F1デビュー7戦目にして素晴らしいパフォーマンスを見せ、バーレーンGPで殊勲の4位入賞を果たしたピエール・ガスリー。レッドブルのドライバー育成プログラムを勝ち抜いた22歳がトロロッソ・ホンダのマシンを駆り、表彰台にあと一歩迫る活躍を見せました。そんな彼が、これまでどのようなキャリアを積んできたかご存知でしょうか?今、F1で注目を集めるガスリーについてじっくりご紹介したいと思います。

 

©Shunsuke Kawai 

 

バーレーンGPで殊勲の4位、トロロッソホンダに初入賞をもたらしたガスリー

 

出典:https://scuderiatororosso.redbull.com/en_INT/article/bahrain-grand-prix-2

 

今季のF1はフェラーリ、メルセデス、レッドブルの3チームが形成する上位陣が優勝を争い、それに続く第2グループでは、より激しい戦いが展開されています。

開幕戦オーストラリアGPで上位から下位まで僅差の戦いが繰り広げられるなか、迎えた第2戦バーレーンGPでは1人の若手ドライバーが素晴らしいドライビングを見せ、大きな注目を浴びることになりました。

それは激戦の第2グループでの争いを制し、殊勲の4位入賞を果たしたトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリー。

開幕戦オーストラリアGPでは悔しい結果に終わったガスリーでしたが、それから2週間後のバーレーンでは予選から素晴らしいアタックを決めると5番グリッドという好位置を獲得。(ハミルトンの降格で1つ繰り上がり)

翌日の決勝レースでも好スタートを決めると、ダニエル・リカルドと4番手を争うなど序盤から攻めの走りを見せ、中盤以降は後方から迫ってくるドライバーたちとの戦いに徹します。

そして今季好調さが目立つケビン・マグヌッセンやニコ・ヒュルケンベルグさらには元王者フェルナンド・アロンソを従えたガスリーは、激戦の第2グループを盤石な走りで制し、見事4位フィニッシュを決めたのです。

チェッカー後のチームラジオでは「信じられない。本当にありがとう。」と涙声でチームに感謝し、開幕戦を散々な結果で終えたチームのムードは一変。

まるで優勝したかのような賑やかさで、バーレーンGPを締めくくることになりました。

この活躍でガスリーはファン投票で決められるドライバー・オブ・ザ・デイに選出され、今大きな注目を集めています。

では、そんな彼はこれまでどのようなキャリアを積んできたのでしょうか?

早速ご紹介していきたいと思います。

 

ピエール・ガスリー:プロフィール

 

©Shunsuke Kawai

 

プロフィール

英字:Pierre Gasly

レース中継表記:GAS

国籍:フランス

生年月日:1996年2月7日(22歳)

カーナンバー:10

デビュー戦:2017年マレーシアGP

 

F1での通算成績

出走:7戦

予選最高位:6位

決勝最高位:4位

※成績は2018年バーレーンGP終了時

 

2017年にF1参戦を果たしたばかりのガスリーは、今年で22歳を迎える若手フランス人ドライバー。

2016年のGP2王者に輝くと、その翌年にはスーパーフォーミュラに参戦し、初年度ながら2勝を挙げ総合2位という好成績をおさめました。

スーパーフォーミュラ参戦時には日本に滞在することも多く、そのため僅かながら日本語を話すことが出来たり、和食を好む一面も。

また、スポーツを全般的に好んでおり、モータースポーツの次に好きなものには幼少期に嗜んでいたサッカーを挙げ、地元フランスのクラブチームであるパリ・サンジェルマンのファンであることを公言しています。

また、下位カテゴリーでは現在F1に参戦しているカルロス・サインツjrやアントニオ・ジョビナッツィ、フォーミュラEに参戦するアレックス・リンなどと戦った経験も!

F1へのフル参戦は今季が初となっており、トロロッソ・ホンダだけでなく、レッドブルからも未来のエースドライバーになることが期待されるドライバーです。

では、そんなガスリーがどのようなドライバーなのか、彼のキャリアを振り返っていきましょう。

 

ガスリーが初めてドライブしたマシンは……現在F1で共に戦うあの人のカート!?

