2019年も秋が深まり、そろそろ冬本番が近付いています。その前に用意しておきたいのがスタッドレスタイヤ!そこで今回は、スタッドレスタイヤを選ぶうえでのポイントを紹介します。

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スタッドレスタイヤの選ぶ基準とは

© 2019日本グッドイヤー株式会社

降雪地域に住んでいるなら、冬場はスタッドレスタイヤに履き替えることが必須です。

また、降雪がさほどない都内や本州の太平洋側でもスタッドレスタイヤを用意、または履き替えることを国土交通省は推奨しています。

しかし、スタッドレスタイヤまたはスノータイヤと呼ばれるものなら、何を履いても良いという訳ではありません。

オールシーズンタイヤという手段もありますが、スタッドレスタイヤを選ぶときは住んでいる地域、クルマの使用頻度に合ったタイヤを選ぶことが大前提となります。

スタッドレスタイヤとスノータイヤの違い

日本で降雪に備えて装着するタイヤは、『スタッドレスタイヤ』と呼ばれるものが一般的です。

しかし、『スノータイヤ』、『ウインタータイヤ』、『スパイクタイヤ』などもあり、どこが違うのか混乱することもあります。

スタッドレスタイヤ

出典:写真AC

スタッドレスタイヤは、雪上や氷上の性能が重要視されるため、ラジアルタイヤに比べてタイヤ表面の凹凸が大きく、複雑なトレッドパターンをしています。

ノーマルタイヤは温度が低くなると、ゴムが固くなってグリップ性能が低下しますが、スタッドレスタイヤは低温でも柔らかさを保つ特殊コンパウンドが使用されているのです。

また、タイヤの表面が水分を吸収し、路面との間に摩擦を発生させることで、タイヤに必要な機能を発揮。

より水を吸収しやすくするために『サイプ』という細かい横溝が多数入っているのも特徴のひとつです。

これら特殊な構造により、ノーマルタイヤだと走行が困難な雪上・氷上も走行可能。

雪上・氷上性能を重視するためドライ路面やウェット路面で走行時の乗り心地やグリップ力は低下しますが、最近はそのあたりのデメリットも改善されつつあります。

スパイクタイヤ

スパイクタイヤ / © 1996-2019, Amazon.com, Inc.

スパイクとはスタッド(stud|鋲)を意味し、トレッド面にスパイクを装填して雪上・氷上での食いつきを良くしたタイヤです。

スタッドレスタイヤが登場するまでは、スパイクタイヤおよびスタッドタイヤが主流でしたが、1990年6月27日に成立したスパイクタイヤ粉じんの発生防止に関する法律により、使用禁止となりました。

なお、北欧の一部では使用が認められている地域もあり、雪上ラリー競技でも使用されています。

スノータイヤ

海外向けスノータイヤ / © 2019 The Goodyear Tire & Rubber Company

スノータイヤは、スタッドレスタイヤが登場する以前、スパイクタイヤが禁止されていなかった時代に使用されていたノンスパイクタイヤを指します。

ノーマルタイヤよりもトレッドパターンが複雑で、滑らなくするための表面の凹凸が激しく、雪上での路面とタイヤとの抵抗を高めています。

しかし、ノーマルタイヤとゴム自体が基本的に同じなため、低温度でゴムが硬化しやすく、氷上ではとても滑りやすいのでチェーンが必要です。

ウインタータイヤ

ウインタータイヤとは、スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スパイクタイヤなど、冬場に雪上・氷上を走行するためのタイヤをひとまとめにした総称です。

スタッドレスタイヤはホイールとセットで購入すべき

出典:写真AC

スタッドレスタイヤは、ホイールと購入するのが一般的。

もしタイヤ単体でノーマルタイヤをホイールから取外してスタッドレスに履き替えたとしても、その際の工賃が余分にかかります。

特に、お店へ持ち込むと、そこで購入するより工賃が割高になり、ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤ、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤに履き替える工賃だけでも相当な金額です。

そのため、工賃とホイール代を天秤にかけても、タイヤとホイールはセットで購入したほうがお得。

また、スタッドレスタイヤのサイズは、ノーマルタイヤ同様の指定サイズを装着するのが好ましいため、メーカーの特別仕様車やディーラーオプションなどで、純正サイズよりもインチアップされたサイズのタイヤが装着されることがありますが、それでもオプションサイズではなく標準モデルのサイズを選んだほうが無難です。

理由は、機能性やスタイルを重視したインチアップタイヤでは、性能上ノーマルタイヤでは許容範囲であっても、雪道走行に適したサイズではないため、雪道のグリップ性能が低下するからです。

