1968年に日産から発売された、「ハコスカ」の名で知られる3代目スカイライン。そのハコスカをベースとして開発された初代GT-Rは、いったいどのような車なのでしょうか。
ハコスカとは
1968年に日産から発売された3代目スカイラインC10型は、ハコスカと呼ばれています。ハコスカの由来は、箱のような形をしたスカイライン。販売当初は4ドアセダン、ステーションワゴン、バン型がラインナップされており、その後マイナーチェンジを経て、2ドアクーペモデルが追加されました。
そして、そのクーペモデルをベースに1969年、S20型エンジンを搭載した最上級グレード、GT-Rが発表されたのです。
これが現在も人気の高い、GT-R伝説の始まりでした。
初代GT-R
初代GT-Rは、3代目スカイラインC10型をベースに開発され「日産スカイライン2000GT-R」として、1969年に発売さました。
販売期間は1969年〜1972年と短いのですが、その間に前期型と後期型が登場しています。
販売価格は154万円で、当時の初任給は15,000円の時代だったため、非常に高価なモデルでした。
前期型
前期型はPGC10型と呼ばれ、4ドアセダンをベースに開発されました。
キャッチコピーは「羊の皮をかぶった狼」で、見た目はスパルタンなスポーツカーではないものの、いざ走るとS20型エンジンから繰り出されるパワーで高い走行性能を誇っています。
後期型
1970年に誕生した後期モデルは、2ドアクーペモデルのKPGC10型。変更点は、ボディー形状やホイールベースの短縮、リアにFRP製の黒のオーバーフェンダーなどが挙げられます。
2ドアクーペの流線的なボディーラインは、空力性能にも優れており、前期型より更に性能が向上しています。
ハコスカGT-Rの心臓部S20エンジン
日産は当時、プリンス自動車工業と合併し、そのプリンス自動車工業で開発されていたレース用エンジンGR8型をベースに、S20エンジンの開発は進められました。
1989cc直列6気筒4バルブDOHCエンジンの最大出力は160PS/7000rpm、最大トルク18.0kgm/5600rpmを発揮するなど、当時としてはかなりハイスペックなエンジンです。
また、レースエンジンをデチューンしたモデルでもあるため耐久性は高く、チューニングベースとしても高い人気を誇っています。
前期と後期型の主要スペック比較
車両型式
前期:PGC10
後期:KPGC10
全長×全幅×全高(mm)
前期:4395×1610×1385
後期:4330×1665×1370
車両重量(kg)
前期:1120
後期:1100
エンジン型式:S20(前期、後期同じ)
総排気量(cc):1989
最大出力(PS/rpm):160/7000
最大トルク(kgm/rpm):18.0/5600
レースでの活躍
ハイスペックなハコスカGT-Rは様々レースに参戦し、活躍しています。
デビュー戦は、前期型の4ドアセダンをベースにチューニングされたレースカーで参戦した、1969年のJAFグランプリTSレースです。
決勝戦で、ライバルとなるトヨタ1600GTと激闘を繰り広げ、デビュー戦で優勝。その後、2ドアクーペとなった後期型をベースに作られたマシンで驚きの快進撃を見せ、トータル52勝という偉業を成し遂げました。
当時のライバルである、ロータリーエンジンを搭載したマツダ カペラやサバンナと様々な激闘を見せ、レースファンを魅了しました。
ハコスカGT-Rの中古車相場
2021年1月現在、現存する車両は数える程しかありません。
中古車で出回ることは少なく、中古車販売サイトでは最低でも1500万円から2500万円と高額となっていす。
まとめ
初代GT-Rとして不動の地位を獲得したハコスカは、現在販売されているGT-Rの始祖とも言える存在です。
ここから始まったGT-R伝説は、日本のモータースポーツを今でも盛り上げ続けています。
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