北京モーターショー2018が4月末に開催されました。世界のモーターショーの中でも最大級の規模であり、今年も世界中の自動車メーカーが北京に集結。出展ブースには世界初公開の車両やコンセプトモデルが我先にと並べられ、中でもEVやPHVの新型モデルやコンセプトカーが多くみられました。そんな北京モーターショー2018での注目モデルをご紹介します。
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EV&PHVで埋め尽くされた北京モーターショー2018
北京モーターショー2018は4月25日~5月4日に開催されました。
そんな中国では年々自動車の需要が増しており、2018年の新車販売台数は2,887台で9年連続世界一。
さらに、中国内の自動車メーカーも増えて、どんどん規模を拡大。
北京モーターショーは世界中の自動車メーカーと中国自動車メーカーが集まり、世界最大級のモーターショーになっています。
EV&PHVの出展が多数!世界中でエレクトリックカーの競争が激化
近年、どのメーカーもEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド)の開発が急ピッチで進んでおり、北京モーターショー2018では自動車メーカー各ブースで多くのエレクトリックカーが公開され、今後もEV&PHVの新モデルを続々と発売することを示唆しています。
というのも、イギリス、フランス、インド、そして中国がガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出しており、2030~2040年には完全に化石燃料で走る自動車と決別する方向。
その流れから今後も、ガソリン・ディーゼル車販売終了を予定する国が続々と現れることが見込まれており、いち早く高性能で安価なEVを登場させようと、メーカー間の開発競争が激化を余儀なくなれているのです。
中国はEV大国
中国は世界で販売されているEV車消費の44%を占めるEV大国。
悪化の一途をたどる大気汚染の問題を解決すべく国をあげて自動車産業のEV化を進め、中国には多くのEVベンチャー企業が存在します。
そして2017年の中国EV&PHVの保有台数は123万台で、その上位EV20車種の内、9車種が中国メーカー製。
1位はBAUC(北京自動車)の『EC-Series』で78,079台を販売。
それは2位のテスラモデルSより約22,000台多く、中国自動車メーカーのEV技術の進歩も目ざましいものがあります。
もちろん、今回の北京モーターショー2018でも多くの中国自動車メーカーが最新のEVやPHVを出展し、来場者の注目を集めていました。
中国専用モデルを多数出展。日本導入もあるのか!?国産メーカーの注目モデル
トヨタ/レクサス
トヨタは、2019年に『カローラ』と『レビン』のプラグインハイブリッドモデルと、2020年にC-HRをベースにEV化した『C-HR/IZOA』を中国市場に導入することを発表しました。
こちらはそれぞれ中国市場専用モデルのため今のところ日本での販売はありませんが、日本で大ヒットしているC-HRがEV化されているのであれば、日本導入もありえるかもしれません。
レクサスでは新型ESを世界初公開。
レクサスESはトヨタ・ウィンダムがアメリカのレクサスブランドで販売されていた時の車名で、FFのミドルサイズセダンです。
こちらも日本にはまだ導入されていませんが世界各国で販売されており、今回のフルモデルチェンジで日本導入が実現する予定となっています。
日産
日産は、『シルフィ ゼロ・エミッション』、『テラ』を世界初公開しました。
シルフィ ゼロ・エミッションはリーフのセダン版を思わせるEVで、航続距離338kmを実現。
安全装備では、車線逸脱警報(LDW)、インテリジェント エマージェンシーブレーキ、後退時車両検知警報(RCTA)、後側方車両検知警報(BSW)といった『ニッサン インテリジェント モビリティ』技術も搭載されており、2018年後半に発売が予定されています。
また、新型テラはダットサントラックの後継モデルであるピックアップトラック『ナバラ』をベースに製作され、強靭なフレーム構造とQR25型ガソリンエンジンを搭載した本格派仕様。
中国の都市部以外はまだまだ未舗装の路面が多く、新型テラはトヨタ・ランクルや三菱・パジェロのような悪路を走破する本格的なSUVです。
他にも中国初公開となるコンセプトカー『ニッサンIMx KURO』や、これから中国への投入が検討されている日産リーフも公開されました。
ホンダ
ホンダは2018年後半に中国で発売予定の新型アコードハイブリッドとインスパイアコンセプトを出展。
また、中国専用電気自動車のコンセプトカー『理念 EV CONCEPT』を世界初公開しました。
ちなみに理念EVコンセプトはホンダと広汽集団との合弁会社である広汽ホンダとホンダの中国現地法人である本田技研科技(中国)有限公司による共同開発で、自主ブランド『理念』の新モデル。
いずれも中国内で生産・販売するモデルで、ホンダは中国現地法人での開発・生産力を高め2025年までに20以上のEVモデルを投入する方針です。
スバル
スバルは『インテリジェントボクサー』を搭載した新型フォレスターと新型XVを出展。
インテリジェントボクスターとは中国仕様のユニット名であり、中国で販売される新型フォレスターと新型XVに用いられるネーミングです。
しかし、これがもし日本に導入されるとなれば、同じネーミングで販売される可能性は高いでしょう。
残念ながらインテリジェントボクサーについてはいくつか不明な点があり、スバルからのアナウンスは、『モーターアシスト仕様の新型パワーユニットを搭載しています。』とだけ説明されていて、プラグインハイブリッドなのかハイブリッドなのか、または他のシステムが組み込まれているかは現在のところ不明。
