ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンから販売されていたビートル(Beetle)は、いったいどんな車だったのでしょうか?その可愛いフォルムから、世界中で人気となりました。

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ビートル

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正式名称は時代によって異なりますが、日本ではビートルと言う名前で知られています。

正式名称については後述しますが、販売期間は長きにわたり、1941年〜2003年までの約60年間。

半世紀以上もの間、多くの人に愛されてきました。

その証に、累計生産台数は驚きの2152万9464台にのぼります。

生い立ち

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遡ること約80年、第二次世界大戦の頃の話です。

当初は、軍人や要人向けに作られ、戦時中に活躍し、飛躍した歴史を持っています。

戦時中は空襲により生産工場が破壊されてしまいますが、戦後に工場は復旧され、1945年より生産が再スタートします。

そしてオペルでその手腕をふるっていた敏腕経営者がフォルクスワーゲンに移籍し、その経営手腕を最大限発揮。ビートルは、アメリカを皮切りに世界各地で販売が行われるようになりました。

この成功によって、戦後壊滅的な経済状況だったドイツの復興に一役買いました。

その後、世界各地の環境対策規制などに適合しなくなった為、後継モデルとなるニュービートルにバトンタッチします。

通称

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ビートルは、そのバリエーションの多さや販売地域の多様性から、様々な通称がつけられました。

正式名称は時代によって異なりますが、「フォルクスワーゲン1200」、「フォルクスワーゲン1300」、「フォルクスワーゲン1303S」など、多岐にわたります。

そして、その多様性から「Type1」や、かぶと虫のような見た目から「ビートル」という通称で、呼ばれるようになりました。

他にも、世界各地で異なる通称で呼ばれ、ドイツでは甲虫類を意味するケーファー、アメリカではかぶと虫を意味するビートルや昆虫類を意味するバグ、ブラジルではゴキブリを意味するフスカ、タイでは亀を意味するタオ、そして日本ではアメリカと同じビートルと呼ばれて愛されています。

エンジン

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ビートルは、空冷水平対向4気筒OHVを車体後部に搭載する、リアエンジンリアドライブ(RR)方式が採用されています。

空冷エンジンのサウンドは独特で、その音を好む人も多く存在。

このエンジンは様々な気候条件にも適応し、ファミリーカーから法人車、タクシーや軍用車まで、幅広く対応。高い耐久性を誇ります。

その耐久性を買われ、飛行機やバイクにも流用されました。

レースでの活躍

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軽量ボディーに高い耐久性を誇るエンジンを搭載したビートルは、ラリーの世界でも大活躍します。

そしてアフリカのケニアで開催された、非常に過酷なサファリラリーにおいては、1953、1954、1962年と3度も優勝を手にし、その高いポテンシャルを証明しました。

主要諸元

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年式や販売地域によって細かな違いはありますが、主な車種のスペックをご紹介します。

乗車定員(人): 5
ボディタイプ :2ドア セダン/カブリオレ
エンジン:空冷水平対向4気筒OHV
全長×全幅×全高(mm):4070〜4140×1540〜1585×1500
車両重量(kg): 730〜930

中古車相場

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累計生産台数は非常に多いビートルですが、2021年3月現在、日本国内の中古車市場では球数が少なくなってきています。

また、古い年式になると経年劣化や状態が悪いのもあるため、購入の際には十分な注意が必要です。

販売価格は80万円〜500万円と、状態や希少性などにより大きな差があります。

まとめ

フォルクスワーゲンを代表するビートルは、日本国内でも多数販売されました。

旧型モデルはあまり見る機会はありませんが、後継モデルであるニュービートルは、非常によく見かけます。

フォルクスワーゲンの地位を確かなものにしたのが、このビートルだったと言っても、過言ではない1台です。