日本車の人気は世界レベルであり、北米市場では映画『ワイルドスピード』シリーズの影響で、日本車に乗る若者が増加傾向。そのため、アメリカの日本車に対する25年ルールにより、BNR32やRX-7 FD3Sなどがどんどん海外へ流出し、国内市場の値段が高騰しています。そこで今回は、ここ15年ほどで値段が高騰したクルマを、5台ピックアップしてみました。
初代インテグラタイプR
初代インテグラ タイプRは、ホンダが1995年から2001年にかけて生産・販売していた、スポーツクーペ・ハードトップです。
3ドアクーペ(DC2型)と4ドアハードトップが設定され、1.8リッターのB18C Spec-R VTECエンジンを搭載した初代インテグラタイプRの最大出力は200ps/8,000rpm。
軽量アルミホイールやレカロ製のバケットシートを装備し、エアコンやオーディオ機器などは取り外されるなど、徹底した軽量化を実施。
ハードな走りに対応すべく、ボディ剛性は強化され、トランスミッションには高回転エンジンにぴったりと合う、クロス5MTが採用されていました。
現在の中古車市場の価格は4ドアハッチバックで約145万円、3ドアクーペで約142万円ほどです。
特に中古車がごく少数しか流通していない3ドアクーペは2019年10月時点で約110万円だったのが、2020年1月には約142万円に高騰。
4ドアハッチバックと比較して修復歴なしの個体が多く、中古車の状態としては3ドアクーペのほうが良い傾向にあります。
スカイラインGT-R R33(BCNR33)
1995年から1998年にかけ、日産が生産・販売していた、スカイラインGT-R系列の4代目にして、RB26搭載モデルの2代目です。
搭載エンジンのRB26DETTは先代から出力アップが図られ、最大出力は280ps/6,800 rpmへと到達。
ボディ剛性が高められ、角度調整機構付リアスポイラーも装着されて、上位グレードのVスペックにはアクティブLSDとATTESA E-TS PROを装備。
足回りには専用のセッティングが施されるなど、至れり尽くせりでした。
しかしその装備の充実ぶりに反し、車体はR32よりも全長で130 mm拡大され、ワイド化を果たしたことにより、後期R32と比較して車重も30kgアップ。
内装の居住性が重視され、スポーツカーとは思えない状態になったことなどにより、人気は低迷。RB26搭載モデルのGT-R系列では、最も不人気なモデルといわれています。
しかし中古車市場では、その不人気ゆえに価格が安かったことから購入者が多く、今では中古車のたま数はごくわずか。
平均価格は2019年11月初旬時点で約464万、12月から2020年1月時点にかけては約438万円ほどとなっています。
現在の最低価格は250万円ほどで、かつて100万円程度で入手できたR33も、今では中古車市場の“人気車種”です。
A80型スープラ
トヨタが1993年から2002年にかけて、生産・販売したA80型スープラは足回りにダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、3リッターの直列6気筒2JZ系エンジンには、NA仕様とターボ仕様が設定されていました。
NA仕様の2JZ-GE型は最大で225ps/6,000rpmの出力を発揮し、ターボ仕様の2JZ-GTE型の最大出力は、当時の馬力自主規制値ギリギリの280ps/5,600rpmに到達。
ボディ剛性やエンジンの耐久性が高く、トヨタのスポーツフラッグシップモデルでもあったので、他社メーカーからも続々とアフターパーツが登場し、チューニング次第では1000psを発揮できるポテンシャルを秘めていました。
2019年10月時点の中古車市場の価格は、2017年時点での平均価格200万円を越える約328万円。
走行距離が15万km以上でも、美品かつ整備済みであれば350万円越えで取引されることも珍しくありません。
ホンダ S2000
S2000はホンダが1999年に発売した、FRスポーツオープンカーです。
当時の国内向け販売台数は、10年間でわずか2万台ほどと低迷したクルマですが、オープンカーでありながらも固定屋根車と同等以上のボディ剛性を実現し、アルミ製ボンネットとトランクフードによって軽量化に成功。
エンジンルームに縦置きされた2リッターのVTEC NAエンジン、F20Cの最大出力は250ps/8,300rpmに達し、その許容回転数は9000rpmと高回転化を実現しています。
この9000rpmという高回転数に合わせるべく、トランスミッションは独自開発の6速MTのみ。
北米モデルでは2.2リッターのF22Cエンジンが搭載され、許容回転数は8000rpmへ下げられたものの、常用時のトルクは増加しており、国内でもマイナーチェンジ後はエンジンがF22Cへと交換されています。
このS2000の中古車市場での価格は前期型が120万から410万円ほどであり、当時の新車時価格である約340万から390万円と同等の価格にまで高騰。
また、後期型の中古車市場価格は200万から600万円で、こちらも当時の新車時価格の約380万から約400万円とほぼ同等の値段になっています。
S15型 シルビア
日産が1999年から2002年にかけて、生産・販売していたスポーツクーペです・
シルビア系列の7代目であり、グレードは先代までの「J’s」、「Q’s」、「K’s」から「spec.S」と「spec.R」へと変更されました。
NAモデルのspec.Sには2リッターのSR20DEエンジンが搭載され、その最大出力は165ps/6,400rpm。ターボモデルSR20DETの出力は最大で250ps/6,400rpmにまで達しています。
またトランスミッションがATの場合は、SR20DEの最大出力が160ps/6,400rpm、SR20DETの最大出力は225ps/6,000rpmでした。
外装には曲線的な吊り目ヘッドランプと大型テールランプが採用され、先代と比較してもより曲線を意識した美しいデザインへと変化しています。
また、内装にはspec.Rではブースト系、spec.Sでは油圧計が搭載され、オプションでフロントシートとドアリムの素地を変更できました。
快適な操縦性やチューニング用アフターパーツの豊富さなどで、現在の中古車市場でも人気の車種であり、spec.Rエアロではワンオーナー車で当時の新車価格256万円を越える、約270万円以上は当たり前。
FRの小型スポーティーカーというジャンルの衰退もあり、中古車市場での価格は上がり続けることが考えられます。
まとめ
今回ご紹介したクルマたちは、どれも独自の魅力を持ったクルマであり、その良さが着目されて、現在の中古車市場では高値で販売されています。
それだけこれらのクルマには人気があるということですが、その背景には25年ルールにによって海外へクルマが出ていくことや、スポーティーカージャンルの衰退という事情があります。
時代の変化によって今後も、中古車となったこれらのクルマたちの値段はどんどん上がり、若年層にとって手が届きにくいものとなっていくことは想像に難くないのが現実です。
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