スーパーGT第7戦タイにおいてGT500クラス初優勝を飾ったレーシングプロジェクトバンドウ。GT初参戦となった1997年以来、限られた予算の中で数々のレーシングマシンをGT500・GT300両クラスに送り込んできました。イエロー・ネイビー・ホワイトが鮮やかなウェッズスポーツカラーは、今や無くてはならない存在です。今回はそんな名チーム「レーシングプロジェクトバンドウ」の歴代マシンをクローズアップします!
レーシングプロジェクトバンドウの歴史
レーシングプロジェクトバンドウの母体となっている有限会社坂東商会を1983年に立ち上げたのが、現在スーパーGTを運営している株式会社GTアソシエイションの代表取締役でもある坂東正明氏です。
「夢への挑戦」をテーマとして、1987年頃から全日本ツーリングカー選手権への参戦を開始し、GT初参戦は1997年。
ニスモが製作したS14型シルビアを駆る織戸学/福山英朗 組は、ポルシェ911やトヨタMR2を相手に善戦し、なんと参戦初年度でのシリーズチャンピオンという大金星を獲得したのでした。
その後マシンはセリカやMR-Sへと引き継がれ、2009年にはレクサスIS350で再びGT300チャンピオンに輝いています。
そして今回初優勝を飾ったGT500クラスへは2011年から参戦しており、今年で6年目となりました。
今後も織戸学選手や谷口信輝選手らを輩出したレーシングプロジェクトバンドウの活躍に期待しつつ、歴代GTマシンをご紹介していきます!
まずは爆走坂東組を世に知らしめたGT300編!
1997年シリーズチャンピオン RS☆R シルビア 織戸学/福山英朗 組
レーシングプロジェクトバンドウのGT参戦初年度となった1997年。
参戦台数が大幅に増加してきたGT300クラスにS14型シルビアを投入しました。
それまでエアリストリクターの影響を受けないNAエンジンで参戦していたシルビアですが、高回転化の弊害として信頼性の低下が顕著になっていました。
そこでニスモは1997年シーズンからシルビアをターボ化し、信頼性向上を実現したのです。
織戸学/福山英朗 組が駆るRS☆Rシルビアは開幕戦でいきなり優勝し、その後も5連続表彰台を獲得。
対してライバルであるタイサンスターカードRSR(前年度チャンピオン)も2勝を挙げており、シーズン終盤にかけて猛追します。
お互いに100Kg近いウェイトハンデを積載した状態で臨んだ最終戦、タイサンが2位表彰台を獲得して見事チャンピオン・・・かと思われましたが、なんと1点差でシルビアが逃げ切りシリーズチャンピオンを獲得しました!
これはレーシングプロジェクトバンドウ、さらに織戸学選手にとって初めてとなる全日本選手権でのチャンピオン獲得です。
1998~2000年 ウェッズスポーツセリカ 織戸学/マッシミリアーノ・アンジェレリ 組(1998年)
1998年の第4戦から投入されたレーシングプロジェクトバンドウのST205セリカ。
JTCC時代のトヨタ・エクシヴから主要コンポーネンツを受け継ぎ、2リッター直列4気筒自然吸気エンジンを搭載。
セリカというと4WDのイメージしかありませんが、JGTC参戦車はFFとなっています。
シーズン途中からの参戦にも関わらず、連続表彰台獲得でランキング2位!
今やお馴染みとなっているウェッズスポーツカラーが登場したのはこの年からです。
翌1999年には織戸学/原貴彦 組が初優勝を果たす等、GT300に無くてはならない存在となりました。
2001~2003年 ウェッズスポーツMR-S 田中実/後藤聡 組(2001~2002年)
競争が激化する一方のGT300クラスにおいて、セリカに代わる新たなマシンとして2001年から投入されたのがトヨタMR-Sです。
GTマシンは市販車の1.8リッター直列4気筒エンジンを搭載せず、GT500クラスのスープラで実績のある2リッター直列4気筒ターボの3Sエンジンを搭載。
そこにFAS(フレッシュエアーシステム)と呼ばれるターボラグ軽減システムが付加される事で、コーナー立ち上がり時の加速性能が向上されました。
しかしながら、ベース車由来の極端なショートホイールベースにより非常にピーキーな挙動を示す特性を持っており、同時期にMR-Sを投入した各チームがそれぞれ違った足廻りを採用している事からも、いかに手なずけるのが難しいマシンだったかが見えてきます。
2002年からはフェンダーや各部エアインテーク等の形状を他チームと大きく差別化し、独自の進化を果たします。
2003~2008年 ウェッズスポーツセリカ 青木孝行/谷口信輝 組(2004年)
レーシングプロジェクトバンドウの歴代GTマシンの中で最も長く使用されたのが、2003年第3戦より投入したZZT231型セリカです。
ベース車の駆動方式がFFであるのに対し、GT500クラスに参戦するスープラの主要コンポーネンツを移植して開発されたGT用セリカはFRに変更されています。
エンジンはMR-Sから引き続き搭載される2リッターの3Sターボです。
コーナー手前の減速時にバリバリ!バンバン!とFAS作動音を響かせていたのが印象的でした。
通算で4勝を挙げているが、年々競争が激化するGT300クラスにおいて、相対的に戦闘力の低下が著しくなってきた事でレクサスIS350にバトンタッチしました。
2008~2010年 ウェッズスポーツIS350 織戸学/片岡龍也 組(2009年)
2008年第3戦から投入されたレクサスIS350。
ベース車の駆動方式がFRであるのに対し、GTマシンはフォーミュラニッポン用の3リッターV型8気筒エンジンをミッドに搭載したMRとしました。
投入当初より抜群の速さを発揮するも、接触事故や車両トラブル等の不運が重なって結果を残せずにいましたが、2008年第7戦で決勝グリッド最後尾から怒涛の追い上げで初優勝を飾っています。
これはGT300クラス史上初めてとなる快挙です。
2009年には織戸学/片岡龍也 組という元GT500ドライバーコンビとなり競争力が向上。
開幕戦岡山での優勝を皮切りに、毎戦ポイントを獲得して見事シリーズチャンピオンに輝きました!
レーシングプロジェクトバンドウ、そして織戸学選手にとって1997年RS☆Rシルビア以来2度目のチャンピオン獲得です。
2015年~現在 UPGARAGE BANDOH 86 中山友貴/山田真之亮 組(2016年)
バンドウの名がGT300に帰ってきたのは2015年シーズン。
2014年から試験的に導入されていたマザーシャシーのトヨタ86MCを採用。
GTアソシエイション主導による4.5リッターV型8気筒エンジンを搭載し、メンテナンスをRS中春と共同で担当しています。
2年目の今年は4位入賞を2度獲得する等着実に速さを増しており、今後の活躍に益々期待が高まります!
懐かしいGT300マシンを見たところで、次のページではついにGT500マシンの登場!
2016年現在、参戦しているレクサスRCFだけじゃなく、レクサスSC430も登場しますよ!