車のタイヤは黒い。これは車を見たことある方であれば誰もが共有している事実の1つでしょう。しかし、何故タイヤは黒なのかという理由については、知らない方も多いはず。そこで今回はタイヤの色が黒い理由について、ご紹介します。

掲載日:2019/07/21

カーボンブラックでタイヤは黒くなる

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そもそもタイヤは、ゴムが主原料となっていることは皆さんもご存知でしょう。

ゴム製品は主に、ゴムの木の樹液から作られる『天然ゴム』と石油から作られる『合成ゴム』の2つに分けられます。
タイヤは天然ゴムと合成ゴムの2つを掛け合わせて作られるのですが、天然ゴムの材料となるゴムの木の樹液は白ですし、合成ゴムも必ずしも黒という訳ではありません。
ズバリ、タイヤが黒い理由は、カーボンブラックという材料が含有されているからなのです。
カーボンブラックとは微粒子の1つで、炭素を主成分としています。

また、ゴムの補強材として優れた性能を備えており、ゴムに添加することで、自動車のような1トンを超える重量物を支えることができる強靭なタイヤを生み出すことが可能となるのです。

カーボンブラックの構造的特徴

photo by PRIOR DESIGN

カーボンブラックとは、上記のように炭素を主体とした微粒子のことを指しますが、カーボン繊維のように、太さなどで性質が大きく変わります。

そんなカーボンブラックを知る上で押さえておきたい3つの要素が、粒子径、ストラクチャー、表面性状です。
粒子径は球状粒子の直径を示すもので、この直径が小さいほど黒度が高く、分散しにくくなります。

そしてストラクチャーは、カーボンブラック全体の幅を示すもので、これが大きいと分散しやすく、黒度は低下し、そして通電性能に優れます。
表面性状はカーボンブラック表面にある官能基の種類・存在量によって決定される特徴のようなもの。

ここまで、カーボンブラックはゴムの補強材として使われる、と説明してきましたが、最近のタイヤ事情はどうやら変わってきているようなのです。

最近よく使われるホワイトカーボン

©2018 Bridgestone Corporation

従来のタイヤは、ゴムの補強材として使われるカーボンブラックによって、黒くなっていたのですが、最近のエコタイヤはカーボンブラックを着色目的で使うことが多いようです。
そのかわりに、補強材としてシリカ(ホワイトカーボンとも)が採用されています。

黒色以外の色を使ったタイヤも販売されていた

©2018 Bridgestone Corporation

黒以外のタイヤを作ることは可能です。

事実として、国内メーカーのブリヂストンは、2013年6月にカラーサイドと呼ばれるタイヤプリント技術で、ショルダーにドレスアップを施したカラーサイドタイヤを販売していました。

ただし、販売を開始して2ヶ月後には販売を停止。

そして2015年7月には、その販売を終了しています。

また、色付きタイヤとしては、昔の車に使われていたホワイトリボンタイヤが有名どころで、トレッド部分だけ黒、サイドウォールは白という、補強が必要な部分にだけカーボンブラックが使用されていました。

まとめ

photo by Bill Abbott

ブラックカーボンがタイヤの補強材として使われていた一方で、最近の低燃費タイヤではブラックカーボンの代わりにシリカが使われているなど、タイヤも時代とともに進化しているようです。

カラフルなタイヤが今後販売されるかどうかはわかりませんが、それを可能とする技術はあり、ブラックカーボンが不必要になりつつあるということも覚えておきましょう。

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