モータースポーツにおける名車が持つ歴史的価値を維持し続けるために、2015年から開催されている鈴鹿Sound Of Engine(以下、SoE)。今年も開催間近となりました。そこで、カテゴリーごとの見どころとなる参加車両をご紹介します。
ティレル P34(1977)
今年の目玉は『ティレルP34』。
かの有名な6輪を持つF1マシンです。
1976年、前輪を小さくすることで空気抵抗が減ることに気がついた、ティレルチームのデレック・ガードナー氏によって開発されました。
ただ前輪を小さくするだけではブレーキとグリップ力が足りなくなりますが、それを”前輪を4つにする”という奇抜なアイデアで解決し、一躍注目を浴びることに。
実戦で走行したのは76年と77年の2年間でしたが、76年には優勝も記録するなど記憶にも記録にも残るマシンとなりました。
今回走行するのは、元F1ドライバーであるピエルルイジ・マルティニ氏が所有する77年モデルで、オーナー自ら走行を披露する予定になっています。
また、併せて模型メーカーのタミヤが所有する76年モデルも展示される予定で、76年型と77年型を比較できる貴重な機会と言えるでしょう。
ウィリアムズ FW12(1988)
シーズン開幕から初めてアクティブサスペンションを搭載したウィリアムズのマシンが、1988年に登場したFW12です。
前年まで使用していたホンダエンジンが供給されなくなってしまったため、ジャッドエンジンを搭載しましたが、トラブルが続出。
更にはアクティブサスペンションまでもトラブルが多かったため、前年のチャンピオンから一転、ナイジェル・マンセル氏とリカルド・パトレーゼ氏の名手二人を持ってしてもランキング7位が限界でした。
昨年のSoEではトラブルにより直前に参加がキャンセルとなってしまったため、今年は満を持しての走行となります。
ベネトン B189(1989)
1989年の日本GPで、アレッサンドロ・ナニーニ氏のドライブで優勝を記録したのが、ベネトンB189です。
前年の好成績を残したB188に引き続き、サイドポンツーン上に設置されたラムエアインテークとカラフルなカラーリングが特徴的なこの車両。
設計したロリー・バーン氏は、後にシューマッハ氏とともにフェラーリ黄金時代を築く、名レーシングカーデザイナーの初期作品です。
前年のランキング3位からはひとつ下がって4位でフィニッシュとなりましたが、それでも参戦4年目のプライベーター系チームとしては素晴らしい成績と言えるでしょう。
昨年の日本GPに引き続いての鈴鹿登場ですが、F1日本GPとは違い、間近でじっくり見れるのはこのイベントならではです。
ティレル 019(1990)
今では当たり前のハイノーズデザインですが、その最初のF1マシンがティレル019です。
数々の名車を生み出してきたハーベイ・ポスルスウェイト氏によって生み出され、空気をノーズの下に流し込みフロアでダウンフォースを得るそのデザインは、まさに現代フォーミュラーカーの考え方。
デビュー当初こそ好奇の目で見られていましたが、ジャン・アレジ氏がモナコでアイルトン・セナ氏を追い回して2位を獲得したことを皮切りに、チームメイトの中嶋悟と共に随所で速さを見せとことで、次第にそのコンセプトは注目されるようになりました。
以後、現在まで続くハイノーズF1に繋がっていく時代の転換点である、歴史的価値の高いマシンと言えるでしょう。
『ドルフィンノーズ』や『コルセアウイング』と言った別名もつけられ、日本でも未だに人気の高いこのマシンですが、なんと今回は2台がランデブー走行する予定となっています。
まとめ
年々、来場者数が増えている鈴鹿Sound Of Engine。
今やF1でも聞くことができなくなった、大排気量高回転エンジンの素晴らしいエキゾーストを、思う存分楽しめるのは日本ではこのイベントだけといっても過言ではありません。
今年は記事内で紹介したマシンと合わせて、合計11台のヒストリックF1が本気の走行を見せてくれる予定です。
11/17〜18の土日が空いているという方は是非、鈴鹿に足を運んでみてはいかがでしょうか?
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