自動車のアフターパーツメーカーとしてライトやワイパーなどを製造しているPIAAは、WRCやSUPER GT、そして中嶋悟氏など、モータースポーツまつわる支援活動を多くしていることでご存知の方も多いメーカーだと思います。そんなPIAAってどんな会社なのか?PIAAとモータースポーツとの関わりとは?また、PIAAが考えるアフターパーツ業界の今後などについて、代表取締役社長の前川 眞一郎さんにお話を伺ってきました!

 

今回取材にご対応頂いたPIAAの前川 眞一郎社長 / ©️Motorz

 

前川社長とPIAAの出会い

前川社長からお話を伺った応接室には、数々の名ドライバーのサイン入り写真が飾られていました。 / ©️Motorz

 

前川社長がPIAAにやってきたのは2008年のことで、今年でちょうど10年目になります。

以前はショックアブソーバーのメーカーに30年ほど務めており、ドイツやアメリカといった海外へ駐在して、主に国外市場を開拓するセールスの責任者などを歴任してきたそうです。

長らく海外の自動車アフターパーツ市場に精通していたことや、その手腕を買われ、PIAAの親会社である市光工業株式会社からPIAAの社長を任された、という経歴のお持ちなのです。

そんな前川社長から見た『PIAA』とは、どんな会社なのでしょうか?

 

「PIAAの社員は本当にクルマが好き!っていう社員が多い印象ですね、私なんかはそこまでクルマに詳しくはないんですが(苦笑)。

まあでも、クルマ好きだけでも製品や考え方は偏ってしまうと思いますから、そういう面で私がバランスを保っていられたら……いいなと思ってます(笑)。」

 

PIAAの歴史は日本のモータリゼーションと共にあり。

こちらは鈴鹿8耐に参戦した『チームヨシムラ スズキ』の新型『GSX-R1000』のカウルです。PIAAは同チームにHIDシステムをサポートしています! / ©️Motorz

 

PIAAの始まりは1963年、市光工業の自動車用品部門として『株式会社エバーウイング』としてスタートします。

1979年にPIAAブランドを発表し、翌1980年には東京モーターショウにPIAAランプを出展し、話題となります。

その後、アドバンチーム タスカエンジニアリングとスポンサーシップを結び、RACラリーに参戦したり、カーキャリアブランドの『TERZO(テルッツォ)』を発表したり、アパレル部門を立ち上げるなど、同社の幅広い活躍については、列挙せずともご存知の方も多いのではないでしょうか。

東京モーターショウから4年後の1984年には社名を現在の『PIAA株式会社』に変更したことからも、当時の同社の破竹の勢いは十分に伝わってきます。

この後、日本はバブル期に突入することもあり、PIAAのモータースポーツへのスポンサーシップも増えていきます。

1986年には、当時F3000マシンで戦っていた中嶋悟氏とのパートナーシップを開始し、1989年にはキャメルカラーに身をまとったチームロータスにもスポンサードします。

また、フィールドを変えて1991年にはWRCのサファリラリーでPIAAのランプを装着したトヨタ・セリカ(ST185)が総合優勝を収めるなど、PIAAは日本のモータースポーツ黄金期を常に照らし続けていました。

 

1964年に開催された東京オリンピックにあわせて、高速道路網が発達し、日本にもモータリゼーションが芽生えたわけですが、その頃から現在に到るまで、我々ドライバーの身近な存在として、自動車の補修パーツや自動車用品を届け続けてくれているのが『PIAA』なのです。

 

世界から見た、日本のアフターパーツマーケットとは?

長いブランクを経て、再びWRCにカムバックしてきたトヨタをサポートしているのは、やはりPIAAだ。 / ©️Motorz

 

長年、海外の自動車アフターパーツマーケットに携わってきた前川社長から見た”日本のアフターパーツマーケット”はとても特殊なのだそうです。

 

「日本だと大手量販店さんみたいな、いわゆる小売のカーショップさんで売れ筋の商品というと、芳香剤やオイルのような『カー用品』ですよね。

そのまま、カー用品店なんて呼んだりもしますし。

だけど海外の場合は全く逆で、小売ではそれこそショックアブソーバーのような『カーパーツ』の方が売れるんですね。

“用品”ではなく”部品”が売れるんです。

日本の小売店でエンジンパーツや足回りを買ってく人はあまり居ないと思いますが、海外だとそのようなパーツを自分で買って取り付けちゃう人が多いんです。

この違いは、日本の車検制度などの自動車を取り巻く環境の違いにも起因するとは思いますが、逆に、世界に目を向けてもこれだけオリジナリティの溢れるカー用品があるのは日本だけかな、と思います。