 

©Shunsuke Kawai

 

多くのF1ドライバーが幼少期からレーシングカートで腕を磨いていくように、ガスリーも小学校低学年の時にカートでレースキャリアをスタートさせます。

しかし、彼は元々レーシングドライバーに憧れていた訳ではなく、サッカー少年として幼少期を過ごしていました。

そんな彼の人生を変えるきっかけとなったのは、現在フォースインディアに所属するエステバン・オコン。

ガスリーとオコンはそれぞれの両親に交友関係があったことから、オコンの父から「良かったら一度エステバンのカートに乗ってみないか?」と誘われたことで、初めてカートに乗ることになったそうです。

それがきっかけで彼はサッカーを辞め、自然とレースの道に進むことになったことから、オコンとはキャリアの始まりからお互いのことを知る仲で、今では世界最高峰のシリーズでお互いの速さを競う関係に。

また、偶然にもガスリーとオコンはシーズン途中からF1デビューを果たすという共通点があり、マシンに慣れる時間が与えられない難しい境遇からF1キャリアをスタートすることになりました。

しかし、揃ってデビュー翌年にはレギュラードライバーのシートを勝ち取り、今では両者が万全の体制でレースに臨む環境を手にしています。

 

キャリア初期はフランス国内でカート、ジュニアフォーミュラで腕を磨く

 

2018シーズン開幕前に六本木で開催されたトークイベントでは幼少期の写真が公開された。 / ©Shunsuke Kawai

 

そうしてレースキャリアをスタートさせたガスリーは、まずはフランス国内のカート選手権で腕を磨いていきます。

彼が10歳の時にはフランスのカート選手権で総合4位と優秀な成績をおさめると、その4年後にはCIK-FIA ヨーロッパチャンピオンシップで総合2位に輝きました。

その翌年からはジュニアフォーミュラにステップアップを果たし、フランスF4選手権に参戦。

デビューから3戦目にして表彰台に登ると、終盤には3連勝を記録するなどフォーミュラカーでも素晴らしい適応力をアピールしたのです。

そして彼が16歳になると今度はフォーミュラ・ルノーへと戦いの場を移し初年度こそ伸び悩むものの、参戦2年目となったユーロカップ・フォーミュラ・ルノー2.0では、圧倒的な速さを見せつけ自身初となる年間タイトルを手にしています。

この圧勝によって知名度を高めた彼には、その後のレースキャリアを大きく左右する出会いが待ち受けていたのです。

 

転機となったレッドブルジュニアチームへの誘い

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC#/media/File:Pierre_Gasly_en_Motorland.JPG

 

2014年、ガスリーは現在も所属しているレッドブルのドライバー育成プログラムに招かれると、以降は彼らの支援を受けてレースを戦うことになりました。

この時からレッドブルカラーのマシンをドライブすることになり、フォーミュラ・ルノー3.5にアーデンから参戦します。

そして、タイトルこそカルロス・サインツjrに譲りますがシーズン8度の表彰台を獲得し、総合2位という好成績をおさめました。

また、その翌年からサインツjrはGP2を飛び越してトロロッソからF1デビューを果たしますが、ガスリーはF1ではなくGP2へ戦いの場を移します。

このサインツの昇格は当時18歳であったガスリーにもF1デビューのチャンスがあったとの見方も出来るのですが、この時トロロッソはすでにマックス・フェルスタッペンが契約を結んでいたため、シートに空きが無くGP2への参戦に落ち着くことになりました。

残念ながらGP2ではすぐに目立った結果を残すことが出来ませんでしたが、2015年にはレッドブルF1のリザーブドライバー契約を結びます。

引き続き参戦するGP2では2016年にアントニオ・ジョビナッツィやセルゲイ・シロトキンを抑え、参戦3年目で年間王者を獲得。

余談ではありますが、この翌年からGP2はF2へと名称を変えたため、ガスリーはGP2としての最後の王者となったことでも知られています。

こうしてガスリーはF1参戦への準備を整え、2017年のトロロッソのシートが有力視されていましたが、ダニール・クビアトのトロロッソ残留が決まった事により、ガスリーは戦いの場を日本へと移していくのです。

 

スーパーフォーミュラでF1への準備を徹底

 

出典:https://www.redbull.com/jp-ja/super-formula-shinjuku

 

惜しくもF1のシートを掴めなかったガスリーは再びGP2(同年よりF2)に残留するのではなく、ヨーロッパから遠く離れた日本でスーパーフォーミュラへの参戦を決めます。

これにはGP2の先代王者であったストフェル・バンドーンと同じように、GP2卒業後により速いフォーミュラカーであるスーパーフォーミュラでテクニックと経験を養う狙いがありました。

こうしてガスリーはチーム無限に加入すると、彼のマシンはレッドブル仕様の特別カラーに塗り替えられ、F1よりも一足先に日本のレースファンの前でドライビングを披露することになったのです。

