タイヤは、クルマと路面が接する唯一の部分です。そのため、タイヤの選択はクルマの性能を決める重要なパーツになります。今回はタイヤの基礎知識を中心に、交換タイヤの選び方を紹介します。

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タイヤの基礎知識!あなたはどこまで理解している?

出典:写真AC

自動車にとって切っても切り離せない存在がタイヤです。

各タイヤメーカーから毎年のように新作が登場していることは、テレビCMなどを見ても明らかですが、メーカー間の開発・販売競争も激化し、タイヤの性能は年々良くなっています。

変更するタイヤの銘柄によっては、操作性や乗り心地が大きく異なってくるため、タイヤのチョイスはとても重要です。

しかし一体どんなタイヤを選んだら良いのか?
良いタイヤと呼ばれるタイヤは、どんな点が評価されているのでしょうか?

タイヤに関する基礎知識をご紹介していきます!

タイヤの構造

©2018 Bridgestone Corporation

まず、タイヤの構造やスペックについて解説しましょう。

タイヤの構造は断面図でみると、ビート部、サイドウォール部、ショルダー部、トレッド部で分かれます。

①トレッド部

タイヤで唯一路面と接するところで、タイヤ一本あたりハガキ一枚分程度の接触面があるとされています。

厚いゴムには溝が刻まれ、駆動や制動の際のスリップ防止やウエット路面の排水の役割を持ちます。

②ショルダー部

トレッドとサイドウォールを繋げる部分です。

タイヤ内部のカーカスを保護し、トレッド部で発生した発熱を発散させる役割を担います。

③サイドウォール部

タイヤの側面の部分。

路面と接触する部分ではありませんが、サイドウォールの材質や硬さにより屈曲して乗り味や車体の安定性に大きく作用します。

また、そのタイヤのブランド名、スペックなど様々な情報が記載されています。

④ビート部

タイヤをホイールに固定する部分。

リング状の補強構造となっており、リムとタイヤを固定させる役割を担います。

スペック表の見方

©2019 Michelin.

タイヤのサイドウォールには多くの情報が刻まれており、ここをみれば愛車に装着できるタイヤか、どれほどの性能なのか、などのをある程度は把握できます。

タイヤサイズ

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例えばタイヤのサイズ表示が『215/60R16 95H』という表記であれば、『215』はタイヤの幅が215mm、『60』はタイヤの扁平率、『R』はラジアル構造、『16』はリム径の呼称(インチ数)で16インチであることを表しています。

また、『95』は『ロードインデックス(LI)』と呼ばるタイヤ1本当たりに負荷することが許される最大の質量を表す指数で、95であれば690kgを示します。

『H』は対応速度を示す速度記号で、Hだと210km/hまで対応することを示しています。

扁平率とはタイヤのゴムの高さ(H)を断面幅(W)で割った値で、小さいほどゴムの部分が薄くなります。

ロードインデックス-負荷能力対応表
LI 負荷能力(kg) LI 負荷能力(kg) LI 負荷能力(kg) LI 負荷能力(kg)
62 265 77 412 92 630 107 975
63 272 78 425 93 650 108 1000
64 280 79 437 94 670 109 1030
65 290 80 450 95 690 110 1060
66 300 81 462 96 710 111 1090
67 307 82 475 97 730 112 1120
68 315 83 487 98 750 113 1150
69 325 84 500 99 775 114 1180
70 335 85 515 100 800 115 1215
71 345 86 530 101 825 116 1250
72 355 87 545 102 850 117 1285
73 365 88 560 103 875 118 1320
74 375 89 580 104 900 119 1360
75 387 90 600 105 925 120 1400
76 400 91 615 106 950 121 1450
速度記号対応表
速度記号 最高速度(km/h)
L 120
N 140
Q 160
R 170
S 180
T 190
H 210
V 240
W 270
Y 300
ZR 240超
(Y) 300超
最高速度300km/h超の場合は、速度カテゴリー「ZR」に加えてロードインデックス及び速度記号Yを括弧書きにて表示する。
例)245/40ZR19(94Y)
 

