中嶋悟、鈴木亜久里、片山右京、佐藤琢磨、小林可夢偉。日本のF1ファンを熱狂させ、世界にその名を轟かせた日本人F1ドライバー達。先ほど挙げたドライバー以外にもこれまで多くの日本人が、フォーミュラレース最高峰のF1で戦い、感動を与えてきました。その中で多くの脚光を浴びることなくも、F1に自動車メーカーの支援を受けることも無く、フル参戦を果たした、日本人ドライバー井上隆智穂(最近はタキ井上)を知っていますか?
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まずは最近の名言からどうぞ(2016年11月時点)
2017年シリーズからのF1の速さを、自身のフォロワー(約4万人)にわかりやすく伝えるべく選んだ言葉がこちら。
つまり、2016年のF1はタキ井上。2017年は赤い皇帝シューマッハだということ。熱心なF1ファンがフォロワーに多いからこそ届く、タキ井上なりにかみ砕いたメッセージです。
この記事のトップにもありましたが、消火活動中にセーフティカーに跳ねられるというF1でも前代未聞な出来事を起こしてしまったタキ井上。
今でもF1ファンの中では伝説として語り継がれていますが、それを自身でネタにするというメンタルの強さを見せています。
日本、そして世界の社会に対するタキ井上なりのメッセージ。
意識を変えるだけで貧困の、負の連鎖は止まる。そこに対するアプローチがない世の中に対する真っすぐな言葉ですね。
F1に乗るためにはどうすればよいのか?それをとにかく考え、行動し、自らの力でF1への道を切り開いたタキ井上だから重くしっかりと響くメッセージですね。
前述のメッセージとも被る部分がありますが、一回しかない人生でためらうことは損しかありません。
そこに悩む必要が本当にあるのか?くよくよ悩むぐらいなら、飛び出してしまえ!背中を押されるように感じる人も多い発言ではないでしょうか。
井上隆智穂(タキ井上)とは?
1963年9月5日生
血液型 O
兵庫県出身
1985年に富士フレッシュマンレースでデビュー。キャリアとしてはまっとうで、英国フォーミュラ・フォード1600・全日本F3選手権・国際F3000、そして1994年のF1日本GPにシムテックからスポット参戦でF1デビューを果たしました。
翌1995年にはフットワークアロウズから、念願のF1フル参戦を果たしました。
F1通算成績
デビュー 1994年 日本GP
出走 18回
決勝最高位 8位
予選最高位 18位
F1キャリア経歴
94年 シムテック ※日本GPのみ
95年 フットワーク
決勝平均順位 11.2位
決勝完走率 27.8%
井上隆智穂は1994年日本GPでシムテックからF1デビュー果たし、翌年フットワークへ移籍するとシーズン通してフル参戦を達成。
自動車メーカーの支援を受けずにF1参戦したのは、現在でも日本人F1ドライバーとして異例で戦闘力と信頼性を欠いたマシンながら、初完走の95年カナダGPで9位に入り初完走でシングルフィニッシュを果たす快挙。
結局、完走は17戦で5度と完走率は低いものの、その後イタリアGPでも8位に入り、2度目のシングルフィニッシュを果たしています。
当時の入賞は6位までという、その時代のポイントシステムに合わせて走るので、たらればはあり得ませんが仮に現代のポイントシステムならは6ポイントを獲得しています。
しかしそう考えると彼は決して恥ずかしくない成績を残したように見えなくもない気がします。
だだ飛びぬけて速かったわけではなく、彼にはF1に上がってくる速さとは別に、ある他の才能を持っていました。
メーカー支援無しでF1に乗る男 タキ井上の持つ才能とは?
