国産自動車メーカーのスポーツカーラインナップは、以前に比べて少なくなりました。今回は国産メーカーがスポーツカーを製造しなくなった理由について、考えてみます。この理由には、自動車メーカーの企業としての立場も大きく影響しているのです。
採算が取れない(売れない)
国産メーカーがスポーツカーを製造しなくなった理由としてまず考えられることは、採算が取れない(売れない)ということです。
これは、この手の話をする上で必ず知っておく必要のある大前提で、自動車メーカーは民間企業、つまりはお金儲けを目的としている団体なので、利益を出すことができるか否かが方針を決める上での重要事項となります。
この理論に当てはめて考えれば、スポーツカーを製造・販売しても、儲けを出せないと判断していることになるのです。
燃費性能や環境性能が車に求められる時代も関係している
採算の話をしたところで、次に考えるべきことは、スポーツカーを販売しても採算が取れなくなった背景には、何があるのかということです。
この要因の1つとして、現代のクルマに求められているのが、燃費性能や環境性能であることが挙げられます。
スポーツカーが群雄割拠していた80年代や90年代と比べ、世界的にも環境問題への懸念が強くなりました。
物価の違いもありますが、90年代のリッター当たりのガソリン代は、今より30~40円以上高額でした。
このような背景を鑑みると、スポーツカーを作るよりも日頃の使い勝手が良い車を作ったほうが、ユーザーからのニーズがあると考えられ、各自動車メーカーは率先してスポーツカーを作らなくなってしまったのです。
お金に余裕のある人が少ない
上述したように様々な理由はありますが、それより大前提の最も重要な理由に、お金に余裕のある人が少ないということが挙げられます。
この点に関してはメーカーの都合ではありませんが、消費者が消費行動を起こすためには、最も重要なポイントです。
各種税金は従来よりも高くなり、根本的に自動車にかかる税金は高額となっています。
また、若者が新規で任意保険に加入すれば年間で10万円以上はかかりますし、何よりも日本国内の若者の収入はスポーツカーブーム世代の頃よりも潤っていません。
40代や50代であれば、若者よりもお金に余裕のある方が多いと思われますが、子どもの学費やおこづかい制度で自由にお金を使える人は少ないのが現実です。
そのため、スポーツカーを購入する人はさらに一部の人間へと限られ、生産数が減少するため製造コストも増大。
結果的にスポーツカーも高くなってしまい、購入が難しくなるという連鎖に陥っているのです。
まとめ
スポーツカーを製造しない理由をいくつか考え、ご紹介しました。
時代背景的にもスポーツカーを販売しにくい・販売しても売れない時代となっていることは明白です。
もちろん、他にも理由は考えられます。
しかし、独身で比較的お金を自由に使える若者の収入のベースが増えることがない現状で、税金や物価だけが高くなっていることも忘れてはいけません。
言い換えれば、そこが解決されてスポーツカーに乗る人が増えれば、メーカーも再び製造に踏み切る可能性も考えられるのです。
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