よく耳にすることがある「ダウンサイジングターボ」は、近年の自動車業界で主流となっているエンジンのひとつです。ヨーロッパの自動車メーカーから始まったといわれているダウンサイジングターボは、日本車にも影響を及ぼし、現在では日本車の主流ともいえるほど広がっています。そんなダウンサイジングターボとは、いったい何なのでしょうか。
ダウンサイジングターボとは?
そもそも、ダウンサイジングターボとは、いったい何なのでしょうか。
ダウンサイジングターボは、自動車に搭載されるエンジンのひとつで、エンジンの気筒数を減らし、排気量をダウンさせて過給機を装着することでパワー不足を補っているエンジンのことです。
過給機となるターボやスーパーチャージャーは昔からある仕組みと同じであるものの、技術の進歩と共に効率がアップしたことにより、パワーと環境性能を両立していることが特徴。
特に、ターボに関しては、低い回転域から効き始める小型のターボチャージャーが開発されたことで、日常回転領域である1500rpm前後から太いトルクを発生させることが可能で、パワーと燃費の両立に成功したことで急速に普及しました。
主流となっているダウンサイジングターボのサイズは、直列3列気筒から直列4気筒、排気量は1000ccから2000cc程度で、パワーは同排気量の自然吸気エンジンの1.5倍から2倍程度のスペックが期待できます。
ダウンサイジングターボのメリット
ダウンサイジングターボがどんなエンジンなのかが再確認ができたところで、そのメリットをご紹介します。
ズバリ、ダウンサイジングターボのメリットは、排気量以上のパワーと環境性能を両立していることです。
また、日本においては、排気量別に決まる乗用車の自動車税が安く済むといった点も特筆すべきメリットといえるでしょう。
そして、エンジンの排気量を小さくして気筒数を減らすことで、使用するガソリンの量を減少さることが可能です。
環境性能については、低回転域でも効くターボを装着することにより、エンジンの回転数を低く抑え、使用する燃料の消費量を削減することができるため、低燃費を実現しています。
さらに、低回転域からターボが効くため、アクセルの踏み込み量を増やすことなく必要にして十分なエンジンパワーを絞り出すことができるので、日常での運転が楽になるといったこともメリットのひとつです。
ダウンサイジングターボのデメリット
メリットが多いように思えるダウンサイジングターボですが、もちろんデメリットもあります。
デメリットとしては、ターボが効き始めるまでのわずかな間、エンジンパワーが非常に弱いことやカタログ燃費との差が大きいことです。
ターボの小型化が進んだとはいえ、排気の圧力でタービンを回す仕組みのターボは、わずかながらターボラグがあるのも事実。
アクセルの踏み込み量を抑えた結果、信号待ちからの発進時などに少しモタつきを感じやすくなる傾向です。
カタログ燃費との差が大きい点に関しては、燃費の測定方法による影響が大きく、ダウンサイジングターボ搭載車に限らず、他のモデルでも同様といえるでしょう。
思わぬ誤算として、一定のエンジン回転数で一定速度を保つことが多い高速道路では、ダウンサイジングターボ搭載車の燃費は良好で、カタログ燃費以上の燃費になることも期待できます。
このままダウンサイジングターボが主流になり続けるのか?
ヨーロッパを代表するドイツの自動車メーカー フォルクスワーゲン車に搭載されたことで、その名が知られるようになったダウンサイジングターボは、アメリカ車や日本車にも影響を及ぼし、スーパーカーと呼ばれるハイパフォーマンスカーにまで搭載されるようになりました。
しかし、しばらくはダウンサイジングターボの流行が続くかと思いきや、自動車の電動化が進み、2030年から2035年までにガソリン車の販売を禁止する国が続出。
ダウンサイジングターボの存続が危ぶまれる事態になってきています。
とはいえ、ガソリン車が販売禁止となるまでには最低でもあと10年あることから、電動化へ切り替わるまでは主流となり続けていくことでしょう。
まとめ
ダウンサイジングターボとは一体何なのか、メリット・デメリット、ダウンサイジングターボの今後について考察してみました。
パワーと環境性能を両立しているダウンサイジングターボは、効率が良く、今後も電動化への切り替えまでの主流となり続けていくメカニズムといえるでしょう。
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