北京や上海で行われるカーショーの様子を見ると、どこかで見たことあるようなデザインの中国車を見かけます。そんな、日欧米の自動車メーカーの既存モデルに超絶似てる中国のクルマを紹介します。
掲載日:2020/01/16
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どこかで見たような・・・デザインがもろカブりな中国車
現在、世界の自動車市場では中国自動車メーカーが勢力をあげ、電気自動車の分野では欧米や日本メーカーの技術に肉薄するほど高性能なクルマを次々と発表しています。
また、中国メーカーは外資系メーカーとの合併やメーカー自体を傘下にするなどし、既存の車両とパワートレインやフレームを共有するモデルも多く、そのためか提携メーカーのモデルとデザインが酷似することもしばしばです。
中には外資系メーカーとの合併や提携がないにもかかわらず、既存モデルのデザインが模倣されているクルマもあり、デザインが”もろカブり”と言わざるを得ない中国車が目立っています。
裁判所も認めた模倣品!LANDWIND・X7
デザインが”もろカブり”クルマな中国車のなかでも有名なのが、『LANDWIND X7』でしょう。
レンジローバー イヴォーグと、基本デザインからロゴの配置までそっくりそのまま。
なおかつモデル名は『ランドウインド』と、明らかにランドローバーをオマージュ。
ランドウインドは、中国の『江陵モーター』と『長安自動車』の合弁事業により誕生した新ブランドですが、本家ランドローバーや親会社のインド・タタ・モーターズとはまったく関係はなく、ランドローバーはこの中国メーカーに対して訴訟を実施。
訴訟に対し、中国の裁判所は訴えを認め、該当車両の宣伝や広告、製造・販売までを禁じました。
このニュースは世界中で話題となり、今でも中国メーカーのイメージに悪影響を与えています。
もろカブりカー量産メーカー『ゾタイ』!ポルシェ・マカンにそっくりのZOTYE SR9
Zotye Auto(ゾタイオート)はランドウインド同様、『江陵モーター』と『長安自動車』の共同出資により設立させた自動車ブランドです。
そんなゾタイが販売しているSUV『ゾタイ SR9』は、ポルシェ マカンをそのまま模倣したデザイン。
車体サイズは、マカンが全長4,680mm×全幅1,923mm×全高1,625mmであるのに対し、SR9は全長4,744mm×全幅1,929mm×全高1,647mmと見た目もサイズ感もほぼ同じです。
エンジンは三菱製の4G63型 2.0リッター直4ターボが搭載され、トランスミッションは5MTと6DCT、駆動方式はFFのみ。
SR9が上海モーターショー2017に出展された際は、本家ポルシェがかなり激怒したそうです。
さらに、ゾタイの模倣品はSR9だけでなく、他メーカー、特に日本車のデザインを模範したものも多く発売しています。
ゾタイ製のデザインもろカブりなクルマたち
ハイエースと見分けにくい華晨汽車・新海獅
この写真を見た方は、ほとんどの方が「これハイエースでしょ!」と思ったのではないでしょうか。
こちらは中国メーカー 華晨汽車(かしんきしゃ)の商用車ブランド、『金杯』が販売している『海獅』で、海獅とは中国語で「アシカ」を意味するそうです。
華晨汽車はBMWとの合併企業『BMWブリリアンス』を設立し、中国で中国国内専用モデル『BMW3シリーズロング』を生産しているメーカー。
そんな華晨汽車がBMWと合弁企業を作っているにもかかわらず、トヨタ車を完コピしている!と驚いた方もいると思いますが、実は海獅はトヨタ ハイエースのライセンス生産車。
そのため模範車ではなく、れっきとしたトヨタ承認のモデルです。
6×6までGクラスとそっくり!北京汽車・BJ80
まずお伝えしたいのが、北京汽車というのはダイムラークライスラーと提携関係にあり、中国でベンツの正規モデルの生産を請け負っている企業です。
そんな、北京汽車が発売したのがSUVの『BJ80』。
メルセデスベンツの関連企業でありながら、Gクラスを真似たデザインのモデルを北京汽車のブランドで生産し販売しているのです。
しかも、BJ80を出展した北京モーターショー2018の同じブースで『BJ80 6×6』も出展しており、こちらはG63AMG 6×6を完全に模範しています。
ただし、BJ80のエンジンは2.3リッター直4ガソリンターボと2.8リッター直4ディーゼルターボの2種類なため、本家Gクラスよりパワーでは非力でしょう。
北京汽車とメルセデスベンツの間で、どのようなやり取りがあったのかは不明ですが、メルセデスベンツにとって中国の関連会社からGクラスの模倣品とも呼べるクルマが販売されていることを知れば、北京汽車との関係を見直す事態になるかもしれません。
まとめ
中国では、日本メーカーを含めた外資系企業が自社のクルマを売り込む際、中国企業と合弁企業を設立して、生産・販売することを義務付けています。
合弁企業を設立せずに販売すると25%の関税がかかってしまうため、日本メーカーや欧米メーカーの多くが中国メーカーと組んで、中国でのクルマの生産・販売を行っているのが現状。
そのためか、外資系自動車企業としてもデザインや技術が模範されても、中国メーカーと合弁企業を設立しているため、高額な関税をかけられることなく販売できるメリットから訴訟に至らないなど、外資系企業としては大した問題ではないと判断しているのかもしれません。
なぜなら、合弁企業を共同で経営する中国企業と裁判で争うと、中国市場の販売にも影響が出ることは必至です。
また、技術の流出を恐れて生産するモデルを旧型のみにしたり、主力グローバルモデルの生産を控えると、巨大な中国市場で他メーカーとの販売争いに負けてしまいます。
中国メーカーのなかに、グローバルレベルの技術力をもつメーカーが出てくれば、デザインをあからさまに模範すると、逆にブランドイメージが損なわれる場合もあるため、よりグローバルに展開するためには、オリジナリティのあるデザインとメーカーのアイデンティティを主張しなければ、消費者は振り向いてくれません。
今は模倣デザインが目立っていますが、いずれは少なくなり、日欧米の自動車メーカーに対抗できるメーカーが登場する未来は、すぐそこまで来ているのです。
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