今年から新たにSUPER GTへ参戦し、GT300クラスでホンダ NSX GT3を走らせる『CARGUY Racing』。”スーパーカーによる究極のエンターテイメント集団”を自負するカーガイは、これまで数多くのメディアにスーパーカーを用いたコンテンツを自ら発信しているので、その存在は知っているというクルマ好きも多いのではないでしょうか?しかし、その実態について詳しく知っている方は、その中でもどれだけいるのでしょう?今回Motorz編集部では、SUPER GT開幕直前のこのタイミングで、気になるその実態を直撃取材してきました!「カーガイとは?木村武史とは?SUPER GT参戦の真相とは?」などなど気になるその真相を、前・中・後編の3部構成で迫ります!!
スーパーカーは”美味しい”
カーガイとは、2014年に活動を開始したスーパーカーのオーナーズクラブのことで、この『カーガイ』を設立した人物こそが今回のストーリーの主人公、木村武史さんです。
不動産業を営む傍らで、熱心なカーマニアでもあった木村さんは、カーガイ設立の際に以下の宣言を行い、メンバーを募集したそうです。
・日本で1番有名なスーパーカーオーナーズクラブになります。
・日本で最速のスーパーカーオーナーズクラブになります。
・日本のトップカテゴリーレースに参戦できるようなクラブになります。
・映画 / テレビに出ます。
・5万人以上のファンが付くようなクラブにします。
・メーカーともタイアップをしてスーパーカーの魅力を発信していきます。
これらは木村さんの宣言の中でも一部なのですが、SUPER GTへの参戦を発表した今、設立から4年でそのマニフェストをほぼ実現していることが分かるかと思います。
木村さんの生き方はとてもシンプルで「常にこのように目標設定をし、そこに向けてどのように立ち回るかでしかない」とご本人もおっしゃっていたのですが、上記の事を有言実行していく難しさは我々でも想像に容易いかと思います。
「”カーガイ”としてだけでなく、当然、人生にも目標があり、これまでの人生・活動はすべてその目標通りに生きているのだ」と言い放つ木村さんですが、これまでの人生は決して初めから成功続きではなかったそう。
そもそも、木村さんのご実家には自家用車もなく、さほど裕福とは言えない環境で育ったのだとか。
そんな木村少年は一体なぜクルマ好きになったのか?気になる木村さんの半生にフォーカスした話は、後編でお届け予定です……!
……少し話は逸れましたが、”スーパーカークラブ”としての規模が段々と大きくなっていく中で、現在では『株式会社カーガイ』として法人化するに至ります。
「これまでにカーガイの活動費として、5億円くらいは使ったかな(笑)。」
と笑う木村さんでしたが、これとは別に個人的に数多くのスーパーカーも購入をし続けています。
「スーパーカーって美味しいんですよ。
高速道路なんかを走っていても全然煽られたりすることもないし、快適に走れちゃいます。
ボクはなんでスーパーカーに乗っているかというと、もちろんスポーツカーが好きっていう理由もありますが、スーパーカーを手にしてみて「めちゃめちゃお得だな」って感じたからなんです。
しかも、そうやって3000万円くらいで買ったクルマが、2年乗って2800万円で売れたりする訳なんですね、これってめちゃくちゃコスパ良くないですか?
それに別にボクはスーパーカーを自慢したくて乗ってる訳じゃないんですよ。
みんなでゴルフに遊びに行くときは4人とかでミニバンに乗って行きますからね。
確かに高い買い物ではありますが、スーパーカーの美味しさってじゃあ何?って聞かれても、そりゃ食べてみないとわからないんですよね、ボクも伝えようがないし。
誰でも食べられるようなものじゃないかもしれないけれど、もしスーパーカーを”味わう”ことが出来るようなラッキーな人がいるのであれば、全力でオススメしますね。
ボクも最初はローン組んだりして頑張って乗っていましたし。」
日常さえもエンターテイメントに変えてしまうのがスーパーカーであり、そんなスーパーカーを使って究極のエンターテインメントを追求し続けるのが『カーガイ』の活動なのです。
レースは思い出づくり
木村さんの人生設計の中には「いつかレースに出たい」という目標があったそうです。
だからこそ木村さんにとってレースとは?と質問した際には二つ返事で「レースは思い出づくりです」と答えられました。
しかし、木村さんはこう続けます。
「モータースポーツってスポーツの前に”モーター”って付くじゃないですか、だから練習するのにもお金がかかるんですよね。
その費用の面がすごくハードルを上げてしまっている訳ですが、逆に考えると、それさえクリアしてしまえばむしろハードルは無いようなものだと思うんですよ。
私が本格的にモータースポーツの世界に挑み始めたのが45歳の時で、現在47歳なのでまだ2年ほどですが、45歳のオヤジが2年くらい頑張ったところでフィギュアスケートで羽生結弦くんと同じ舞台で勝負なんて出来る訳がないですよね?
