サード×ブリヂストンのコンビネーション

©︎TOYOTA

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最終ラウンドで大量得点を手にして、逆転チャンピオンになった印象が強いが、実は今年の39号車の成績を振り返っていくと、全戦で8位以内に入賞しポイントを獲得。優勝1回、2位は3回とシーズンの半分は表彰台を獲得し、シーズン通しての平均順位は4.5位。

それもウェイトハンデが比較的重い中盤、後半戦で2位を獲得できているのが、大きなポイントだった。

この快進撃を可能にしたのが“タイヤ”だったと平手は語る。

「シーズン始めのテストの段階で、昨年の(レクサス勢での)ランキング順でいくと一番下だったので、トップだった38号車が選んだタイヤで開幕戦を迎えました。そのあと、富士以降は他のチームと比べても硬めのタイヤでパフォーマンスを出すことができました」

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「エンジニアの田中耕太郎さんがそういうクルマを作ってくれて、硬めのタイヤはソフト側と比べて長く走れるし、硬いからといって(予選での)一発のタイムが出ないわけではないので、富士以降、硬めのタイヤでもパフォーマンスを引き出せるクルマを作ってくれたことが大きいです。そこは耕太郎さんとブリヂストンさんのおかげで、クルマが(ウェイトハンデの影響で)重くなっていく状況の中でも、パフォーマンスが発揮できたことがGT-Rに勝てたのかなと思います」

スーパーGTはマシンのポテンシャルも重要だが、世界で唯一と言って良いほど複数のタイヤメーカーが参戦しており、“タイヤ”という要素も勝敗に大きく影響する。

それは同じタイヤメーカー内でも、それぞれにあったものを見つけ開発していけるかというのも重要。

その中で、良いものを見つけられたのが、シーズン通しての力強さに繋がった。

 

最終戦1レース目での“敗戦”

Photo by Tomohiro Yoshita

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そして2日連続で最高の結果を出せた最大の要因。それはもしかすると「1レース目の敗戦」だったのかもしれない。

朝に行われた予選では、ハーフウエットという難しいコンディションで、コバライネンのアタックをみせポールポジションを獲得。スタートから平手もトップを死守し後続を引き離す勢いを見せた。

しかしここで想定外のことが起こる。2番手スタートのNo.24フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝)がタイヤ無交換作戦を敢行し、逆転トップに。コバライネンも最後までプッシュし、最終ラップまでトップ奪還を狙ったが、わずかに届かず。0.2秒差で2位チェッカー。

今季3度目の“2位”だ。

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レース後の2人は、ランキングトップに立てたという事よりも“勝てなかった”ことに対する悔しさが強かった。

特に最後トップ争いで競り勝てなかったコバライネンは、珍しく気持ちが表情に出ていたのが印象的だった。

1レース目を終えた後の平手も「ランキングトップには立てましたが、優勝できなかったことによる悔しい気持ちがすごいあります。明日は絶対勝ってやろうという強い気持ちがあって、ニスモを倒そう!というチャレンジャーとしての気持ちがありますね」と笑顔も少なめ。

チャンピオンもそうだが、純粋にレースに勝ちたいと言う気持ちで、チームが統一され、それがランキングトップというプレッシャーのかかる状況でも、2日目の快進撃につながっていったのだろう。

続く2日目は平手がポールポジションを獲得し、決勝でも後続を引き離す力強さを披露。

後半のコバライネンも接戦の状況下でミスなくトップを守りきるレースができた。

Photo by Tomohiro Yoshita

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2レース目を終えたコバライネンは「昨日から良いペースでレースができていたから、今日は特に慌てることもなかった。昨日の僕に続いて晃平が予選で素晴らしい走りを見せてくれたし、2レースとも晃平は素晴らしい走りをファーストスティントでやってくれた。でも昨日はポールポジションからスタートしたのに2位でのフィニッシュになった。24号車とヨコハマタイヤの戦略も素晴らしかったし、我々を上回っていた。でも、決して良いことではなかったし、悔しかった」

「今日は“昨日よりも良いレース”をすることに専念した。リードを作って、それを維持して、確実にチェッカーを受ける。それができたから、今日は勝つことができた」と、前日とは打って変わり笑顔が戻っていた。

平手も「2位のままチャンピオンとっても、嬉しいけどモヤモヤしちゃうと思います。だから勝って締め括れたのは大きかったです。みんなウェイトが0kgのガチな中で予選でうちがポール取れたし、クルマとかチームのポテンシャルをちゃんと見せつけることができて、本当良い1年の締めくくりになりましたね」と、チャンピオン獲得と同時に、ずっと39号車が目標としていた優勝をハンデがない最終戦という場で決められたことに、安堵の表情をみせていた。

 

まとめ

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今回は変則的なスケジュールになったため、最終戦が強かったところがチャンピオンになったという印象を持たれている方も多いだろう。

しかし、前述でも紹介した通り、彼らは今年優勝1回、2位3回と安定して上位にいたことは確か。

開幕2連勝を飾った1号車も確かに強かったかもしれないが、彼らは3戦目以降、一度も表彰台に上がる結果を出せなかった。それが大きな違いだと思う。

2016年のチャンピオンになるのにふさわしい走りを2日連続で見せることができた。それこそが39号車の“最大の勝因”だったのかもしれない。

Photo by Tomohiro Yoshita

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