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製造年週

©2019 Bridgestone Corporation

サイドウォールには、タイヤがいつ生産されたものかを示す『製造年週』が記載されます。

これは西暦何年の何週目に製造されたかを4桁または3桁の数字で表したもの。

4311と記載されていれば、最後の数字の『11』が2011年を示し、『43』はその年の43週目を示します。

3桁の場合は1999年以降の製造番号で、下3桁が159の場合、『9』は1999年、『15』は15週目を示します。

製造年週は買取の際に価格を決める指標のひとつであり、ゴムは経年劣化するため、タイヤを購入する際はいつごろ生産されたものか、特に中古タイヤを購入する際は必ず確認しておくことが必要です。

スリップサイン

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スリップサインはタイヤの使用頻度を見極めるためのもので、『トレッドウェアインジケーター』とも呼ばれます。

スリップサインの設置個所はトレッド全周の4~9カ所で、トレッド面が摩耗して溝の深さが1.6mmになるとスリップサインが露出。タイヤの交換時期を知らせます。

タイヤのラベリング制度とは

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タイヤのスペック表示はサイドウォールのみだと乏しいことから、平成22年から『ラべリング制度』が開始されました。

夏用タイヤを対象に、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の等級制度に基づく表示が記されています。

これは、転がり抵抗係数を”C”から”AAA”の5段階、ウェットグリップ性能を”d”から”a”の4段階で表し、転がり抵抗係数はAAAに近づくほど、ウェットグリップ性能はaに近づくほど良くなります。

グレーディングシステム(等級制度)について
転がり抵抗係数(RRC) 等級 ウェットグリップ性能(G) 等級
RRC≦6.5 AAA 155≦G a
6.6≦RRC≦7.7 AA 140≦G≦154 b
7.8≦RRC≦9.0 A 125≦G≦139 c
9.1≦RRC≦10.5 B 110≦G≦124 d
10.6≦RRC≦12.0 C

トレッドパターンやグループでどう変わる?

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トレッドパターンとは、トレッド部のグループ(溝)や切れ込みが入っている構造のことで、単なるデザインではなくクルマの性能を左右する重要な部分です。

トレッドパターンの役割は、タイヤと路面の間の水や雪、泥を除去し、タイヤの駆動力・制動力を確保。操縦安定性・放熱性を向上させます。

トレッドパターンの種類はグループ形状で異なり、縦溝が入った『リブ』、横溝の『ラグ』、リブ型とラグ型を併せた『リブラグ』、独立したブロックが配列された『ブロック』の4パターンが基本です。

グループが多いことでのメリットは、表面が柔らかくなることにより乗り心地が良くなり、ロードノイズが減ること。

一方でデメリットは、タイヤからのパターンノイズが増加し、タイヤが柔らかくなることでハンドリングが悪くなることです。

乗用車向けに市販されているタイヤのほとんどは、縦溝と横溝を併せたリブラグ構造ですが、縦の溝は排水性、横の溝は泥や土での走破性に関係します。

そのため舗装路をメインで走る場合は、縦溝が多いトレッドパターンのもの、SUVのように未舗装道路を走行することも考慮したいときや、重量物の牽引をすることがある場合は、横溝が多いトレッドがおすすめ。

また、スポーツ性能に優れたタイヤにしたい方は、グルーブの少ないものを選べばトレッド剛性が上がり、ハンドリングが向上します。

このように用途に合わせてトレッドパターンを選ぶことで、あなたに合ったタイヤに巡りあえるでしょう。

まとめ

出典:写真AC

タイヤはゴムの塊とはいえ、タイヤの選択次第では操作性や乗り心地だけでなく、安全性も大きく左右されるため、乗れれば何でも良いというわけにはいきません。

タイヤに関して全くの無知であれば、お店の方に相談すれば良いですが、ある程度の知識をつけることで、より愛車に合ったタイヤに出会えるでしょう。

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