6代目R30までライトバンの設定があった日産 スカイラインですが、2代目途中までのプリンス時代には『スカイウェイ』として独立車種でした。また、初代には歴代唯一のピックアップ(ダブルキャブ)も存在するなど今からすれば興味深いラインナップでしたが、プリンスが日産へ吸収合併されて以降はスカイラインバンと名を変え、優美なスカイウェイの名は消滅してしまったのです。

掲載日:2019/06/08

初代プリンス スカイウェイ ライトバン / 出典:http://www.earlydatsun.com/princealsi2.html

 

プリンス・セダン派生商用車の後継として登場した初代スカイウェイ

 

初代プリンス スカイウェイ ピックアップ / 出典:http://www.earlydatsun.com/princealsi2.html

 

第2次世界大戦後、進駐軍によって統制物資に指定されたガソリンの入手が困難な時代に、電気自動車『たま』シリーズで乗用車市場へ進出した東京電気自動車(後にたま電気自動車、立川飛行機の後身)でしたが、朝鮮戦争の影響で鉛バッテリーの価格が急騰。

さらにガソリンの統制が解除されて電気自動車の優位性が失われたため、社名がコロコロ変わるなど紆余屈折を経て『プリンス』ブランドでガソリン車への転換を図ります。

そして乗用車プリンス セダンと商用車プリンス トラック/ライトバン/ピックアップを1952年から発売するも、ライバル他社が乗用車ベースのライトバンやピックアップを発売すると、プリンス セダンをベースとして1956年にプリンス コマーシャルバンとプリンス コマーシャルピックアップを発売。

初代スカイラインが発売されて(1957年)以降もしばらく販売されていましたが、1959年にようやく商用車のベース車もスカイラインへ切り替わり、初代『スカイウェイ』が登場しました。

このような経緯で開発されたため、初代スカイウェイは先代車同様にライトバン(ALVG系)と、ダブルキャブのキャビン後方へ独立トランクの代わりに荷台を設けたピックアップ(ALPE系)の2種類をラインナップ。

プリンス セダンから継承した1.5リッター直列4気筒OHVエンジンやフロントがダブルウィッシュボーン、リヤがド ディオンアクスルのサスペンションなどは初代スカイラインと共通でした。

そしてそれ以降、デザインの変更や排気量拡大(1.9リッター化)など初代スカイラインと同様の改良を受け、1963年9月まで販売されています。

 

プリンス時代は2代目スカイウェイを名乗ったスカイラインバン

 

2代目プリンス スカイウェイ ライトバン / 出典:https://www.imcdb.org/v662528.html

 

1963年9月にスカイラインともどもスカイウェイもモデルチェンジされますが、スカイラインのS50系やスカイライン エステート(ワゴン)のW50系に対し、スカイウェイはV51系と別型式でした。

また、グレードはスタンダードと豪華版のデラックスがラインナップされてスカイラインセダンの同グレード車にほぼ準じた内外装を持っていましたが、ボディタイプはライトバンのみでピックアップは廃止。

プリンスが日産へ吸収合併(1966年8月)されたのに伴い、1967年8月に『日産』ブランドへ改められて、ニッサン プリンス スカイライン バンとなり、スカイウェイの名はわずか8年で消えてしまいました。

 

主なスペックと中古車相場

初代プリンス スカイウェイ ライトバン / 出典:https://nissan-heritage-collection.com/SEARCH/result.php?model=&age=&displacement=&category=7

プリンス ALVG-2 スカイウェイ ライトバン 1960年式

 

全長×全幅×全高(mm):4,420×1,680×1,590

ホイールベース(mm):2,535

車両重量(kg):1,410

エンジン仕様・型式:GA4 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,484

最高出力:51kw(70ps)/4,800rpm(※グロス値)

最大トルク:113N・m(11.5kgm)/3,600rpm(同上)

トランスミッション:4MT

駆動方式:FR

中古車相場:182万~668.8万円

 

まとめ

 

初代プリンス スカイウェイ ライトバン / 出典:http://www.webcarstory.com/voiture.php?id=24821

 

商用バンにも関わらず『スカイウェイ』(航空路)とベース車のスカイライン(山並みと青空を区切る稜線)より、ある意味優雅な名前がつけられていただけに、特に初代スカイウェイの外装は当時のアメ車のごときテールフィンを持つ、当時としては躍動感あふれたデザインでした。

そのため、まだ商用車を休日のファミリーカーとして使うのが当たり前の時代でしたが、その中でもスカイウェイは『高級商用車』という後のスポーティ、または高級なステーションワゴンなどと同様の路線を狙ったモデルだったと言えます。

とはいえコンセプトとしては少々早すぎた事や、ベースのスカイラインが大衆車化した事もあって2代目では普通のライトバンになりましたが、当時の商用車の中では群を抜くスタイリッシュさだった事でしょう。

現存台数は非常に少ないようですが、2代目スカイウェイなどまだ国内外で現役の個体もあり、イベントなどでこれからも見る機会があるかもしれません。

 

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