6月4・5日に千葉県の幕張で行われた「レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ第3戦千葉」で室屋義秀が初優勝。2003年からのシリーズ発足以来、初めて日本人パイロットが優勝を飾る快挙に、幕張に集まった約5万人のファンが興奮した。今回はその感動の1日を振り返っていく。

© Red Bull Content Pool

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予選は強風でキャンセル、2回目の千葉大会は波乱の幕開けに

今年も舞台は千葉県の幕張。日本での開催は2回目となる。昨年も多くのファンが集まり大盛況となった大会だが、今回は事前にテレビCMも積極的に放映され、さらに注目を集めた中で週末の戦いが始まろうとしていた。

ところが、予選が行われるはずだった4日は、強風と高波が会場を襲い、安全にフライトできない状態に。これでやむなく予選セッションの中止が発表。波乱の幕開けとなってしまった。

トラブル発生も、運に恵まれラウンド・オブ・14を通過

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いよいよ迎えた決勝日。当初なら予選結果でラウンド・オブ・14の組み合わせが決められるはずだったが、年間のポイントランキングをもとに組み合わせが作成。ここまで総合11位の室屋の初戦の相手はピート・マクロードとなった。

前日のトレーニングセッションでは好タイムをマークしていた室屋。今季は開幕戦・第2戦ともに「オーバーG(旋回時に規定以上のGをかけてしまうこと)によるタイム無効ペナルティを受けてしまい結果を残せていなかった。

注目のファーストフライトではオーバーGはなかったが機体からスモークが出ないトラブルに見舞われ1秒加算ペナルティ。相手を考えると、このタイム加算は大きな痛手となった。

しかし、マクロードは計測中にまさかのオーバーGを行ってしまいタイムが無効。室屋は運良く初戦を突破することができた。

母国ファンの声援が室屋を後押し、そして歴史的瞬間を迎える

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続くラウンド・オブ・8の間にスモークトラブルを修復。満を持してハンガーを後にした。会場には約5万人のファンが集まり、もちろん母国ラウンドで頑張る室屋の声援も大きなものだった。これが後押しとなり勢いを増していく。

ラウンド・オブ・8の相手は、今季ランキング首位のマティアス・ドルダラー。優勝するためには避けては通れない一番の強敵だ。

ここでも室屋は動じることなくベストなフライトを披露。いきなり1分4秒610とこの日の自己ベストを叩き出す。

これにプレッシャーを受けたのがドルダラー。積極的に攻めていったフライトが裏目に出て痛恨のオーバーG。これで室屋は最終ラウンド「ファイナル4」への進出を果たした。

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いよいよ全てが決まる最終ラウンド。2番目にフライトした室屋は、ここでも1分4秒992の好タイムをマーク。直前に計測を終えていたマティアス・ラムのタイムを大きく上回った。

残るは2人、カービー・チャンブリスは1分5秒618と伸びない。そしてマルティン・ソンカも果敢に各パイロンを攻めていくが、フィニッシュラインを通過したタイムは1分5秒097。わずか0.105秒差で室屋の日本人パイロット初優勝が決まった瞬間だった。

25年の苦労がついに報われる…男泣きの室屋

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レース後の記者会見、室屋は涙をこらえ、これまでの思いを語った。

「自分個人としては操縦技術世界一というものを目指して、ずっとやってきました。なかなか一番は届きそうで届かないという、本当に難しい世界だったんですけど、25年かけてやっと取れました。本当に……、そうですね……、ちょっと一息つくかなというところです」

エアレースでの日本人のパイオニアとして、世界一を目指し飛び続けた室屋。何度も挑戦しては敗れ、悔しい思いばかりしてきた。以前は日本での認知度も高くなく、応援してくれる母国のファンも決して多くはなかった。

それでも室屋の諦めない思い、チャレンジし続ける強い心が、日本でも注目を集め、昨年からの日本開催にもつながったと言えるかもしれない。

その日本の舞台で、25年間追いかけ続けた夢を叶えた瞬間だった。

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まとめ

今回の室屋の優勝により、テレビをはじめ多くのマスメディアが注目し始めているレッドブル・エアレース。今後間違いなく、日本でもさらに人気が出るイベントになっていくと思います。

もちろん、Motorzでも徹底的に追いかけていきますので、お楽しみに!