“日本が特殊である”ということを理解した上で、それを逆手にとって武器にしていきたいですよね。」

 

日本が特殊である一例として、前川社長はワイパーブレードでその説明をしてくれました。

日本で主流となっているワイパーブレードは『トーナメントタイプ』と呼ばれる形状をしています。

それに対して欧州で主流なのは『フラットタイプ』で、もちろんそれぞれに一長一短はあるのですが、PIAAで作っているのはトーナメントタイプです。

しかし、PIAAはフランスの自動車部品メーカーのヴァレオと事業提携をしており、同社の日本での代理店としてもビジネスを行なっているため、フラットタイプのワイパーも取り扱っております。

国内の主流はトーナメントタイプではありますが、輸入車用などでフラットタイプワイパーの需要も少なからずあり、その需要を逃さずにフォローできるのはPIAAの強みなのでしょう。

 

現在PIAA製品の中で人気があるのがこちらの『ツインパワー+マグネットオイルフィルター』なのだそう。2層構造のろ紙に加えて磁力の力で鉄粉を除去してくれる優れものだ。 / ©️Motorz

 

目まぐるしく変化する自動車業界とPIAA

テルッツォブランドから発売されている『エクセルクール マルチ 8L』は-15度から60度まで対応可能なコンパクト温冷庫だ。 / ©️Motorz

 

電気自動車が少しずつ販売されるようになり、自動運転技術が話題に上がることも多くなった昨今ですが、世界の自動車メーカーが取り組んでいる4つの課題について皆さんはご存知でしょうか?

それぞれの頭文字をとって『CASE(ケース)』と呼ばれる4つの課題はそれぞれ、”接続性(Connectivity)”、”自律的な(Autonomous)”、”共有(Shared)”、”電動(Electric)”を表します。

要するに、クルマが電気自動車になったり、インターネットに接続されたり、自動で動いたり、シェアされたりする、ということで、これまでの自動車には求められてこなかったけれども、これからの時代に新たに必要とされている4要素なのです。

 

このようにクルマ自体が変わろうとしている中で、当然、クルマ自体のあり方が変わっていけば自動車業界も変わっていくし、それらを取り巻く環境も大きく変化していきます。

現に自動車用品メーカーのPIAAとしても、これまでのように新商品を出して、ヒット商品が出れば売り上げもウナギ登り!というワケにもいかなくなってきたのだそう。

自動車業界は今まさに目まぐるしく変化している最中で、その変化への適応力が求められています。

そんな中でこれまでに無かったことにPIAAもチャレンジしよう!という動きが社内にもあるのだそうです。

 

PIAAの自社ブランドの『テルッツォ』から発売したコンパクト温冷庫の『エクセルクール マルチ 8L』は-15℃から60℃まで対応可能という優れもので、カー用品店のみならずホームセンターにも販路を広げているのだとか。

これまで通りのカー用品店だけに降ろすような”クルマ主体のものづくり”から抜け出して、今後もPIAAにしか作れないものを作っていきたい、と前川社長は語ります。

 

エクセルクールは日刊自動車新聞が行なっている『用品大賞』のアクセサリー部門を2017年に受賞しているヒット商品だ。 / ©️Motorz

 

企業情報

PIAA株式会社

住所:〒112-0005 東京都文京区水道1丁目12番15号(白鳥橋三笠ビル)

TEL:0570-050-555

(受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00 土・日・祝日/夏期、年末年始休業期間を除く)

 

まとめ

©️Motorz

 

最後に前川さんに改めて『PIAA』という会社について、尋ねてみました。

 

「以前、マーケティングの一環としてPIAAについての認知度を測ったことがあったんですね。

その結果、40代を境目にガクッと認知度が下がっていることがわかりました。

若い人に向けてもアピールしていかなければならないなー、という課題が見えた反面、ブランドを発表した当時からPIAAを支えてくださっている、昔からの根強いファンの方々がたくさんいらっしゃることが分かりました。

同様にモータースポーツの世界にもたくさんの恩があります。

そういう方々に関わっていくことで大きくなってきた会社なので、何らかの形で皆さんに恩返しをしたいと思っています。」

 

日本のモータリゼーションと共に成長してきたPIAAは変革の時を迎えており、そのキーマンとなる同社の代表取締役社長の前川 眞一郎さんに、今回はお話を伺いました。

 

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