出展ブースに展示された車両もボンネットが開けられることはなく、新型モデルとはいえ中身はベールに包まれたまま。
インテリジェントボクサーが一体どのようなモデルなのか、スバルからの公式発表に注目が集まります。
高性能EV多数出展!海外メーカーの注目モデル
メルセデスベンツ
メルセデスベンツの出展で注目を集めたのは、Aクラスをロングホイールベースの4ドアセダンにした『メルセデスベンツ Aクラス L セダン』と高級ブランドマイバッハから登場したコンセプトカー『ビジョン・メルセデス マイバッハ・アルティメット・ラグジュアリー』です。
Aクラス L セダンは、メルセデスベンツのエントリークラスでありながら、通常の5ドアハッチバックより快適な居住性を実現。
エンジンは1.33リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンを設定し、チューニング内容の変更により最大出力は136hpと163hpの2種類を用意。
さらに、遅れて2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンで最大出力190hpのモデルも追加予定となっています。
そして、対照的にマイバッハのコンセプトモデル『ビジョン・メルセデス マイバッハ・アルティメット・ラグジュアリー』はかなり豪華な内装を提案しており、後部座席はファーストクラスを思わせる上質空間を演出。
センターコンソールには中国茶のティーポットが備えられ、中国の富裕層に向けた細かい演出がなされています。
これが市販化すれば、間違いなくマイバッハの最上級EV SUVモデルになるでしょう。
今後はメルセデスベンツの最高級ブランドが送り出すラグジュアリーSUVから目が離せません。
ポルシェ
ポルシェブースで注目を集めたのは、世界初公開されたEV『ポルシェ ミッションE クロスツーリスモ』でした。
こちらはフランクフルトモーターショー2015で初公開された『ミッションE』のSUV仕様であり、ミッションEはすでに市販化が正式発表されているので、派生モデルにあたるミッションE クロスツーリスモも発売されることが濃厚です。
2基のモーターを搭載し、最高出力600PS、0-100km/h加速3.5秒と凄まじい運動性能を誇ります。
また、911GT3 RSの改良新型モデルも世界公開されました。
従来モデルから大型スポイラーなどエアロダイナミクスを改良し、最高出力は500hpから520hpに引き上げられ0-100km/hの加速を0.1秒縮める3.2秒。
最高速は2km/h上乗せされた312km/hに達します。
BMW
BMWはX3のEVモデルとなる『iX3』を世界初公開しました。
こちらは最高出力272psを発揮し、400km以上の航続距離を謳っています。
また、BMWのデザインアイコンであるキドニーグリルがiX3専用デザインとなっており、今後BMWから新しいEVが出るのであれば、この形状のキドニーグリルに共通化される可能性も!!
そして次にBMWは新しい充電方法として、高電圧バッテリーのインダクティブ充電用システムを発表しました。
この充電コネクターに繋ぐことなくワイヤレスで充電ができるシステムはすでに生産段階にあるそうで、BMW5シリーズのプラグインハイブリッドモデル『530e iPerformance』と中国現地生産される『530Le iPerformance』にオプションで設定されており、これから登場するBMW 新型EV&PHVのスタンダードになるかもしれません。
アウディ
アウディは新型Q5 Lを初公開しました。
アウディのSUVモデルであるQ5からホイールベースが88mm延長され、後席乗員のレッグスペースを110mm広げることに成功。
中国市場ではロングホイールベースの車両が好まれる傾向にあり、中国向けラインナップに『A4L』、『A6L』、『A8L』など様々なモデルのロングホイールベース車両がラインナップされる予定です。
また、メルセデスベンツもアウディ同様にロングホールベースの新型モデルを発表しているため、ドイツ高級自動車メーカーは今後もロングホールベースモデルを増やして中国へ売り込んでいく方針を見せています。
アストンマーチン
アストンマーティンは、新型ヴァンテージを北京モーターショー2018で初公開。
ブースにはアストンマーティン・レーシングの新型レースカー『ヴァンテージGTE』も展示されており、同マシンを5月のスパ・フランコルシャル6時間耐久レースでデビューさせました。
また、最も話題となったのはアストンマーティンブランド初のEV『ラピードE』の2019年中国市場投入を発表したこと。
こちらは現行のスポーツ4ドアセダン『ラピード』にモーター&バッテリーのパワートレインを搭載しもので、詳細は明らかにされませんでしたが、スケッチ段階でのデザインは公開されています。
そして、英国のウィリアムズ・アドバンス・エンジニアリング社と共同開発することも明らかに!!
英国老舗スポーツカーメーカーが送り出すハイパフォーマンスEVに期待がかかります。
まとめ
さまざまな新型モデルがお目見えした北京モーターショー2018では、どのメーカーも中国で自社製品を売り込もうと多くの中国専用モデルを出展していました。
しかし、中国専用モデルとはいえ中国を皮切りに世界へデリバリーされることが予想される車種も多数。
EV&PHVの新型モデルの技術進歩と新型車が続々と登場してくるのをみると、ガソリン・エンジン車の販売が終了する頃までには十分な台数と性能を確保できる未来を想像できる気がしました。
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