強すぎる1号車の足元を支える「ミシュランタイヤ」

Photo by Tomohiro Yoshita

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その中でも、異常なまでの強さを見せているのが1号車。たった4戦で50ポイントを稼ぎ、後半戦は積載重量の最大値にあたる100kgのウェイトハンデを積む。

いくらウェイトを積んでもライバルに負けない速さを維持しているのだが、それを可能にしている存在が「ミシュランタイヤ」だ。

全15台が参戦しているGT500クラスの中で、ミシュランを使用しているのは1号車と46号車の2台。GT500といえば長年ブリヂストンが主流と思われがちだが、直近5シーズンをみるとミシュランが4度のチャンピオンを獲得しているのだ。

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またブリヂストンは3メーカー10台に供給しているのに対し、ミシュランは2台のみ。供給台数が少ない分テストで一度に得られるデータは限られているが、逆に2台に集中している分、各サーキットやコンディションにピンポイントに合ったタイヤを用意できるというメリットもある。

そして何より1号車の今季の戦いぶりをみていると、この2年で培ってきた「チャンピオンを獲得するために最低限徹底しなければいけないこと」がしっかりできていることなのかもしれない。

それは「ミスをしない、トラブルを起こさない、運を味方につける」ということだ。

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金曜日のピット作業練習の様子(Photo by Tomohiro Yoshita)

今回の記事では1つ1つを振り返っていくことはできないが、ここまで50ポイントも稼いでこれている大きな要因となっていることは間違いない。

1号車は、ここまで紹介して来た要素が全て完璧に機能しているため、どれだけ重いウェイトを積んでも何事もなかったかのように上位に食い込めているのだろう。

これを徹底していければ、もしかすると最終戦を待たずに3連覇の偉業を成し遂げる可能性もありそうだ。

 

後半戦は46号車に期待!

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このまま行けば、GT-R勢が全戦優勝を成し遂げる可能性もゼロではなくなってきた。

とは言うものの、1号車は次回の鈴鹿から100kg、12号車も56kgとウェイトが重くなり始めており、いくら最強最速のレースを見せてきた彼らも簡単にトップに立つことは難しくなってくる。

その中で注目なのが46号車だ。

今年はGT500ルーキーの千代が大活躍を見せており、毎回予選・決勝ともに上位に食い込む走りを見せている。しかし、第2戦以降は不運なトラブルやアクシデントが続き、結果が残っていない。

ただ第6戦鈴鹿では、クラスの中では比較的軽い30kgのハンデで臨むことができるため、ウェイトの差が影響して来やすい長丁場戦で有利に戦うことができるだろう。

その次に予定されている第7戦タイ・ブリーラムは46号車が一番得意としているコース。2014年はポールポジションを獲得し、優勝も見えていたが不運なトラブルで脱落。2015年はZENT CERUMO RC Fとの激闘を制し優勝を飾っている。

ここまでくると上位陣のウェイトは60kg以上が当たり前のなる傾向があり、みんなが重い状態の中でレースを進めていくことになるため、12号車や24号車にもチャンスが出てくることも考えられる。

そして急きょ2レース開催が発表されたツインリンクもてぎでは1レース目が1ポイント=1kg計算で実質的にこれまでの半分になり、最終戦は全車ウェイトがゼロになる。

こうなれば、GT-Rが持っている高いパフォーマンスが発揮されるのは確実だろう。

まとめ

Photo by Tomohiro Yoshita

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正直、今年もGT-R勢が手強い存在になるだろうとは思っていたが、ここまで独走してしまうことになるとは、誰もが予想していなかったことだろう。

実際にここでは紹介しきれていない部分もたくさんあるのだが、彼らはこれを成し遂げるためにサーキットに着く前やシーズン前の段階から、非常に細かいところまで気を使って各レースで最高のパフォーマンスを引き出せるような取り組みを行っている。

もちろん、ライバルも勝つために最善を尽くして各レースに臨んでいるのだが、現状ではGT-R勢、その中でも1号車が頭一つ抜け出るのは確実だろう。

GT-Rの全戦優勝を期待する一方で、そう簡単にレースが進んでいかないのがSUPER GTの最大の魅力。第6戦鈴鹿がどんな展開になるのか、目が離せない。