今シーズンからSUPER GTのGT300クラスに参戦を始めた『CARGUY Racing』。Motorz編集部では、同チームと代表の木村武史さんに注目し、開幕戦・岡山直前のタイミングで、その人物像や熱い想いなどをご紹介させて頂きました。今回は、デビュー戦を終えた素直な感想と、次戦に向けての意気込みを両ドライバーにインタビュー!その思いの丈を聞いてきました。
デビュー戦、岡山を終えて
Motorz編集部(以下、M):「まずはデビュー戦お疲れ様でした。初めてのSUPER GTを終えてみて、今の感想をお聞かせいただけますでしょうか?」
木村武史選手(以下、木):「ありがとうございます!そうですね、岡山に向けてボクらが掲げていた目標がいくつかあったのですが、結果的にその全てをクリアすることが出来たので、”上手くいき過ぎた”くらいの結果に、我々も驚いています。」
M:「なるほど……ちなみに岡山で掲げていた目標というのは、具体的にどのようなモノだったんでしょうか?」
木:「まず大前提として、1番大きな今年の目標として掲げていたのは「Q1突破」でした。
初参戦のチームとクルマで、初年度で、プロがしのぎを削り合う国内トップカテゴリーであるGT300クラスの、その中の半分以上に残ることができれば大満足だな、と考えていました。
普通、初参戦の初レースって「満足に走れるの?」ってレベルだと思いますし、Q1は横溝選手にドライブをお願いしたんですが、彼も1年のブランクがありました。
だから正直「Q1突破ができればいいなー」というレベルでした。」
M:「そうだったんですね!それでいきなりQ1を突破されましたが、Q1を担当された横溝選手はいかがでしたか?」
横溝直輝選手(以下、横):「そうですね、開幕戦は個人の目標でもあった予選Q1を突破することが出来ましたし、チームとして設定していた”横浜ゴムユーザーのGT3勢トップ”という目標も、ともにクリアする事が出来ました!」
木:「そうなんですよ!だからボクらの目標は、岡山の土曜日にもう達成されちゃったんですよね(笑)。
まぁ、背負うものはないので、ある意味気が楽だった部分はあったし、いい意味で気負わずにやれたのかもしれません。
ちなみに”最低限の目標”という部分では「他のチームに迷惑をかけない」という目標もありました(笑)。」
M:「予選で一時は、ポールポジション!?なんてこともありましたが……」
木:「まぁ、最終ラップで次々と抜かれて結果は11位でしたが、データも何もないマシンでいきなり半分以上に残れたことは、純粋に嬉しかったですね。
それなりにテストも重ねてきましたし、やってきたことが無駄ではなかったと自信にも繋がりました。
2つ目の密かな目標としては「プロにどれだけ肉薄できるか?」というものがあったのですが、Q2で実際に私がドライブすることになり、自分の走りがどこまで通用するんだろうか?という中で予選を11位で終えることが出来たことも、やはり自信に繋がりました。」
横:「木村選手がNSXで初めて走るレインコンディションのQ2でプロを上回る11位という結果は、正直自分のQ1以上に嬉しかったです!
今シーズンはチーム一丸となって、木村選手を日本最速のジェントルマンドライバーにしたいという強い思いでここまでやってきているので、シーズンオフの木村選手、チームの努力が報われて本当に良かった開幕戦だと思いましたね。」
木:「予選11位という結果は、急な雨などで混乱もあったからだと思いますが、それでも、私も雨でNSXをドライブするのは初めてでしたからね……。
それに予選はもちろんですが、やっぱり本番は決勝なので、決勝レースで自分がプロと何秒落ちくらいでラップすることができるのか?ということも重視していました。
レースペースだと、予想では1〜2秒くらい落ちでラップ出来るかな……?というレベルだったのですが、蓋を開けてみたらおよそ、1周平均0.8秒遅れくらいだったので、何よりもこれがスゴく嬉しかったです!!
