今年から新たにSUPER GTへ参戦し、GT300クラスでホンダ NSX GT3を走らせる『CARGUY Racing』。Motorz編集部では、SUPER GT開幕直前のこのタイミングで、気になるその実態を直撃取材してきました!前編では「そもそも、CARGUYって何?」といった所からSUPER GTへ新規参戦するに至るまでの経緯をお届けしました。今回の中編では、同チームのファクトリーへ訪問し、チーフメカニックの鈴木さんにお話を伺ってきました。NSX GT3のメンテナンスの長を務める鈴木さんから見た、”木村武史”に迫ります!

 

カーガイレーシング、チーフメカニックの鈴木憲允さん(左)とNSX GT3のエンジン担当の『無限』のスタッフ(右) / ©︎Motorz

 

 

『CARGUY Racing』ってどんなチーム?

取材当日は開幕戦の岡山に向けた準備の真っ最中でした。 / ©︎Motorz

 

SUPER GTの開幕戦 岡山Rdを控えた4月某日、Motorz編集部は『CARGUY Racing』の本拠地である静岡県御殿場市にあるファクトリーへ訪問させて頂きました。

週末に岡山を控えているタイミングだったので、マシンの最終調整や持っていく荷物の準備が行われていました。

 

「マシンは1レース毎にミッションはバラして、異常がないかメンテナンスします。

ちょうど先週末に富士での合同テストがあったので、マシンは現状そのメンテナンスをして、ミッションもちょうど昨日組み直したばかりというタイミングです。

今やっているのはエアロパーツの補修で、いくらカーボン製で強度があるとはいえ、毎戦どこかしらにヒビが入ったり割れてたりするので、レース後はいつも大体この作業も行なっています。

レースのメカニックというとエンジン開けたりとか、そういうイメージが強いかもしれませんが、案外こういう地味な作業の方が多かったりするんですよ(笑)。」

 

と説明してくれたのは車両のチーフメカニックを担当されている鈴木憲允(のりみつ)さん。

鈴木さんは昨年シーズンはGT500クラスの37号車(LEXUS TEAM KeePer TOM’S)にメカニックとして携わっていた方で、レースの世界に憧れ、大学を卒業して、そのままレースメカニックの世界へと飛び込みました。

昨年のチャンピオンマシンのメカニックで、この業界で15年近いキャリアのある鈴木さんは、なぜカーガイへやってきたのでしょうか?

 

「1番の理由は”NSXを触ってみたかったから”だからですね!

それに、ここ4年くらいはずっと、個人事業主(フリーランス)としてやっていたので、「来年はどこのチームでやっていこうか……」と考えていたタイミングでカーガイがメカニックの募集をしていたので、応募しました。

今年からの新規チームの立ち上げというのも面白そうでしたし、本当にまだまだ若いチームなので和気藹々としていて、雰囲気もいい感じです。

チームの人数が少ないので、距離感が近く感じるのかもしれませんね、いずれにせよドライバーやメカニック、それにマネジメントの人間など、チーム全体でお互いに、気軽に意見を出し合ったりできるチームなのも良いと思ってきました。」

 

1年目の新人チームなので、まだまだ課題は山積みではあるそう。

また、専門学校卒の新卒でやってきた社会人1年目のメカニックの方もいるそうで、チームのレベルはバラバラ。

だからこそ、メカニックとしての技術はもちろん、タイヤ交換などのピット作業の練習などもレースメカニックならではの練習もチーム一丸となってスキルアップ中なのだそうです。

 

「本当にチームとしてはまだまだなんですけど、この週末からシーズンが始まって、1年後にはどんなチームになっているかが今から楽しみなんですよね。」

 

と話す鈴木さんはチーフメカニックとして、そんなチームの若さや未熟な部分も含めて楽しんでいるようにお見受けしました。

 

開幕戦の岡山に向けて、鈴木さんはカーボン製のエアロパーツの補修をされていました。 / ©︎Motorz

 

準備された岡山に向けた荷物。その量はご覧の通りで、ファクトリー裏のガレージは一杯でした。 / ©︎Motorz

 

『CARGUY Factory』はどんなところ?

©︎Motorz

 

富士スピードウェイのすぐ近くにある『CARGUY Factory』は元々、看板屋さんの工場だったのだそうです。

設備等に関して鈴木さんに話を伺うと「正直……せまいですね!(笑)」と素直なご回答。

 

「面倒をみるクルマが1台だけなら問題ないんですが、数台になる場合を考えると少し手狭かな、とは思います。

ただ普通にメンテナンスをするっていう意味では全然不自由はしてませんよ。

元々あった設備から、新たにガレージをいくつか増設したり、あとは社長のこだわりでウッドデッキも作ったりして、みんなでBBQやったりもしています(笑)」

 

ファクトリーを案内していただき、シミュレータールームなども拝見しましたが、また遊びに行きたくなるような空間でした!

 

ファクトリー2階にはレーシングシミュレーターも完備しており、その数はなんと9台!レース形式での練習も可能なのだとか。/ ©︎Motorz

 

取材当日はCARGUY Racingが今シーズンから走らせる『CARGUY ADA NSX GT3』の最終メンテナンス中でした! / ©︎Motorz

 

CARGUY ADA NSX GT3のシャシーナンバーは “10”で、こちらは国内向けデリバリーの1号車なのだとか。 / ©︎Motorz

 

メカニックから見た木村武史の”素顔”

開幕前の岡山での公式テストの様子。 / ©︎Motorz

 

昨シーズンまではフリーランスとしてメカニックをしていた鈴木さんですが、今シーズンからは”株式会社カーガイ”の一員として戦い抜きます。

“フリーランスとして、カーガイのサポートをする”という選択肢はなかったのですか?という問いに対して

「木村さんからは”好きな方を選んで良いよ”と言われました。」とのこと。

しかし、

「この先もちゃんとレースメカニックとしてやっていくつもりなら、ウチで正社員としてやらないか?と言ってもらったので、カーガイに入社する形を選びました。」

と語ってくれました。

 

また、ドライバーとしての木村さんについて伺ってみると

 

「正直、最初は”お金持ちドライバー”なんだろう、と思っていました。

けど、すぐに取り組み方がちょっと違うなって感じました。

若くはないけど、若手ドライバーっぽいというか……いやキャリア的には若手ドライバーなんですけどね(笑)。

つまりどういう事かというと、周りの意見にすごく耳を傾けるし、なんでも飲み込みが早いので、急成長しているのが側で見ていてとても感じます。

そういう点では、年齢もキャリアも浅い”若手ドライバー”の子とすごく似ているなあって思いますね。」

 

ドライバーもメカニックも、まだまだ成長の伸び代がある『CARGUY Racing』が、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか?そして1年後にはどのようなチームになっているのか?

この時、筆者は開幕戦がとても楽しみになってきた、ということは言うまでもありません。

 

まとめ

画像提供:CARGUY

 

SUPER GT開幕前に知っておきたい『CARGUY Racing』のチーフメカニックを務める鈴木憲允さんから、チームや木村さんについて伺ってまいりました。

次回、後編では木村武史という人物の”これまでとこれから”にフィーチャーした記事をお届けします。

木村さんが熱狂的なクルマ好きであることは既に伝わっているかと思いますが、そんな木村さんが幼少の頃にクルマ好きになったキッカケというのは意外な出来事でした。

また、クルマに対してののめり込み方も他の少年とは一線を画した楽しみ方でした。

そして、これからのカーガイが目指す世界とは……?

 

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