昨今SUVが主力モデルとして定着し、中でも小型SUVは販売数ランキングの上位を占めるほど成長しています。そんな中、フォルクスワーゲンの新モデル『T-クロス』の売り上げが好調です。T-クロスの人気の秘密は、いったいどこにあるのでしょうか?
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ゴルフに次ぐスタンダードモデルに!?フォルクスワーゲンT-クロスが人気の理由とは
フォルクスワーゲン(VW)は、2019年11月下旬にT-クロス(T-cross)の国内販売を開始し、2020年上半期外国メーカー車モデル別新車登録台数順位で、4位を記録。全世界で見れば、2020年の販売台数は約11万台に達しています。
VWはコロナ禍の影響により、販売台数が2020年1~9月の間で前年同期比18.6%減となったものの、新モデルのT-クロスだけは大ヒット。
ゴルフに次ぐ販売数を記録し、国内のフォルクスワーゲンでは、既に主力モデルの座に降臨しています。
SUV人気が後押ししているのもありますが、激戦となるコンパクトSUVクラスにあって、これほど支持される特別な理由は、いったいどこにあるのでしょうか。
フォルクスワーゲン・T-クロスとは
T-クロスは、フォルクスワーゲンが2019年4月に発表し、同年12月に国内での販売を開始。
車体はポロと同じモジュラーアーキテクチャー『MQB』が採用され、Bセグメントに収められたことで、フォルクスワーゲンで最小のSUVモデルとなっています。
BセグメントSUVとなると、外車ではDS3クロスバック、ルノーキャプチャー、国産車ならトヨタ ライズ、ダイハツ ロッキー、最近発売されたトヨタ ヤリスクロスが挙げられます。
また、Tクロスの価格は303万円で、ライバル車と比較するとキャプチャーが299万円、DS3クロスバックが363万円、ヤリスクロスが179万円、ライズが167万円、ロッキーが170万円です。
国産車に比べれば、割高となる事は仕方ありませんが、外車勢のなかでは仏車と同等の価格設定となっています。
ポロとは違う!コンパクトだけど力強いフォルム
T-クロスの車体サイズは、ポロより55mm長く、10mm幅広く、130mm高いスタイルですが、全長4,115mm・全幅1,760mm・全高1,580mmに収められており、トヨタ ライズより大きく、ホンダ ヴェゼルより若干コンパクトです。
数字の上では、Bセグメントのサイズ枠となっていますが、ボンネット、ヘッドライトと一体化されたワイドなラジエーターグリルは、車体のワイド感を強調。
前後バンパーやサイドスカート、フェンダーあたりに無塗装の樹脂パーツが採用されているあたりも、今どきのコンパクトSUVですが、フォグランプのふちやバンパーガードを思わせるシルバーパーツは、T-クロス独自の高級感を演出しています。
VWが過去にポロをべースにSUV仕様へカスタマイズした、『クロスポロ』を発売したことがありましたが、あくまでポロの面影を残したSUV風のモデルでした。
今回のT-クロスは、クロスポロの後継モデルとも考えられますが、ポロとは一線を画す独立したモデルであることは明確。
ホイールはTSIスタイルで、18インチアルミホイールが装着され、スタイリッシュさに富んでおり、TSIアクティブは、16インチアルミホールがシンプルかつSUVらしい力強さを際立てます。
ボディカラーは7色が揃えられ、ドアミラー、ホイール、ダッシュパッド、シートが3つのカラーコンビネーションから選べる、TSI Style専用デザインパッケージも設定されました。
確実にいえることは、国産コンパクトSUVではないデザインや質感の高さを、強烈に感じさせる事です。
オシャレで機能性に富んだ内装
内装にも、VWらしい高い機能性と質感が感じられる仕様となりました。
2020年12月の一部改良では、電子デバイスの充実が図られ、フルデジタルメータークラスター『Active Info Display(アクティブインフォディスプレイ)』が出現し、メーターパネルの前面にナビゲーションモードが表示されるなど、ハイテクです。
VW純正インフォメーションシステムにはeSIMが内蔵され、常時オンライン化されることで必要な情報を受けとれる『We Connect』を搭載。
必要な情報がオンラインで表示され、情報操作は手のひらを画面にかざして動かす、ジェスチャーコントロールが可能となっています。
インパネも複雑なデザインでなく、マルチインフォメーションの操作やオーディオ、エアコンのスイッチ系は直感的にわかりやすく操作できるよう、配置されました。
デザインパッケージにより、カラフルなシートカラーやインパネ、センターコンソールのカラーが選選択可能。オシャレな雰囲気が、欧州車らしいところです。
リアシートは6:4の分割可倒式で、ラゲッジルームは通常時で455ℓ、シートを倒せば1281ℓまで容量アップ。
リアシートは前後スライド機構付きなため、必要に応じてラゲッジルームの広さを調整可能なのは、嬉しい機能です。
BセグメントのコンパクトSUVでありながら、用途に合わせてシートアレンジができる、使い勝手の良い内装設計となっています。
2リッター並みのトルク!T-クロスのエンジン
国内に導入されるモデルは、1.0リッターエンジンのみで、3気筒TSIエンジンが搭載されます。
TSIエンジンは、VWが先んじてダウンサイジングターボに注目し、作り上げた直噴ターボエンジンであり、T-クロスは最高出力116PS、最大トルク200Nmを発揮。
これに7速DSGトランスミッションを組み合わせることで、軽快かつ俊敏な走りを実現します。
トルク値は2リッターNAエンジン並み。
コンパクトかつトルク感ある加速は、狭い道や信号機の多い日本の道に最適です。
しかも、燃費はWTLCモード16.9km/Lと経済性・環境性能にも優れたエンジンとなっています。
T-クロスの安全装備
安全性能としては、VW最新の予防安全・衝突安全・二次被害防止の機能がほぼすべて、標準装備されています。
中でも縦列駐車・車庫入れの駐車時に、駐車可能スペースの検出とステアリング操作を自動で行う駐車支援システム『Park Assist』や、Park Assist作動時に障害物を検知して、警告音や自動的にブレーキ作動させる『パークディスタンスコントロール』といった、比較的難しい操作でのアシスト機能が装備され、運転が苦手な方にも嬉しい仕様となっています。
スペック&価格
TSI1st | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,115×1,760×1,580 | |
ホイールベース(mm) | 2,550 | |
乾燥重量(kg) | 1,270 | |
乗車定員(人) | 5 | |
エンジン | 直列3気筒DOHCターボ | |
排気量(cc) | 999 | |
圧縮比 | 10.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 85[116]/5,000~5,500 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 200[20.4]/2,000~3,500 | |
トランスミッション | 7速DSG | |
タイヤサイズ | 前 | 205/60R16 |
後 | 215/45R18 | |
燃費(km/L) | JC08モード | 19.3 |
WTLCモード | 16.9 | |
価格(円) | 299万9,000 |
まとめ
国産コンパクトSUVに、プラス100万円で購入できるT-クロス。
故障の少なさや耐久性、サービスの充実を選択するなら、国産車の高い信頼性を選択する方が多いと思いますが、プラス100万円が用意またはローンを組めるなら、ドイツ車ならではの高い質感やハイテクさを備えたT-クロスという選択も見過ごせません。
また国産車+100万円で、これだけの価値をプラスできる事が、T-クロスがヒットした理由といえるでしょう。