1900馬力、0-100km/h加速2.0秒以下、価格は約2億4000万円。猛烈な数値でその存在感を示す車の名前は、あのピニンファリーナが放つハイパーEV「バッティスタ」です。各メーカーが挙って、数量を絞ったごくわずかな富裕者層向けのハイパーカーを開発する昨今、名門ピニンファリーナが放つ1台は、どんな世界を見せてくれるのでしょうか?
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ハイパーEV専門に設立された「アウトモビリ・ピニンファリーナ」
長年フェラーリのスタイリングを手懸けてきたことで有名な、イタリアの名門カロッツェリアであるピニンファリーナは、意外と知られていませんが、時計や靴など、車以外の工業製品のデザインも手懸けており、伝統を重んじつつもEVなどの新分野にも積極的な会社です。
そんなピニンファリーナは、2015年にインドの自動車メーカーであるマヒンドラグループの子会社となっており、2018年にはハイパーEVの開発製造を目的とした、「アウトモビリ・ピニンファリーナ」と呼ばれる会社を設立するに至っています。
創業者の名を冠した「バッティスタ」
バッティスタという独特の車名は、創業者であるバッティスタ・ピニンファリーナ氏に由来しています。
プロジェクトの責任者は、バッティスタ氏の孫にあたり、ピニンファリーナの会長でもあるパウロ・ピニンファリーナ氏。
プロジェクトのコンセプトは、「イタリアで設計・製造される最速にして最もパワフルなクルマに、自分の祖父の名をつけること」と「そのクルマは少量生産のハイパーカーであること」です。
開発ドライバーにニック・ハイドフェルド氏
コードネーム「PF0(ピニンファリーナ・ゼロ)」という名で始まった開発は、2020年2月に最新プロトタイプが公開され、本格的な走行テストが開始されました。
開発ドライバーにはF1経験者であるニック・ハイドフェルド氏を起用し、技術開発プログラムの統括者は、元メルセデスAMGのレネ・ウォルマン氏が担当。
モータースポーツの現場を知り尽くした充実の布陣による、開発体制となっています。
ハイパーEVならではの規格外の動力性能
4基のモーターを搭載したバッティスタの合計最大出力は1900馬力、最大トルクは234.5kgm、最高速度は350km/hオーバーという、正に桁違いの性能です。
0-100km/h加速は2秒以内で、現行のF1マシンを上回るスピードを実現。
容量120kWhのリチウムイオンバッテリーがセンタートンネルと座席後方に搭載されており、1回の充電で450kmの走行が可能とされています。
ピニンファリーナならではの美しいスタイリング
直線と曲線が絶妙なバランスで組み合わさったエクステリアは、複雑な面構成ながらもクリーンにまとまっており、さすがはピニンファリーナと言った所でしょうか。
ボディはフルカーボンモノコックの前後にアルミ製のサブフレームを組み合わせたスーパースポーツならではの構造で、2枚のドアははね上げ式です。
可動式のリアウイングはダウンフォースをコントロールできるほか、ブレーキングにおける速度低減にも貢献します。
未来感と上質さが融合したインテリア
スペックから想像するに、カーボン地剥き出しのレーシング然としたコクピットかと思いきや、シートにはレザーがあしらわれており、高級感のある仕立てとなっています。
さすがは、イタリアのカロッツェリアと言った所でしょうか。
また、キャビン後方にはラゲッジスペースが用意されており、超スパルタンというよりは、ある程度の実用性も考慮されているようです。
まとめ
日本での取り扱いは、ポルシェやベントレーといった高級車を専門に扱う正規輸入ディーラーであるSKYグループが手掛ける事となっています。
トリノのアトリエでわずか150台のみが販売され、日本への具体的な輸入予定台数は未定とのこと。
加熱するハイパーEV市場に、新たな一石を投じたピニンファリーナ・バッティスタ。
果たしてこの先、最高出力1900馬力という驚異的な数値を越える車は現れるのでしょうか?
これを機に、新たなEVパワーウォーズ時代が始まるのかもしれません。
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