そしてスーパーフォーミュラでは慣れないコースやマシンに序盤こそ手こずりましたが、第2戦岡山のレース2での初入賞を皮切りに以降5戦連続入賞を達成。

なかでも第4戦もてぎから第5戦オートポリスにかけて2連勝を飾り、シーズン最終戦までタイトルを争う活躍を見せました。

また、シーズン途中にトロロッソでのF1デビューを果たしたこともあり、F1に参戦するための最終戦欠場が噂されましたが、スーパーフォーミュラでの年間王者を目指して出場を表明。

しかし、残念ながら最終戦は台風の影響でレースは中止になり、ガスリーはレースが出来ないまま0.5ポイント差でタイトルを逃してしまう残念な結果に。

それでもガスリーは「石浦選手におめでとうを言いたい。スーパーフォーミュラには速いドライバーがたくさんいて人間としてもドライバーとしても多くのことを学ぶことが出来た。」と述べると、共に戦ったチーム、そしてホンダへの感謝を表してスーパーフォーミュラからF1へと戦いの場所を移しました。

 

クビアトの離脱によって突然訪れたF1デビュー

 

マレーシアGPでSTR12をドライブするガスリー / ©Shunsuke Kawai

 

スーパーフォーミュラに参戦している最中、ガスリーは突然のF1デビューを果たすことになります。

開幕前にシートを争ったクビアトが成績不振によってトロロッソを離脱することが決まり、マレーシアGPからガスリーがそのシートにおさまることが決定したのです。

しかし、テスト走行の機会が与えられないシーズン途中からのデビューは本来の速さを引き出すことが難しく、最終的に彼はマシンに手を焼いた状況のままシーズンは終了。

彼はマレーシアGPから出場した5戦全て完走を果たすのですが、入賞も叶わないまま最初のシーズンを終えました。

それまでトロロッソはコンスタントに入賞を重ねていたこともあり、このドライバー交代以降トロロッソは勢いを失い始めます。

 

走行機会が少ないなかマレーシア、日本での貴重なフリー走行がウェット続きだったこともガスリーには不利に働いた / ©Shunsuke Kawai

 

なかでも最終戦アブダビGPではレース中にスピンを喫し、思い描いた走りが出来ない悔しさを露わにする場面も見られました。

終盤にはマシントラブルも相次ぎ、最終戦でコンストラクターズランキングも7位に転落するなど、彼と同様にチームも厳しい状況のままオフシーズンを迎えることになってしまいます。

しかし、新生トロロッソ・ホンダとなって生まれ変わった今季は、チームやマシンへの理解を深めると、開幕前のテストでは黙々と走り込み、開幕前テストにおいてチーム史上最長距離を走破。

彼自身も開幕に向けて期待が持てる内容と語り、チームの進歩をしっかりと噛み締めて開幕戦に臨みました。

そして注目のなか迎えた開幕戦ではマシントラブルが発生し、予選では最後尾。

決勝でも完走を果たせずリタイアと、彼自身も肩を落とす期待外れな結果に終わってしまいます。

ですが、わずか2週間の期間でチームは開幕戦で発生したトラブルを改善すべく、2戦目にして新規のパワーユニットと空力パーツを投入し巻き返しを図る事に。

すると、ガスリーはその想いに応えてフリー走行から好調を見せ、予選では自身初のQ3へ進出すると決勝では大健闘の4位フィニッシュを達成。

このライバル達との真っ向勝負の末に掴んだ4位は、開幕戦で躓いたチームにとっても大きな意味を持つ結果となり、多くの人が彼の飛躍を感じる1戦となりました。

 

まとめ

 

©Shunsuke Kawai

 

レッドブルジュニアからはこれまで、セバスチャン・ベッテルやダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンといった優秀なドライバーたちを輩出してきました。

そして、それらのドライバーたちは例え優勝が狙えないマシンであっても、印象に残るレースを見せて一歩ずつ階段を上っていき、今回ガスリーが見せた走りも彼らに負けずとも劣らないものだったと言えるでしょう。

今後、彼がどのようなキャリアを辿るのかを判断するのは時期尚早ですが、彼の走りをもっと見てみたいと感じる方も多いのではないでしょうか。

見事な4位フィニッシュでドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれるなど、今脚光を浴びている彼の本当の勝負はここから始まろうとしています。

このように大きな注目を集めた今だからこそ、これまで彼が磨いてきた技術とスピードを駆使してライバルと素晴らしい戦いを見せてくれることを期待したいと思います。

 

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