今の自分が最大限出せたことと、結果が伴ったことが何よりも自信になりました。
決勝は15位でフィニッシュしたのですが、29台がエントリーするGT300クラスで、半分以上の15位以内でゴールする、という3つ目の目標も結果的にクリア出来ました!」
横:「ただ、もちろん毎レースこんなにうまくいくとは思っていません。
しかし今回の成果としては、うまくやれば私達でも結果が残せるという事が分かった事が非常に重要だと思っています。
これからうまくいかない時でも誰かを責めるのではなく、チームのひとりひとりがみんなを信頼し合い「木村選手をとにかく速く走らせたい」という強い思いを持つ事で、カーガイレーシングはこれまでにないレーシングチームとして、これからもどんどん強くてかっこいいチームになっていけると思っています。」
「私は大リーグ養成ギプス」
M:「岡山では木村選手も予想外の嬉しい結果となりました。
このあいだインタビューさせて頂いた時にも、少しそんな話にはなりましたが、”目標”って少しずつ高くなっていくものだと思うのですが、この岡山を踏まえて、現在カーガイレーシングで考えている目標は何かありますか?」
木:「そうですね、確かに、今年の目標が達成されてしまったので、今シーズンを戦い抜く上で新たに高い目標を設定する必要がありますよね。
次戦の富士に向けて、現在チームで目標や作戦を考えている最中ではあるのですが、その前に私がマシンに乗る”意味”と”意義”について説明する必要があると思います。
私はなんでチームオーナーではなくドライバーとしてマシンに乗っているか?というと、その方がチームが強くなるからなんですよね。
というのは、私の周りは横溝選手であったり、メカニックのみんなであったり、当然その道のプロを集めています。
私はドライバーとしてマシンをセットアップしていく能力は無いので、ウチのNSXをセットアップしているのは横溝選手です。
言い方は悪いですが、マシンのセットアップが悪くていいパフォーマンスが出せなかったとしたら、それはセットアップした彼の責任となるわけです。
それはまたメカニックも然りで、要するにドライバーでありながらチームオーナーとしてボクも”プロ”として全てを委ねているんです。
これが出来るのはジェントルマンドライバーの特権なんじゃないかなあ。
嫌味ナシで本音で語りますが、みんなボクを速く走らせる為に色々と尽力してくれています。
それがチーム全体の連携も生んで、メンバーのスキルアップにも繋がって、この結果に繋がったのかな、とも思っています。
しかし、所詮わたしはプロの中にアマチュアが混ざっているようなものでもあるわけで、みんなの負担になっている部分もあります。
……昨年のブランパンGTアジアの富士でカーガイレーシングは優勝したのですが、その時の布陣は横溝選手とケイ・コッツォリーノ選手でした。
つまり、どういうことかというと、私は大リーグ養成ギプスで、私のお守りをしなくて良くなった時こそがチームの真価が発揮される瞬間なんですよ。
これは去年のブランパンで私が確信した部分でもあります。」
M:「ドライバーと同時にチームオーナーであるからこそ、チームとして勝利が欲しい時には身を引く…ってことですね?」
木:「はい。これはジェントルマンドライバーにしか出来ないことですし、そういう意味では、私はジェントルマンドライバーのモルモットとして成果を上げていくことで、ジェントルマンドライバーからのステップアップの一例になりたいな、とも思っています。」
第2戦、富士に向けての秘策!
M:「大リーグ養成ギプスとは、また面白い例えですね……(笑)」
木:「いや、でも本当にそう感じたんですよ。ブランパンで結果としても証明できましたし(笑)。
今年の目標を岡山で達成しちゃったら、今度は「チームとして、カーガイレーシングは今どのくらいのポテンシャルを持っているのかな?」という興味が湧いてきたんですよ。
チームとしての真の力は私が外れた時に発揮されると思っているので、次戦の富士では早速、チームのポテンシャルを測りに行こうと思っています。」
M:「木村さんはドライバーとして外れる……ということですか??」
木:「いや、富士500kmは長丁場なので、ケイも投入して3名体制にしようと思っています。
恐らく、予選に関してはQ1を横溝選手、Q2はケイ選手に任せてみようかな……と思っています。
ですが曲がりなりにも、私にもドライバーとしての矜持がありますから、当然公式練習などで、ケイ選手よりも私の方が速ければQ2は私が走る予定です。
Q2をどちらが担当するかはまだ決まっていないので、そこにも注目して頂けると、我々としても嬉しい限りです。
とにかく次の富士は、今の我々の実力を測る良い機会にしたいと考えています!」
M:「そうなると、横溝選手にはかなりプレッシャーが掛かると思いますが……?」
横:「はい(笑)ただ、うまくやれば私たちはスーパーGTの舞台でも結果を残せるということが分かったので、早速結果を出していけたらな!と思っています。
他のチームに比べたら少し特殊な環境ではありますが、ボクはこのファミリーの一員になることが出来て、とてもハッピーです。
次の富士も是非注目してもらえたらと思います!」
まとめ
デビュー戦で大成功をおさめたカーガイレーシングですが、次戦の富士もこの勢いに乗ることが出来るのでしょうか!?
果たして、大胆な”ブランパン戦法”は機能するのか!?5月3、4日のGW決戦に注目が集まります!
今後とも、Motorzではカーガイレーシングの挑戦をお届けしていく予定ですので、同チームのファンの皆さんは、是非ともMotorzもチェックして頂ければと思います。
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