1965年に日産が生んだL型エンジンは、SOHC式のバルブ機構が採用された歴史あるエンジンでした。直列4気筒と6気筒の2タイプが存在したこのL型エンジンは、排気量やキャブレター、ターボの有無などの違いを含めると、実にバリエーション豊かなエンジンと言えます。今回は、そんなL型エンジンの歴史とチューニング事情を解説します。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Nissan-L20ET.JPG

L型エンジンとは

L型エンジンは1965年に日産が開発・生産を開始した、SOHC式バルブ機構が採用されたガソリンエンジンです。

基本型式に使用されている“L”は、“In Line(直列)”を表しているとも言われており、燃焼室が楔形に設計されていたことと、シリンダー配列形式の異なる2種類が生産されていたことが特徴です。

1967年に生産が開始された直列4気筒モデルは、おもに3代目ブルーバード、4代目スカイライン(ケンメリ)、2代目ローレルや2代目シルビアなどに搭載されました。

また、直列6気筒モデルは、直列4気筒モデルと主要コンポーネントが共有されており、それによって大量生産が可能でした。

そして滑らかに高回転域まで回る直列6気筒エンジンは乗り心地も良く、“4よりも6のほうが速い”という明確な差により、数多くのユーザーから愛されたエンジンです。

この6気筒シリーズのおもな搭載車種は、2代目セドリックや3代目グロリア、3代目・4代目スカイライン(ケンメリ・ハコスカ)、初代フェアレディZなどで、当時のモータースポーツ界の第一線で活躍し、今も“L型エンジンと言えば6気筒”と多くの人がイメージするほど、L型エンジンの代名詞的存在として認知されています。

L型エンジンの歴史

そんなL型エンジンの直列6気筒モデルから、代表的な機種を選んで紹介していきます。

L20型

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3代目スカイラインから採用され始めたエンジンで、当初はGT-R専用のS20型と同時にラインナップされていましたが、5代目スカイライン以降、L型に特化したことによってメインエンジンへと昇格します。

このモデルにはインジェクション仕様のL20Eと、ターボ仕様のL20ETが存在し、2,100回転から5,600回転まで一気に回るパワーはゼロヨン加速で16.6秒を記録するほど。

このL20ETは日本初の市販車用ターボエンジンとして生産されたエンジンでもあり、最大出力は145ps。

430系セドリック・グロリアやS130型フェアレディZに搭載されて、その性能を遺憾なく発揮しました。

L24型

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L24型は1971年に販売が開始された240型フェアレディZ、ハコスカやケンメリの輸出仕様に採用されたエンジンです。

その最大出力は150psを発揮し、国内のフェアレディZを輸出仕様と同等の性能へと引き上げたエンジンでもあります。

こちらもインジェクション仕様のL24Eが存在し、C32ローレルやR31スカイラインの輸出仕様に採用されました。

L28E型

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Nissan_L28ET_001.jpg

L28型エンジンのインジェクション仕様がL28E型で、1978年のS130型フェアレディZや輸出仕様の初代フェアレディZ、DATSUN 280Z等に採用されました。

こちらの最大出力は145ps(後期型S130専用モデルは155ps)で、輸出仕様のDATSUN 280ZXにはターボ仕様のL28ETを搭載。

3速ATのみ存在していた北米モデルの最高時速は200km/hで、欧州仕様の最大出力は200psに達するほどでした。

L型エンジンのチューニング事情

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L型エンジンはおもに直列6気筒モデルがチューニングされており、直6ゆえに構造がシンプルである点やシリンダーブロックの剛性が高いことなどから、チューニングベースエンジンとしても高いポテンシャルを誇ります。

各メーカーやショップからも多種多様なパーツが出ていることや、エンジンの歴史が長いことなどから、既に多くのチューニングノウハウが蓄積されていることも、L型エンジンの魅力のひとつといえるでしょう。

まとめ

L型エンジンは高いチューニングポテンシャルを持ち、その歴史の長さからチューニングノウハウも数多く蓄積された機種です。

市販車に搭載された日本初のターボ装備モデルがあったり、モータースポーツ界で一世を風靡したハコスカやケンメリに搭載されていたりと、このL型エンジンには日本の車開発とモータースポーツの歴史がフルに詰まっていといっても過言ではありません。

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