ネイキッドバイクブームの先駆けだった、カワサキ ゼファー。ゼファーといえば400ccのイメージが強いと思いますが、今回は、大型バイクであるゼファー750とゼファー1100について紹介します。

ゼファー750 / Photo by Wout

カワサキ・ゼファー750/1100とは

ゼファー1100 / Photo by Kenny Mogridge

カワサキ ゼファー750およびゼファー1100は、1990年代から2000年代にかけて生産された大型バイクで、『ZEPHYR(ゼファー)』はギリシャ神話に登場する西風神 ゼピュロスを意味します。

レーサーレプリカ全盛期だった80年代後半の1989年に、カワサキはネイキッドスタイルの排気量400ccゼファーを登場させ、のちのネイキッドバイクブームの立役者となります。

また、ゼファーは輸出仕様の550ccモデルが生産されていましたが、国内外共通で販売できる大型モデルとして、排気量738ccのゼファー750、1,062ccのゼファー1100が1990年に発売されたのです。

ゼファーは空冷Zの系譜モデルなのか?

カワサキ・Z650 / Photo by RL GNZLZ

カワサキ・ZG1200ボイジャー / 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AF%E3%82%B5%E3%82%AD%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC

ゼファー750は、ザッパーこと『Z650B2』の後継モデルとして登場しました。

Z650から順を追っていくと、

Z650(1978年)

Z750(1980年)

GPz750F(1983年)

ゼファー750(1990年)

上記の順番で登場し、ゼファー750だけは2007年のファイナルエディションまで17年間生産されたロングセラーモデルです。

そんなゼファーシリーズの中でも、ゼファー1100のエンジンは、Z1やGPz1100FといったZ系エンジンではなく、北米仕様のクルーザーモデル『ZG1200ボイジャー』に搭載されているエンジンを改良したもの。

といっても、ZG1200ボイジャーは1162cc水冷直列4気筒DOHCを空冷化し、排気量ダウンさせたデチューンであるため、空冷Zの最終型GPz1100Fにはなかったツインプラグや一軸二次バランサーなどが付いていました。

そんなゼファーのオーソドックスなネイキッドスタイルとティアドロップ型タンクは、Z1/Z2を感じさせ、スポークホイール仕様のゼファー750RSやゼファー1100RSが追加されます。

さらに『玉虫カラー』や『火の玉カラー』など、Z1/Z2をオマージュされました。

といっても、ゼファーは空冷Zの最終モデルであったGPz750FやGPz1100Fが生産終了してから5~6年経過してから登場したモデルであるため、空冷Zを系譜したものとすれば異論を唱える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、Zシリーズをルーツにしていることは確かで、1990年代序盤はレーサーレプリカブームでしたが当時からZ1/Z2を崇拝するZ信者は多く、そのスタイルを思わせるゼファーは大ヒット。

販売台数は、90~92年に400/オーバー750クラスで3年ナンバーワンを獲得しています。

なかでもゼファー750はホンダ CB750と同じく教習車両に採用されたこともあり、スタンダードなビッグバイクとして教本のような存在でもありました。

中古車相場が大高騰

ゼファー1100 / Photo by Kenny Mogridge

ゼファー750/1100が2007年に生産終了になってから12年が経ち、現在この2台の中古車相場は新車時の価格を超えるまでに高騰しています。

販売台数が多かったので、中古車市場でのタマ数は少なくありませんでしたが、最後の空冷Zという価値が年々評価され、現代版Z1といえる『Z900RS』が登場した今でも、Z900RSと同等のプライスタグが貼られている中古車も珍しくないのです。

ひと昔前は、Z1/Z2は高すぎて買えないけどゼファー750/1100なら安く買えたので、ゼファーはカスタムベースとして大人気でしたが、今ではカワサキファンにとってZ1/Z2の価値に近くなっているようです。

カワサキ・ゼファー750/1100のスペック

ゼファー750 ゼファー1100
全長×全幅×全高(mm) 2,105×770×1,095 2,165×780×1,115
軸間距離(mm) 780 795
シート高(mm) 1,450 1,495
車重(kg) 200 243
エンジン種類 空冷4ストローク並列4気筒DOHC 空冷4ストローク並列4気筒DOHC
排気量(cc) 738 1,062
ボア×ストローク(mm) 66.0×54.0 73.5×62.6
圧縮比 9.5:1 9.1:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 50[68]/9,500 68[93]/8,000
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) 53.9[5.5]/7,500 89.2[9.1]/7,500
変速機 5速 5速
タンク容量 17.0 19.0
燃費値(km/L) 34.0 24.0
タイヤサイズ 120/70-17(58H) 120/70-18(59V)
150/70-17(69H) 160/70-17(73V)

まとめ

ゼファー750/1100は、驚くようなハイスペックモデルではありません。

ゼファーの魅力はオーソドックスなネイキッドスタイルに、カワサキ独特のZシリーズに近い空冷エンジンサウンド。

そして伝説の名車Z1に通ずるデザインですが、単なるレプリカではなく独自のゼファースタイルを確立しています。

そのため、時が経つにつれ、多くの方がゼファーの偉大さをじわじわと感じることでしょう。

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