スタッドレスタイヤに求める性能

出典:写真AC

ラジアルタイヤの基本性能は、1,直進安定性、2,ドライ性能、3,ウェット性能、4,低燃費、5,ライフ、6,静粛性、7,乗り心地の7つです。

スタッドレスタイヤではさらに、8,アイス性能、9,雪路性能が追加され、求められる性能はラジアルタイヤより多いということになります。

しかし、トータルで最高レベルに達するスタッドレスはなく、どこに重点を置くのかは、用途による選択が必要です。

No, 基本性能 内容
1, 直進安定性 一般道を含め、高速道路、自動車専用道路などカーブの無い道を走行する際や高速クルーズ時に車体が安定性。
2, ドライ性能 路面が乾いているときに走行するときの性能
3, ウェット性能 雨天時や雨天直後、朝露により路面が濡れた状況で走行するときの性能
4, 低燃費性能 スタッドレスはラジアルより燃料が低迷しますが、燃費性能も年々向上しています。
5, ライフ タイヤの使用可能な期間。スタッドレスは3年から4年ほどの寿命と言われています。
6, 静粛性 スタッドレスは複雑なトレッドパターンにより、走行時にタイヤと路面の接地面から音が発生します。静粛性は、そういった音をどれほど抑えることができるかを指す性能です。
7, 乗り心地 スタッドレスはラジアルより凹凸が激しいため、乗った時にごつごつした感覚が車内まで伝わり、乗り心地が悪くなります。スタッドレスが高性能化するにつれ、雪上・氷上路面以外での乗り心地も重要視されています。
8, アイス性能 氷上でどれほどグリップ力を確保でき、ブレーキ時に制動距離を抑えれるかを指す性能です。
9, 雪路性能 雪上路面において圧雪されずふかふかした状態や、雪が解けてきてシャーベット状になった状態でも、グリップ力を確保でき、ブレーキ時に制動距離を抑えれるかを指す性能です。

スタッドレスタイヤの選択は生活スタイルや住んでる地域に合ったものを選択

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スタッドタイヤをメーカー別にそれぞれ見てみると、絶対的に人気が高いのはブリジストン ブリザックで、北海道や東北地方など積雪地帯での装着率は圧倒的に高割合。

人気や販売数をトータルで順に並べると、2位にミシュラン X-アイス、3位にヨコハマタイヤ アイスガード、4位にダンロップ ウインターマックス、5位グッドイヤー アイスナビとなります。

[装着率ナンバー1]ブリジストン・ブリザック

ブリジストン ブリザックが支持されている理由は、『アクティブ発泡ゴム』や『非対称パターン』など、メーカー独自の技術がユーザーの期待通りの性能を発揮してくれること。

また、長い間スタッドレスタイヤのトップブランドとしての地位を確立しているため、市場の信頼感は絶大です。

他メーカーのものよりも若干割高ですが、積雪地域に住んでいる方、雪道での運転が不安な方はブリザックの装着が無難といえます。

[海外メーカーだが日本での開発に注力]ミシュラン・X-アイス

ミシュランは日本で初めてスタッドレスタイヤを販売したメーカーです。

日本の消費者は、海外メーカーのスタッドレスタイヤを避ける傾向にありますが、ミシュランが日本で販売するスタッドレスタイヤは、北海道 士別市を拠点に開発されています。

そのため、日本特有の水分を含んだ雪にも十分対応したスタッドレスタイヤ『X-アイス』シリーズを販売し、ドライ路での安定性やロングライフにも高い評価を得ています。

[5プラス→6で急激進化]ヨコハマタイヤ・アイスガード

ヨコハマタイヤは『アイスガード6』を2017年9月に発売。

従来の『アイスガード5プラス』よりも一段と性能が上がったことで話題になりました。

アイスガード5プラスは『氷に利く』『永く利く』『燃費に利く』がコンセプトだったのを、アイスガード6ではさらにその性能を向上させつつ、『ウェットに効く』『音に効く』というコンセプトを追加。

スタッドレスタイヤに求められる基本性能を高い次元で発揮しつつ、スタッドレスタイヤのブロック形状と路面から発せられる騒音を33%軽減。

さらに低燃費タイヤブランド『ブルーアース』に基づいて開発されているので、燃費性能も高評価です。

そのため、ドライ路面やウエット路面がメインであるものの雪上走行の性能も犠牲にできないという方にはおすすめできるタイヤとなっています。

[長持ちで経済的]ダンロップ・ウインターマックス

ダンロップ ウインターマックスの良さは、長持ちすることです。

ベーシックモデルの『ウインターマックス01』、ハイスペックモデルの『ウインターマックス02』は(その他、SUVモデル『SJ8』、商用車用『SV01』もラインアップ)、独自の構造『MAXXシャープエッジ』と特殊ゴム『ナノフィットゴム』を採用し、氷上、雪上で高いパフォーマンスを発揮。

性能を維持しながらも表面が減りにくく長持ちするため、一度購入すれば数シーズン使えて経済的です。

そのため豪雪地帯に住んでいて、スタッドレスタイヤを高い性能のまま長く使いたいという方にはおすすめのタイヤです。

[コスパ重視ならおすすめ]グッドイヤー・アイスナビ

グッドイヤーは6年前に発売した従来型アイスナビ6と2年前に発売した新型アイスナビ7をラインナップ。

アメリカのメーカーですが、アイスナビ7は住友ゴムと共同開発し生産も住友ゴムの工場で行われている、日本製用モデルです。

また、アイスナビの価格は、他メーカーの現行モデルに比べると低めに設定されていて、氷上性能はブリザックやアイスガードにくらべるとやや差はあるものの、雪上では高いグリップ力を発揮します。

そのため、トータル性能の高さのわりに安価に抑えられていることから、コストパフォーマンス面でおすすめのモデルです。

まとめ

出典:写真AC

タイヤにはさまざまなモデルがあり、どれも黒のゴムの塊のようなものなので、外観で性能を見極めるのは不可能です。

しかし、運転に直接かかわり、雪上・氷上といった過酷な状況での安全度を左右するのであれば、よく吟味し最善のものを選ぶことが重要。

そのため、最近はアジア系の格安メーカーも冬用タイヤを販売していますが、国内や欧米の有力メーカーと比べればまだまだ開発途上で性能が劣る部分もあるため、信頼のおけるメーカーのものを購入することを是非ともおすすめします。

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