現在の中古車市場でも今だ人気のチェイサー。特に最終型JZX100系チェイサーの人気は高く、同じマークⅡ3兄弟の中でも群を抜きます。今回はそんなチェイサーの歴史を振り返って行きます。
チェイサーの誕生
チェイサーとはどんな車だったのでしょうか?
チェイサーは、1977年にマークⅡの兄弟車としてトヨタオート店(現在のネッツ店)専用車種として発売されました。
当時からトヨタと日産は競合メーカーであり、日産が販売しているスカイラインに対抗する為に投入された車です。
その為スポーツカーよりの志向となっており、マークⅡと比べて若年層をターゲットとしていました。
そのような背景から歴代チェイサーの中で、このモデルに関しては2ドアハードトップが存在しています。
そして1980年、初のフルモデルチェンジが行われました。
ビスタ店(現在はネッツ店と統合)向けに開発されたクレスタが登場した事により、この頃からマークⅡ3兄弟と呼ばれています。
この時から、初代チェイサーの頃にあった2ドアハードトップは廃止され、2代目からは4ドアセダンと4ドアハードトップの2パターンのボディタイプが設定されました。
また、当時の最上級グレードとして「アバンテ」が設けられ、初代チェイサーよりさらにスポーツ志向へ進化しています。
バブル期トヨタ自動車の最高傑作
1984年に2度目のフルモデルチェンジが行われました。
アバンテはこの3代目チェイサーから、ラグジュアリーグレードに変更されています。
マークⅡ・クレスタと比較すると全長が若干短くなっており、外観のスタイルも少しスポーティになっていました。
この頃のチェイサーの生まれた背景には、ターボモデルの登場があります。
ベースモデルにはNAエンジンが搭載されていましたが、1985年に自動車技術の進歩により新開発の「GTツインターボエンジン」が搭載されたグレードが追加されました。
マークⅡ・クレスタに搭載されたのと同時に、1G-GTEUが搭載されたチェイサーは「GTツインターボS」というグレード名で設定されています。
1988年にフルモデルチェンジが行われ、4代目チェイサーが発売されました。
このチェイサーは81チェイサーと呼ばれ、バブル全盛期に相応しい車として売り出されています。
先代チェイサー以上に当時としては高級感を重視した作りになっており、バブル全盛期という背景で大ヒット。
電動スライドアウトヒーターコントロールパネル・サテライトオーディオスイッチ(81専用設計オーディオのみ対応)・ドアミラー脇ワイパー・超音波雨滴除去ドアミラー・リアシート座面部のレバーでリアヘッドレストが自動可倒する機能などが搭載されており、贅沢な仕様に!
先代モデルまではスポーティさを前面に出していましたが、バブルという事もあり高級志向の車へと仕上げられています。
標準グレードよりもさらに高級感が欲しいユーザー向けに「ラフィーネ」を設定し、1.8リッター4S-FEエンジンを搭載していました。
ドリフトベースマシンとして今でも大人気のチェイサー
1992年にフルモデルチェンジが行われ、通称90チェイサーは発売されました。
このモデルからスポーツモデルが「ツアラー」と呼ばれる事となり、特にターボエンジン搭載モデルである「ツアラーV」は別格な存在に。
ツアラー系グレードは1JZエンジンが搭載されていますが、ターボエンジンの1JZ-GTEは純正280馬力と当時のメーカー自主規制枠上限にセッティングされています。
このような事から、当然モータースポーツベース車として選ばれる事となりました。
特にドリフトで人気がありD1GPはもちろんの事、走り屋達の中で人気のベースマシンとして中古車市場でも人気で、サーキットでよく見かけたモデルです。
海外でも爆発的なブームが起き、輸出台数が増加した為車両価格が高沸。
現在では輸出やクラッシュ等による廃車の影響で、球数が減少しています。
そして1996年にチェイサーの最終モデルが発売されました。
このモデルは歴代モデルの中でも最もスポーティな外観を持ち、ツアラーVの中にはTRDモデルも存在する程です。
このチェイサーはツアラーVが最も販売台数が伸びたモデルで、特に5速マニュアルミッションの車両は今だに高額車両として販売されています。
その為、中にはツアラーVのオートマチック車を購入してマニュアルトランスミッションに乗せ換えするケースもあり、構造変更が全盛期には多く行われていました。
搭載されているエンジンは90チェイサーと同じですが、外観がスポーティとなった事で人気は同じ100系であるマークⅡを抑えてダントツ1位。
現在でもD1GPなどプロドライバーによるドリフト大会を始め、一般の方が競い合うドリフトコンテスト等でも使用されています。
モータースポーツでの活躍
モータースポーツの世界でチェイサーは、JZX90/JZX100のふたつのモデルが特に活躍しています。
主にドリフトでの活躍ですが、JZX100では全日本ツーリングカー選手権にエントリーしていた時期があった程。
代表的なチームでは1998年型チェイサーをベースに「ADVANチェイサー」としてエントリーしていました。
そのチェイサーは現在、横浜ゴム新城工場で大切に保管されています。
チェイサーを始めとするマークⅡ3兄弟は、ドリフトの世界でとても人気のある車です。
D1GP開幕当初に4ドアドリフトのブームが起き、それがきっかけで世界中のドリフター達の心に火を付けました。
特に100系チェイサーは人気の車両であり、大きなボディを派手に振り回すドリフトは大迫力!
年数が経ち一時に比べるとエントリーは減りましたが、D1GP等のプロの大会でも今だにチェイサーは使用されており、沢山の人に好まれているのです。
チェイサーのスペック・中古車相場
1996年式 チェイサー ツアラーV(E-JZX100)のスペック
全長×全幅×全高(mm):4715×1755×1400
ホイールベース(mm):2730
車両重量(kg):1470
エンジン型式:1JZ-GTE
エンジン仕様:水冷直列6気筒DOHC24バルブターボ
総排気量(cc):2491
最高出力:280ps/6200rpm
最大トルク:38.5kgm/2400rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:FR
中古相場価格:140,000〜3,290,000 円
まとめ
いかがでしたか?
チェイサーは歴史のある車種ですが、中でも最後の2世代はドリフトと共に歩んで来たモデルである事が分かります。
日本のみならず世界中で人気があり、プロアマ問わず愛されています。
また、街中で乗るのももちろんですが、サーキットでの需要が非常に高いと言うのが特徴的と言えます。
まだまだ高額ですが、走行距離が多い車両に関しては安く手に入る場合があるので、興味がある方は中古車屋さんに相談してみましょう。
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