フォルクスワーゲンは2019年9月に、新たなロゴとブランドデザインを発表し、今後のメーカーイメージの一新に邁進しています。なぜ、ここにきてロゴを変更したのでしょうか。探ってみました。
フォルクスワーゲンが新ロゴと新型ID.3を発表!
フォルクスワーゲンは、9月9日にドイツで開催されたフランクフルトモーターショー2019で、新型EVの『ID.3』と同時に自社の新しいロゴを発表しました。
さらに、新しい企業イメージを確立すべく、『電動化』、『コネクテッド』、『ニュートラルなカーボンバランス』といったキャッチフレーズを打ち出しています。
すでにフォルクスワーゲン本社のロゴは変更されており、今後は154の国々のディーラー約10,000件で、ロゴを変更。
主要なものだけでも7万のロゴが変更され、2020年半ばには完了する予定です。
フォルクスワーゲン・ロゴデザインの歴史
フォルクスワーゲンは、これまでに何度もロゴのデザインを変更しており、今回で12度目のデザイン変更です。
基本的に”V”と”W”が縦に並ぶデザインに変わりはありませんが、1937-1939年の初期デザインだけは、アドルフ・ヒトラーが国民車の生産を命じたこともあり、ナチスの卍(まんじ)マークを基調に歯車のようなグラフィックデザインでした。
その後、我々でもフォルクスワーゲンだとわかるデザインとなり、1967年以降は新デザインとあまり大差はありませんが、配色やグラフィックが少しづつ変更されています。
新デザインは従来とどうかわったか
新しいロゴは従来の3次元ではなく、フラットな2次元デザインとなり、シンプルな印象です。
Wの下部が輪郭のサークルから浮いていて、今後は新しい『ムービングフレーム』と呼ばれる枠の中に配置できるようになっており、デジタル時代への柔軟な対応を軸に考えられました。
配色はブルーとホワイトの組み合わせが基本ですが、追加のカラーバリエーションも認められており、フォルクスワーゲンのハイパフォーマンスグレード『GTI』には、レッドのロゴが使用されます。
なぜフォルクスワーゲンはロゴを変更したのか
フォルクスワーゲンが、これほどブランドイメージの一新に邁進する理由は、過去におこしたディーゼル不正ソフトの使用事件により、ブランドイメージが著しく損なわれた為だ考えられます。
これは、2015年9月18日にフォルクスワーゲン製のディーゼルエンジンの排出規制不正があったと、米環境保護庁が発表した事件。
環境規制検査を通過するために、検査を通過できる燃焼制御モードに変更できるような不正ソフトを使用し、実際の走行では規制値の30~40倍にもなるNOx(窒素酸化物)を排出しながら走行していたのです。
排出規制不正の対象車は、2009年から2015年に発表されたゴルフ、パサート、ジェッタ、ビートルで、さらに、フォルクスワーゲンだけでなくアウディのA1、A3、A4、A5、A6、TT、Q3、Q5など、約210万台に不正ソフトが利用されていたことが、後々報道されました。
フォルクスワーゲンは、販売した47万5,000台をオーナーから買い上げて補償。
そして罰金などを含め、250億ドル(約3兆円)も支払いました。
さらに、当時の取締役会長のDr,ヴィンターコーン氏をはじめとする役員のほとんどが辞職し、アウディ社長のルバート・シュタッドラー氏、開発担当重役のヴォルフガング・ハッツ氏が事情聴取のため拘留される事態となります。
フォルクスワーゲンにとって一番の痛手は、メーカーに対する信頼を著しく失ったことで、いち早くブランドイメージを回復することに努めなければなりません。
事件を受けて、フォルクスワーゲンは『トランスフォーム2025+』という課題を掲げ、企業構造の再構築を達成。
2025年には、様々な領域でフォルクスワーゲングループがトランスフォーメーションを行なっていくことを発表していまさ。
自動車業界が100年に一度の大変革期を迎える中、これからも自動車業界をリードしていくことと、ブランドイメージを回復し、新しい企業イメージを確立すべく新しいロゴとキャッチフレーズを発表したのです。
まとめ
過去の不祥事からのフォルクスワーゲンに対する世間の信頼は、徐々に回復したようにもみられますが、過去の顧客を取り戻し、完全に信頼が戻るまでには、まだまだ時間がかかるでしょう。
それでも、電気自動車や自動運転技術を積極的に送り出し、アウディやポルシェといったフォルクスワーゲングループ全体の技術力を底上げをしています。
新しいロゴは、そんなフォルクスワーゲンの凄みと暗い影から抜け出した新たな門出の象徴なのかもしれません。
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