だけど昨日(SUPER GTの合同テストで)私、ジェンソン・バトン選手と一緒に走ったんですよ!コレってスゴくないですか!?
確かにカーガイの活動を見て、”金持ちの道楽だ”って思われる方もいるかもしれないですが、モータースポーツには47歳のオヤジにも平等に可能性が残っている訳ですよ。
まだ手段が残っているという「夢」ですよね。
ボクはそれを追いかける為に働いてる訳ですし、その為に1番お金を稼げる方法ってなんだろう?って考えて、不動産業をやってる訳なんです。
なので、ボク個人のエゴで言えば「レースは思い出作り」でしかありません。
しかしSUPER GTのようなレベルのレースになってくると、”資本さえあれば出られる”というエゴは通用しません。
ただ、カーガイとして「その舞台を目指す!」と宣言したからには、当然その為にやれることを全てやってきました。
様々なレースにエントリーしてドライバーとしての経験も積んできましたし、おかげでSUPER GTのルーキーテストも合格できました。
2015年には『株式会社カーガイ』と法人化して、メカニックを採用し続けています。現在は6名のメカが所属しています。
法人化して雇用契約を結んでいる以上、カーガイをレーシングチームとしてもきちんと軌道にのせて行く必要もあります。
それなのでもちろん、お客さんのクルマも請け負ったりしていて、現在入庫待ちのクルマも7台くらいあるんですよ!
ボク個人のドライバーとしてだけでなく、こういうチームとしての整備も行なっていったおかげで運営チームの母体の審査も無事通過して、晴れてSUPER GTにエントリーすることができました。」
レース活動を行う裏で、レーシングチームまで設立し、国内のレースメカニックの雇用について、経営者目線から真剣に考えていたりしたことはあまり知られていない事実なのではないでしょうか?
これまでのレース活動
まず、木村さんがレース活動を開始したのが2015年6月のことでした。
2015年シーズンは年間通してランボルギーニのスーパートロフェオカップに参戦します。
「もともと若い頃からクルマを走らせるのは好きでしたが、ちゃんとサーキットでレースをするのはこの時が初めてでした。
しかし、この年に初めて行われたマレーシアのクアラルンプールの市街地サーキットで初代チャンピオンになることが出来たりして、火がついちゃいましたね(笑)。」
この言葉通り、2016年には早速ウラカンGT3を購入し、スーパー耐久シリーズの岡山Rdに参戦します。
「ウラカンは6000万円くらいしました……、でもGT3マシンですからね。これさえあれば色々と出られるレースの幅も広がるので買っちゃいました。」
そして2017年にはスーパー耐久シリーズにフル参戦し、現在に至ります。
メカニックの地位を向上させたい
「レースを本格的に始めるようになって、痛感したのがメカニックさんたちの苦労でした。」
木村さんがそう語るように、レースの世界のメカニックはフリーランスとして活躍している方も多く、翌年以降の仕事が定まっていない方も多いのだとか。
当然、個人事業主なので福利厚生なども存在せず「技術力もあるのに、苦労が絶えず大変な思いをしている」という現実に直面します。
そこで株式会社カーガイを設立した際に木村さんはFacebookを通じてメカニックを募集したのだそう。
現在では6名のメカニックが集まり、この4月からは新卒でやってきたメカニックが1名就職したばかりなのだとか!
「レースメカニックの地位を向上させていくと共に、腕利きのメカニックを集めて、レース屋としてもブランドイメージを上げていきたいですよね。
例えばスーパー耐久みたいなレースって、ピットにパーテーションが無いチームも多かったりするので、レーシングチームに向けて、そういうところまで含めてメカニックを派遣して、参戦チーム中〇〇チームがカーガイがサポートしてます、みたいな風になればいいなあ……!」
と今後のカーガイの展望を語ってくれました。
まとめ
SUPER GT開幕前に知っておきたい『CARGUY Racing』とそのドライバーを務める代表の木村武史さんにお話を伺ってまいりました。
また、この取材の後日、カーガイのファクトリーを訪問し、チーフメカニックの鈴木さんにお話を伺ってきました!
次回、中編ではエンジニア目線からみた『レーサー・木村武史』とはどんな人物なのか?
その素顔に迫りたいと思います!
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