彼は投票でF1史上最低のドライバーに見事選出され、本人もその評価認めています。
皮肉で見事と言っている訳ではなく、これは素晴らしい受賞だと考えられ、その中でも特に素晴らしい点は投票で受賞したということです。
これはタキ井上の後述する才能の1つであると考えられます。
例えば今でもレースシーズンが終わった後、その年のチャンピオンが決定しているにも関わらず、その年のベストドライバーを選ぶ投票があります。
多くは雑誌やウェブが主催していましたが、今年からはレース・オブ・ザ・デイとして毎戦ファンがレースごとのベストドライバーを決めるという事をFIAが主催して行っています。
しかしこれはふつうに考えれば変な話ではないでしょうか。
レースは勝者を決めるために行われるのですから、ベストドライバーはレースの勝者という事で問題ないはずです。
しかし、非力なマシンを駆りやっとの思いで届いた入賞も1つの勝利であり、特にマシン性能に差が大きいF1においてはその意味合いも違ってきます。
そこでタキ井上に話を戻せば、恐らく彼はF1で史上最低だったかというと、実際はそうではないのではないかと考えられるのです。
なぜなら仮に本当の史上最低のドライバーがいても、恐らくそのドライバーはなかなか思い出せないはずで、ここが1位を選ぶときと最下位を選ぶときの決定的な差で、下位のドライバーは印象に残る事すら困難な場合も少なくありません。
そしてファンが選ぶには、タキ井上が史上最低のF1ドライバーだったというのです。
すなわちこの賞は史上最低のF1が選ばれたのではく、思わしい活躍ができなかったドライバーの中で、最もファンの記憶に残っているドライバーが選ばれたということで、タキ井上は印象に残る出来事を作る才能と運も持っていました。
タキ井上の数々の伝説
モナコのフリー走行でオフィシャルカーに追突されたり、ハンガリーではマシンの出火を止めようと、自ら消火活動をしている際に、メディカルカーにはねられるなど、バラエティ番組などの言い方をすれば、笑いの神が降りています。
これらの出来事は世界中のF1ファンの間で有名な話で、今後そのような出来事もまず起こらないでしょうし、レースの結果とは関係ありませんがこれも伝説と言えます。
インタビューでタキ井上は、こんなコメントを残しています。
「僕は間違いなく史上最低のF1ドライバーの1人だと思うね。」と。
知っておきたいエピソード
タキ井上のエピソードでこんな話があります。
それは彼がわずか12歳の時に親に内緒でレーシングカートを購入したという話です。
当然レーシングカートは小学生が親に内緒で買えるものではありません。
ですが、これはレースキャリアを進める中で必ずと言っていい程誰もが一度は直面する問題でもあり、どうにかして資金を捻出しないとレースを続けられない、もしくは始められないという状況は避けては通れません。
彼は本当にレースが好きだったようで、その情熱からか、その壁を小学生の時点で超えてみせました。
普通12歳の子どもはいくらレースが好きでも、レースを現地で観戦する事を親にねだるぐらいで、なかなかレースを始める段階まで到達することは出来ないでしょう。
例えば親が自分の子どもをレーサーにさせたくてレースを始めたりでもしていない限り、仮にレースをしたいと頼んでも、それは親とってみても高い壁となる可能性は大いにあり得ます。
レースとお金は切っても切れない縁にあるからです。
12歳の隆智穂少年がお年玉を貯めたのか、カートショップに交渉して破格の安さで譲ってもらったのか、どのような方法でレーシングカートを買うお金を工面したのかは分りません。
好きこそ物の上手なれとは恐らくこの事で、彼が自動車メーカーの支援を受けずにF1までたどり着くことができたのはこの行動力あっての偉業だと考えられます。
この壁を越えられずレースの夢をあきらめる人は大勢いたでしょうが、何としてもレースを始める為に、子どもにはあまりに大きい障害となるものを彼は12歳で乗り越えて夢を掴みました。
レースはビジネス!?
現在タキ井上は若手ドライバーへの支援や、ツイッター、フェイスブックを通じて自身のレースに対する見解を述べるご意見番として支持され、その中で彼は自分のことを胡散臭いなど自虐を惜しみなく用いますが、多くの支持と反響があることは事実です。
それは恐らく彼の言葉にメリットとデメリット、またはギブとテイクという二面性が必ずと含まれており、これはビジネスと同じでレースもそれと同じという、彼の信条のようなものが垣間見えます。
また、そういった自身の経験を通して、若いレーシングドライバーに言葉を届ける役割を買って出ており、これは史上最低のF1ドライバーだからこそ出来るこれからのモータースポーツにとって重要な役割かもしれません。
彼は今、もしや現役時代以上にレース界から必要とされている存在ではないでしょうか。
タキ井上が絶賛しているドライバー、根本悠生の記事もあわせてどうぞ。
急きょイタリアGTに参戦することとなり、6戦中優勝3回、2位が2回という驚異的な成績を残したレーシングドライバー、根本悠生をタキ井上は大絶賛しています。
Motorzでも連載しているので、ご存知の方も多いと思いますが、根本悠生の記事も、以下にリンクを掲載しておきました。
元F1ドライバーが絶賛する記事、見ないと損だと思いますよ!
【新連載】レーシングドライバー根本悠生の新たな挑戦!10代最後の夏に、憧れのあの車に乗る! -予告編-
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プロも御用達、シミュレータの有効な活用法とは?第2回「-事前準備編-」
レーシングカーの秘密を大公開!第3回「-ランボルギーニ・ウラカン・スーパートロフェオとは?-」
イタリアGTと日本のレースの違いとは?第4回「-海外で感じたレース文化の差-」
イタリアGT連戦連勝!その裏側とは?第5回「-イタリアGT参戦記動画集-」
まとめ
今回は史上最低といわれるF1ドライバー、タキ井上こと井上隆智穂さんをご紹介しました。
少々言葉が乱暴なこともありますが、やはりレースに対する情熱は誰よりも熱いものを常に感じます。
一度タキ井上のフェイスブックアカウントを覗いてみてはいかがでしょうか?
タキ井上公式Twitter:https://twitter.com/takiinoue
タキ井上公式Facebook:https://www.facebook.com/realtaki.inoue
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