韓国の自動車メーカー、ヒュンダイは現在高級車ブランド『ジェネシス』を展開していますが、それ以前の最高級乗用車として開発されたのが2代目エクウスです。初代三菱 ディグニティ/プラウディアをベースとした初代とは異なる新開発のFR高級セダンで、海外でも『ジェネシス』ブランドが展開されるまでエクウスの名で販売されましたが、残念ながら日本へは検討のみで輸出されていません。
掲載日:2019/06/06
初代グレンジャー以来の到達点、『ヒュンダイ』ブランド最後の高級車
ヒュンダイ(韓国・現代自動車)では1980年代に三菱と技術提携、2代目デボネア(デボネアV)を初代グレンジャーとして発売し、デーウ(大宇・現在の韓国GM)から高級乗用車市場を奪取して以降、確実に高級車市場でのシェアを握ってきました。
1999年に発売した初代エクウス(初代三菱 プラウディア/ディグニティがベース)や三菱系のエンジンを搭載した3代目グレンジャー(1998年発売。日本名ヒュンダイXG)までは技術提携していた三菱の血が濃かったものの、以後独自色を強めていきます。
そして2009年11月に発売された2代目エクウスは当初輸出名が『ジェネシス プレステージ』になる予定だったとも言われる通り、高級セダン『ジェネシス』(現在の高級車ブランド名と異なり、独立した車名)をベースとした最高級セダンとして登場。
エンジンは完全にヒュンダイオリジナルのラムダ(V6)やタウ(V8)へ移行し、駆動方式もFRに移行したので、初代との共通点はロングボディの『エクウスリムジン』が設定されているくらいです。
なお、ヒュンダイは2代目エクウス発売とほぼ同時に日本市場からの撤退を表明してしまったので、日本での正規輸入販売は実現しませんでした。
独自のV8エンジンを搭載、エルメスとのコラボバージョンもあり
2代目エクウスはヒュンダイの公式ホームページに記載されているとおり、初の国産(韓国製)V8エンジンを搭載した大型高級乗用車です。
ちなみにV8エンジン自体は初代エクウスにも4.5リッターV8の『オメガ』が搭載されていましたが、これは三菱8A80そのものだったので、2代目エクウスやジェネシスに搭載された『タウ』がヒュンダイの国産エンジンとしては第1号。
当初は通常のMPI(マルチポイントインジェクション)式4.6リッター版『タウ』に6速ATを組み合わせていましたが、後に三菱の技術を使ったGDI(直噴)5リッター版『タウ』へ更新され、他に3.8リッターV6『ラムダ』エンジン搭載版もありました。
デザインは元になったジェネシスと似ており、ジェネシス自体が「フロントマスクが当時のカムリと似ているなど、他車類似デザインが随所にある。」と指摘されていたため、2代目エクウスもその呪縛から逃れきれてはいません。
ある程度似た性能、用途の車はデザインが似てくる傾向があるとはいえ、ヒュンダイがそのデザインアイデンティティを確立するには、もう少し時間が必要でした。
なお、内装にエルメスのバッグなどと同じ生地を用いた『エルメス』コラボレーションモデルも存在し、高級感をアピールしています。
主なスペックと中古車相場
ヒュンダイ エクウス(2代目) 2009年式
全長×全幅×全高(mm):5,160×1,900×1,495
ホイールベース(mm):3,045
車両重量(kg):2,025
エンジン仕様・型式:G6BAタウ 水冷V型8気筒DOHC32バルブ
総排気量(cc):4,627
最高出力:269kw(366ps)/6,500rpm
最大トルク:439N・m(44.8kgm)/4,500rpm
トランスミッション:6AT
駆動方式:FR
中古車相場:皆無
まとめ
初代グレンジャー以来の三菱の影響を受けたFF大型高級セダンから、ついにFR本格高級セダンへと進化した2代目ヒュンダイ エクウス。
マスコミ向けの試乗会ではレクサスLSやメルセデス・ベンツSクラスが比較対象車に用意されるなど品質には自信を見せたヒュンダイですが、高級車は通常の乗用車よりなお一層ブランドが大事にされるジャンルです。
『日本車の安価なフォロワー』として売ってきたヒュンダイにとっては、かつてトヨタや日産、ホンダも超えねばならなかったハードルへ挑む必要があり、2代目エクウスも後継車は新たな高級車ブランド『ジェネシス』で新たなブランディングへ挑んでいます。
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