走行中に急激にエンジン出力が低下し、アクセルを踏んでも回転数が上がらないことがあります。こんな時は慌てずにFUELメーターをチェックしてください。燃料がなくなっていませんか?こういう時は早めにエンジンを切って、惰性で車を道路端に停車できるようコントロールして、JAFを呼びましょう。さもないと、とんでもないトラブルを起こしかねません。

掲載日:2019.8/22

出典:写真AC

ガス欠とは?

クルマが燃料切れを起こすことは、一般的に「ガス欠」と呼ばれます。

本来”ガス”とは気体を意味する言葉ですが、アメリカではガソリンのことを『Gas(ガス)』と呼び、これに由来して「ガス欠」という言葉が使われるようになりました。

ちなみにEVでは、「電欠」と呼ぶようです。

ガス欠で発生する故障トラブル

出典:https://www.rushlane.com/

ガス欠はガソリン車・ディーゼル車・FCVの燃料切れを意味しますが、ここでは馴染み深い直噴ガソリン車を例に、ガス欠による故障トラブルをご紹介します。

まずは簡単に燃料がどうやってエンジン内のシリンダーに噴射されるのかを、おさらいします。

燃料タンク内のガソリンは、自動車のキーを回す(またはスタートボタンを押す)ことでスターターが起動し、燃料ポンプの働きにより燃料パイプを通って、シリンダー内に燃料を噴射するインジェクターへと運ばれます。

インジェクターにはインジェクションノズルという細かい孔があり、そこから燃料が霧状にシリンダー内に噴射されるのです。

ちなみに、ガス欠になると、燃料をエンジン内へと運搬する一連の装置に故障が発生する可能性が生じます。

①燃料ポンプの故障

燃料を燃料タンクからエンジンへと運ぶには動力が必要で、その動力源が燃料ポンプです。

燃料ポンプはエンジンが始動している間は、必ず駆動しています。

そして、燃料ポンプ内のモーターは高速で回転しているため常に高温で、潤滑油と冷却剤が必要になります。

その、燃料ポンプの潤滑油と冷却剤には、燃料そのものを使用する設計となってるのです。

そのため、ガス欠になってもエンジンを回していると、燃料ポンプのモーターから潤滑油と冷却剤がなくなってしまうため、モーターが焼き付き故障する可能性があるのです。

②セルモーターの故障とバッテリー上がり

燃料がなければ、当然エンジンは始動しません。

ガス欠に気付かず何度もキーをひねったり、スタートボタンを押していると、セルモーターが消耗し、バッテリーが摩耗する可能性が出てきます。

自動車のバッテリーは、エンジンが始動している間に充電される仕組みになっているので、エンジンがかからなければバッテリーを消耗させる一方です。

そのため燃料を補給した後に、セルモーターを回す電力を取っておかないと、エンジンが始動しないので、本末転倒となってしまうので、注意が必要です!

③インジェクションノズル破損

直噴エンジンの場合、シリンダー内に燃料を直接噴霧するために、インジェクターノズルもシリンダー内に設置されています。

通常、インジェクションノズルはシリンダーの頂点に設置されており、シリンダー上部からシリンダー内に均一に燃料を噴霧して、均一な燃料を図る仕組みです。

しかしインジェクションノズルがあるシリンダーの頂点は、シリンダー内で一番高温になる箇所でもあり、常に冷却とノズルの微細な動きを円滑に行うために、潤滑剤が必要となります。

インジェクションノズルの潤滑剤と冷却剤も、燃料ポンプ同様、燃料です。

つまり、ガス欠ではインジェクションノズルの潤滑剤と冷却剤もなくなることになるので、インジェクションノズルの摩耗など、破損につながりかねません。

まとめ

たかがガス欠と思っているかもしれませんが、実はガス欠には燃料系装置に重大な破損を生じさせる可能性があるのです。

ディーゼル車なら上記に加えて空気混入トラブルもあり、EVやFCVなら駆動用リチウムイオンバッテリーの早期劣化も発生しかねません。

運転前には燃料のチェックを必ず行い、足りないようなら早めに補給しましょう。

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