車検や整備の際に「このパーツ、もう生産終了していまして」と言われた経験はないだろうか。年式の古い車や、すでに廃盤になったグレードに乗っていると、部品が手に入らないという理由だけで、乗り換えを考えざるを得なくなることがある。

ところが、ブレーキパッドとディスクローターに関しては、事情が少し違うらしい。ブレーキパッド・ディスクローター・ブレーキフルードの交換に立ち会う機会があり、専門メーカーであるデクセルに話を聞いたところ、その理由が見えてきた。

ブレーキだけを扱う専門メーカーという存在

デクセルは、車用のブレーキパッド、ディスクローター、ブレーキフルードの3つだけを専門に扱っているブレーキメーカーだ。日本車・輸入車を問わず、48メーカー1,400車種分のブレーキ部品を揃えている。

ポイントは、車種の幅広さだけではない。メーカーがすでに生産を終了してしまった旧型車の純正部品についても、新品のブレーキパッドやローターを供給しているという点だ。「純正品ではもう交換できない」となった場合でも、デクセルに問い合わせれば対応できるケースがほとんどだという。

つまり、車自体は古くても、ブレーキという安全に直結するパーツについては、新品への交換をあきらめなくていい場合があるということだ。年式の古い車や、マイナーチェンジ前後で消えてしまったグレードに乗っている人にとっては、知っておいて損のない情報だろう。

パッドのラインナップは、街乗り中心のストリート用と、サーキット走行にも対応するタイプの2系統に大別される。ストリート用の中でも、コストパフォーマンス重視のベーシックなモデルから、重量のあるミニバン・SUV・RV・キャンピングカー向けに安全性を重視したモデルまで用意されている。

ブレーキパッドだけじゃない。「相手側」も摩耗している

ブレーキパッドが摩耗品だということは、多くの人が知っている。だが、パッドと擦れ合う相手側のパーツ、ディスクローター(タイヤの内側についている円盤状の部品)も同時に摩耗していくという事実は、意外と知られていない。

ブレーキの仕組みはこうだ。ブレーキを踏んでいない間、ディスクローターは常に回転している。ペダルを踏むとキャリパーに力が伝わり、ブレーキパッドがこのディスクローターに押し付けられる。この時に生まれる摩擦力によって、車の運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、車が減速・停止する。

使用済みのローターを新品と見比べると、色や表面の状態が大きく異なる。新品はひんやりとした滑らかな鉄板の質感だが、使い込んだローターは表面が錆びたような色になり、縁の部分にはお盆の縁のような段差ができる。この段差は、ブレーキパッドに削られてローター自体が薄くなった証拠で、段差が一定の厚みに達したら交換のサインになるという。

さらに興味深いのが、パッドとローターの交換周期の違いだ。輸入車の場合、純正のパッドとローターを同じタイミングで交換することが多い一方、日本車やデクセルのような専門メーカーの製品を使う場合、パッドを2回交換する間にローターを1回交換するくらいの周期になることが多いという。「パッドだけ交換していればいい」と思い込んでいると、ローター側の摩耗を見落としがちになるというわけだ。

ホイールの黒ずみも、ブレーキパッド選びで変わる

洗車のたびになんとなく気になっていたホイールの黒ずみ。これはブレーキパッドとローターが擦れることで発生する鉄粉がホイールに付着し、変色したものだ。

この汚れの出方はパッドの素材によって差があり、汚れを抑えることを重視したタイプのパッドを使うと、黒ずみ自体を軽減できる場合もあるという。ホイールの汚れ方は単なる見た目の問題ではなく、パッドの状態や種類を知る手がかりのひとつでもある。

また、表面に溝を入れた「スリットタイプ」のローターも用意されており、制動力の向上が期待できるモデルもラインナップされている。用途に応じてローターのタイプを選ぶという選択肢があることも、あまり知られていないポイントだろう。

効きの変化に気づきやすいのは「下り坂」

普段の運転では、ブレーキの効きの変化になかなか気づきにくい。違和感に気づきやすいのは、下り坂が続く山道のような特殊な状況だという。下り始めた時と、下りきった頃とでブレーキの効き方に差を感じたら、それはブレーキパッドの性能が本来の状態から変化しているサインのひとつだ。

なお、軽自動車専用のブレーキパッド・ディスクローターのセット商品も用意されており、大きな車だけでなく、街乗り中心のコンパクトな車にもしっかり対応している。

ブレーキの知識をまとめた「教科書」も入手可能

取材中に見せてもらった、ブレーキに関する疑問や悩みをキャラクターとともに解説してくれる冊子「ブレーキマガジン」は、交換タイミングの見極め方などがわかりやすくまとめられた一冊だった。

この冊子は、東京オートサロンや大阪オートメッセといった展示会や、オートバックス・イエローハットなどの量販店で行われる販売イベント会場で配布されているほか、デクセルの公式サイトの資料請求ページからも入手できる。

「もう部品が出ない」と諦める前に、ブレーキだけは事情が違うかもしれない。そう知っているだけで、車との付き合い方が少し変わってくるかもしれない。

提供【ディクセル】
https://www.dixcel.co.jp/