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「軽=ダサい」という時代は終わった!軽自動車の進化の歴史を振り返る!

日本での四輪車販売台数の上位を占めているのは、軽自動車です。そんな軽自動車の魅力は、車体価格と維持費が安いことが一番に思いつきますが、それ以外にも魅力はたくさんあります。なぜなら、今日のように軽自動車が支持されるようになった理由には、飛躍的な技術革新がありました。

ダイハツ・タント / © 1996-2019 Daihatsu Motor Co.,

2018年販売台数トップ3は軽自動車!あえて軽を選ぶ理由とは?

ホンダ・N-BOX / © Honda Motor Co., Ltd.

2018年の国内新車販売台数ランキングトップ5を見てみると、1位:ホンダ・N-BOX(241,870台)、2位:スズキ・スペーシア(152,104台)、3位:日産・デイズ(141,495台)、4位:ダイハツ・タント(136,558台)、5位:日産・ノート(136,558台)となっています。

さらに、トップ10まで視野を広げると、10台中7台が軽自動車であり、新車市場の大半は軽自動車が占めている状況です。

現在ら日本国内でのクルマの売れ筋は軽自動車となっており、これは”比較的車体価格が安価で維持費も安い”という理由以外にも、魅力ある軽自動車が増えてきた事を表しているのではないでしょうか。

軽自動車の歴史

スバル360 / © SUBARU CORPORATION. 2019.

“軽自動車”という日本独自の規格が制定されたのは、1949年のこと。

当時は全長2,800mm×全幅1,000mm×全高2,000mmを上限とし、2サイクルエンジン100cc/4サイクルエンジン150ccを排気量の上限とするエンジンを搭載するものでした。

しかし、翌1950年7月に規格改定が行われ、エンジン排気量を2サイクルが200cc以下、4サイクルが300cc以下、全長3,000mm×全幅1,300mm×全高2,000mmまで拡大されます。

とはいえ、軽自動車黎明期には四輪車が存在せず、四輪車が登場したのは翌1951年8月に行われた2回目の規格改定で、この時に排気量を2サイクルが240cc以下、4サイクルが360cc以下に拡大されて、名古屋の中野自動車工業(後の日本オートサンダル自動車)が、国産車史上初の軽四輪車『オートサンダル』の試作を開発したのです。

そして、1955年以降にスズキ スズライト(1955年)、ダイハツ ミゼット(1957年)、スバル 360(1958年)といった名車が次々と登場。

軽自動車は、徐々に普及していきます。

その後、1976年1月には全長3,200mm×全幅1,400mm×全高2,000mm、エンジン排気量550ccまで拡大されて、現在も新車で販売されているスズキ アルトやダイハツ ミラが登場。

さらに1980年代には、低排気量のパワーを補うために過給機(ターボ)が搭載された軽自動車が登場します。

また、1990年1月の規格改定では、現行モデルと同じエンジン排気量が660ccとなり、1998年10月には全長3,400mm×全幅1,480mm×全高2,000mmとボディサイズを拡大化。

そして普通車と同じ安全衝突基準が採用され、現在の軽自動車規格に至ります。

なぜ地方都市で軽自動車が支持されるのか?


軽自動車の普及率を47都道府県で見比べてみると、一番普及しているのは沖縄県で53.55%。

そして最下位は東京で、15.84%の普及率です。

さらに順位でみれば、45位が大阪の35.56%、46位が神奈川県の26.49%と都会になればなるほど普及率が低く、逆に地方都市になるにつれて、普及率が上がっていく傾向にあります。

この現象が起こる理由として、まず交通網の発達が挙げられます。

都会は公共交通機関が発達しており、駐車場料金も地方都市に比べ高額であるため、クルマの必要性をあまり感じられず、自家用車は家族で1台のみという家庭がほとんど。

一方、地方都市は公共交通機関が都会より発達していないため、交通手段はクルマがメインとなり、クルマはひとり1台という方針の家庭がほとんどです。

そのため、家族所有で夫婦それぞれ1台ずつクルマを持つのであれば、2台目以降は軽自動車で十分というケースが多く見受けられ、さらに10代20代といった若年層は給与も低いため、価格が比較的安いコンパクトカーやさらに維持費も安い軽自動車に乗る傾向があります。

要はクルマが必需品である地方では、維持のしやすい軽自動車が普及しているのです。

安さだけが軽自動車の魅力ではない!

