摩擦を少なくすることになります。

そのため、ひと昔前のエコタイヤは、十分な安全マージンを取りつつ、グリップ力と乗り心地を多少犠牲にしたものばかり。あくまで筆者の個人的な表現で言えば、「エコタイヤ=ペラペラ」という印象でした。言い換えれば、3千円~5千円程度で買える安価なオフィスチェアのキャスターのような印象です。

しかし、クムホ ecowing ES31の印象は、そのペラペラ感がありません。昨今のタイヤで主流となっているヨーロピアンスポーツとまでは言いませんが、それに近いしっとりとした乗り味です。

マンホールやちょっとした段差を拾っても「パコンッ」という硬い振動ではなく、「ポコッ」という丸みのある振動と抑えられた音。エコタイヤと知らされていなければ、コンフォートタイヤと勘違いしても不思議ではありません。

コシのある剛性感で直進安定性もバッチリ

あまりの意外な乗り味に驚きつつ、ステージは高速道路へと移っていきます。テスト車両が履いているのは195/65R16で、比較的ハイトが高くエアボリュームもたっぷりとしたサイズ。こういったエアボリュームがあるサイズの場合、得てして乗り心地は良い方向になる反面、踏ん張り感が少なく安定感が乏しいフィーリングになりがちです。

しかし、ただ柔らかいだけじゃなくしっかりとした“コシ”があることで、そんなフラフラするような印象は意外なほど感じません。それもそのはず、クムホecowing ES31は、トレッド部や非対称パターン、サイドウォールの構造ゴム(スリムエイペックス)といった部分に剛性を持たせることにこだわって開発されているんだとか。スポーツタイヤのように、ビシッとレールの上を走っているほどではないものの、必要にして十分な直進安定性を感じ取れます。

また、速度域が上がっても、市街地で感じた滑らかさは維持されており、パターンノイズも十分静かです。ひと昔前のエコタイヤにありがちなパタパタしたフィーリングもありません。走りの質を上げる剛性感と滑らかで静かな乗り心地を、ちょうどいいところに調律してきたんだなという印象です。

タイヤを変えるだけでサスペンションの動きが良くなる!?

最後のステージは、見た目がお洒落な石畳路。日本では特定の場所にしか存在しませんが、舗装が整っていない路面としてテストするには打ってつけのシチュエーションです。

いざ石畳路に侵入していくと、まず市街地でも感じた滑らかさが際立ちます。もちろん、どんな高級車でも振動してしまうような路面状況なので、細かな衝撃と音はハッキリと伝わってきますが、思いのほか不快ではありません。

また、スピードを抑制するために設けられたカマボコ状に盛り上がった場面では、サスペンションがスムーズに動いている感触を得られます。これもタイヤ剛性が高いことによるメリットであり、足がきちんと動くことでクルマが持っている本来の乗り心地が得られているということなのかもしれません。

ちなみに、お洒落な石畳でテストしていて気が付いたのが、サイドウォールのデザインが非常に凝っているということです。国産タイヤ、特に安価なタイヤではあまり見られませんが、クムホ ecowing ES31のサイドウォールには繊細なデザインが施されています。

今回は特にハイトが高いサイズだったこともあり、ドレスアップにも一役買っていることが分かります。また、これはただ見た目を飾っただけではなく、発熱を抑えることでエネルギーロスを最小化し、走行中の空気抵抗を低減させる効果もあるというのだから驚きです。

エコタイヤのイメージを覆す安心感と満足感

ハイグリップなスポーツタイヤや徹底的に乗り心地を追求したプレミアムコンフォートタイヤに比べ、エコタイヤは安い値段で販売されています。燃費が良くタイヤそのものも安いため、お財布に優しいタイヤがエコタイヤとされている傾向があります。しかし、いくらお財布に優しいからと言って、本来の走行性能や乗り心地を犠牲にしてしまっては本当の満足感は得られません。

その点、今回テストしたクムホ ecowing ES31は、エコタイヤと言われるタイヤにありがちのペラペラな安っぽさは皆無です。もちろんカテゴリーと価格の差はあるものの、モーターズで何度も取り上げているスポーツタイヤブランドのECSTA(エクスタ)で感じた「欧州プレミアム路線」を継承していることがしっかりと感じられました。

近年日本でも徐々に知名度を上げてきているクムホタイヤは、世界中の自動車メーカーの純正タイヤを供給するグローバルなタイヤメーカーです。日本でも1977年に法人を設立し、日本に合わせたタイヤを開発し販売しています。

そして、今回のテストで明らかになった確かな性能を持っていながら、手ごろな価格で販売されていることが多いのも見逃せないポイントです。

ライズ/ロッキーのオーナーはもちろん、価格以上の安心感と満足感をタイヤに求めるなら、クムホ ecowing ES31を交換候補にしてみてはいかがでしょうか。

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