突然ですが、皆さんは“アジアンタイヤ”にどんな印象を持っていますか?20年ほど前から整備士をいてきた筆者の印象は、“アジアンタイヤ=安いタイヤ”という程度でした。今回は、そんなアジアンタイヤの中から、最近徐々に知名度を上げつつあるフェデラルのスポーツタイヤ「EVOLUZION ST-1」のインプレッションをお伝えします。

Text : Shingo MASUDA / Photo : Takanori ARIMA

高評価を得ていた先代の進化モデル「フェデラル EVOLUZION ST-1」

近年、名前を見かけることが多くなったフェデラルタイヤは、40年以上前から日本のタイヤメーカーと関りを持つ、台湾の老舗タイヤメーカー。その開発コンセプトは、「一流メーカーの半額で、9割の性能を発揮すること」で、コストパフォーマンスに優れたタイヤを開発・販売しています。

また、今回インプレッションを行うEVOLUZION ST-1は、グリップ性能と価格のバランスが非常に良く、高い評価を得たスポーツラジアル「595」の進化モデルです。

ネットなどでの実売価格は、同クラスの国産タイヤと比較すると半額近い値段で売られており、超お買い得!

そんなEVOLUZION ST-1の実力は、いったいどのようなものなのでしょうか。

テスト車両として用意したのは、インプレッサWRX STI(GVB型 4ドア)。

インプレッサの名を冠した最後のWRXで、ノーマルでも308PSを発生するボクサーエンジンと6速MTを組み合わせた、言わずと知れたハイパフォーマンスカーです。

カドの無い乗り心地とコシのある剛性感が◎

交換作業に協力していただいたのは、東京辰巳に本社と営業所を構えるシノハラタイヤ。

手際のよい作業であっという間にタイヤ交換が完了し、まずは筆者がステアリングを握り、アクアラインを経由して千葉県の木更津に向かいます。

まず感じたのは、ショップから車道に出るときの段差が、とにかくカドがなく柔らかい振動だったということ。

純正とは言え、WRXの足回りは固めという意識だったため、あまりのしなやかさに驚かされます。

そして、そのしなやかさは、首都高の継ぎ目や荒れた路面でも体感でき、ロープロファイルのスポーツタイヤであることを忘れてしまうほど、かなり良好な乗り心地です。

ロードノイズも他メーカーのスポーツタイヤと同レベルで、特別うるさいと感じることはありません。

もちろん、国産や欧州メーカーのハイグリップタイヤと比較すると、絶対的なグリップ力は高くないものの、コンパウンドの粘りとしなやかさを感じることができます。

対して、高速域でのコーナリングは、コシのある剛性感を感じられ、不安を感はありませんでした。

それはワインディングでも同様で、ある程度ステアリングを切り込むようなコーナーでは、路面の凸凹をいなしながら、コンパウンドがしっかり粘っているというのが分かります。

ただ、あえて弱点を上げると、ハイグリップをウリにする大手メーカーのタイヤに比べ、応答性という点ではやや低く、一瞬遅れて車が向きを変え始める印象です。

しかし、それはあくまで、タイヤが鳴くギリギリの速度でタイトなコーナーに侵入したときで、一般的な速度域のコーナリングで反応が悪いと感じることはありませんでした。

見方を変えれば、少々ラフなステアリング操作をしてもデート中、同乗者に不快な思いにさせる可能性は低いということです。

腰砕け感が無くしなやかな乗り心地に大満足

それでは、いつもハンドルを握っている、オーナーのKさんのインプレッションに移りましょう。

実はオーナーのKさん、WRX以外に100系マークⅡも所有しており、サーキットでドリフトをする程の腕前の持ち主です。

フェデラルタイヤは、そのマークⅡで使用しているということもあり、今回はよりストリート向けに発売されたEVOLUZION ST-1を試してみたかったとのことでした。

千葉県内の高速道路とワインディングで試乗をしてもらった感想は、とにかく乗り心地が良く、道路の継ぎ目でのいなし方がしなやかだということ。

また、高速道路での直進安定性も高く、ワインディングでのコーナリングでは腰砕け感も無く、しっかりした剛性を実感できたようです。

オーナーは、これまで数種類のアジアンタイヤを試した経験があるそうですが、その中でもかなり上位に位置付けられるほど、乗り心地とグリップのバランスが良いとも話してくれました。

いつか必ず交換するタイヤだからこそバランスの取れたコスパで選ぶのもアリ!

もともとフェデラルタイヤを知っていて、且つ、いつもこのクルマに乗っているオーナーの感想は、その日初めて乗った筆者よりも数段信頼性が高いことは間違いありません。

しかし、「この価格でこの性能なら次に購入するスポーツタイヤとして十分にアリ!」という感想は、2人ともまったく同じ。

世の中にはもっとグリップ力が高く、静粛性や乗り心地に優れたタイヤがあるかもしれません。

しかしタイヤは、移動やドライブなど、クルマの一般的な乗り方をしていても、数年に1度は交換しなくてはならない消耗品と考えれば、一般的な同クラスのタイヤより安いEVOLUZION ST-1は、“かなりお買い得でアリな選択”と言えるのではないでしょうか。

メーカー情報

フェデラルタイヤジャパン

公式サイト:http://federaljapan.com/

お電話によるお問い合わせ:022-355-6703 ( 受付時間 10:00~18:00 )

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