左から、日産・デイズ、デイズハイウェイスター、三菱・eKクロス、eKワゴン / © 1996-2019 Daihatsu Motor Co.,

近年では、性能も格段と良くなり、安全装備なども充実しているため、軽自動車と言えど、普通車並の車両価格になってきています。
そのため、かつてのように”軽自動車=チープ”という価値観は薄れてきたのではないでしょうか。

しかし、維持費の安さは相変わらず魅力的で、軽自動車税は年額10,800円。
普通車の自動車税は最低でも年額29,500円となるため、約1/3の金額です。

さらに重量税は2年継続車検を通すと、エコカー減税の適用なし·新車登録13年未満の車体重量1.5トン以下の普通車で24,600円。

それに対して、軽自動車であれば車重に関係なく6,600円と、こちらは約1/4の安さです。

また、軽自動車の自動車保険料も普通車に比べて安く、税金と保険料を比べても普通車よりもかなり格安となっています。

これら維持費の安さが魅力であることは言うまでもなく、近年では前述のように性能が向上しており、軽自動車はさらに魅力を増しているのです!

広々した車内

ダイハツ・タント / © 1996-2019 Daihatsu Motor Co.,

ダイハツ タントやスズキ スペーシアといった軽ハイトールワゴンは、屋根が高く車内も軽規格の限界まで拡充されいるので、昔の軽自動車のように圧迫感を感じることはなくなりました。

また、車内の至るところに収納スペースが設けられ、後部座席を倒せばフルフラットの空間で大容量のラゲッジスペースを確保できるなど、かなり利便性も向上しています。

ゆとりのパワーと低燃費

ホンダ・N-BOX ターボエンジン / © Honda Motor Co., Ltd.

軽自動車は排気量が660ccまでに限られており、さらに自動車メーカーは最高出力64馬力の自主規制を設けているため、山あいの登りや高速道路などではパワー不足が否めない部分もありました。

しかし近年では、トランスミッションがCVT化されたことやターボエンジンでも低回転域から高いトルクを発揮できるなど、技術の向上がなされ、軽自動車でもスムーズな加速フィールを実現しています。

また軽自動車にも、小型モーターを搭載したハイブリッドモデルが登場し、パワーと低燃費を両立させた高性能なモデルが続々と発売されています!

高い安全性能を確保

ダイハツ・タント スマートアシストⅢ作動イメージ図 / © 1996-2019 Daihatsu Motor Co.,

軽自動車というと剛性面には難があり、万が一、普通車と衝突した際には軽自動車の方が押しつぶされると言った、安全面でのネガティブなイメージも強いのではないでしょうか。

しかし、近年では、軽自動車にも普通車と同等の予防安全技術が標準装備されるようになり、事故を未然に防げるようになりました。

さらに衝突安全性能評価も、軽自動車でも普通車と同じ基準で評価されるようになったため、衝突時に衝撃を吸収する構造や乗員を守るための高強度のキャビン構造が採用されています。

そのため、万が一の衝突事故時に乗員のダメージを減らすようなフレーム技術を採用。

小さな車体でも、安全性は非常に高いレベルになってきました。

まとめ

ホンダ・S660 / © Honda Motor Co., Ltd.

現状、人気の軽自動車は、機能性を重視したモデルに集中していますが、スズキ ジムニーのような本格オフローダーや、ホンダS660、ダイハツ コペンといった本格スポーツカー軽自動車も販売され、軽自動車の楽しみ方は多岐にわたります。

ひと昔前までの軽自動車に対する価値観は「軽でいい」という妥協的な見方でしたが、今では「軽がいい」と多くの人から”選ばれる”クルマとなっているのです。

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著者:池田 勇生

自動車・バイクを専門にフリーライターをしています。10代からTVでバイクレースを観たり、自らミニバイクレースへ参戦もしたりなんかして、プロレーサーに憧れていた青春時代を過ごしていました。車離れやバイク離れといわれる昨今ですが、若い方へ多くの魅力を伝えていき今後の自動車・バイク業界を盛り上げていきたいです。

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