コロナウイルスが感染を拡大する中で、電車やバスを利用しての通勤・通学は感染リスクが非常に高いため、極力避けたいところです。テレワークや時間差通勤も増えていますが、会社のよってはクルマ通勤という方法も考えられます。そんな、クルマ通勤の注意点を説明します。

出典:写真AC

緊急事態宣言後も満員電車は変わらず、大手企業がマイカー通勤推奨

出典:写真AC

2020年4月7日、政府から新型コロナウイルスの感染拡大に伴い非常事態宣言宣言が発令されました。

しかし、ツイッターでは『満員電車』がトレンド入りし、電車やバスでの通勤ラッシュの様子が複数投稿されるなど、大きな話題となっています。

満員電車や満員バス、混み合った駅の中は、密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、密集場所(多くの人が密集している)、密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)の3密の状態を生み出しており、接触感染・飛沫感染のリスクが非常に高いことは言うまでもありません。

テレワークや時差通勤を進めるように政府が要請しても、業務内容によって不可能な職種は多数存在します。

そんななか、社内の罹患者をださないために、クルマ通勤を奨励する企業も出てきています。

大成ホールディングスは電車通勤が多い東京都葛飾区を含めた事業会社の3拠点で、自動車通勤を奨励。

従業員には社用車と駐車場スペースを貸与し、社用車が足りないときはレンタカーを提供しています。

そのほかにも、名古屋で防火サービスを展開する東日本コーポレーションは公共交通機関の通勤を全面禁止し、社用車での乗り合わせ通勤を実施。

東京都町田市は4月13日から、公共交通機関を使って通勤する職員に対してバイク通勤を可能としました。

マイカー通勤のガソリン代はどう計算する

車 金 電卓

出典:https://www.photo-ac.com/

マイカー通勤をする際は、どのようにガソリン代を経費として計上すればいいのでしょうか。

実燃費や通勤ルート、道の込み具合でガソリン代は上下するため、家から会社までのルートや距離と伴うガソリン代から、ひと月いくらまで支給してもらえるか明確にしなくてはなりません。

そこで、平均的なひと月の走行距離と、その内通勤がどれぐらいの距離なのか、ガソリン代の金額等を割り出し、ひと月のガソリン代の何割が支給されるか、自己申告するなどしてルールを明確にしましょう。

マイカー・自転車通勤者の非課税となる1カ月の限度額は以下のとおりです。

片道の通勤距離 1カ月当たりの限度額
2キロメートル未満 (全額課税)
2キロメートル以上10キロメートル未満 4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満 7,100円
15キロメートル以上25キロメートル未満 12,900円
25キロメートル以上35キロメートル未満 18,700円
35キロメートル以上45キロメートル未満 24,400円
45キロメートル以上55キロメートル未満 28,000円
55キロメートル以上 31,600円

引用:国税庁

この金額を超えた場合は、給与額に上乗せし所得税の源泉徴収が行われます。

通勤時に事故が起きたら責任はだれがとる?

出典:写真AC

クルマの運転には交通事故のリスクがつきものであり、電車通勤よりも事故に遭遇する確率は断然上がります。

そこで心配なのは、マイカー通勤時に交通事故を起こしてしまった場合、責任は自身にあるのか会社にあるのかという点です。

それには、『使用者責(民法七一五条)』と『運行供用者責任(自賠法三条)』が適応されます。

使用者責と運行供用者責任とは

使用者責とは、雇われている人にあたる『被用者』が雇用している事業主にあたる『使用者』の事業において第三者に加えた損害は、被用者だけでなく、その使用者も損害賠償責任を負うというものです。

そして運行供用者責任は、”自己のために自動車を運行の用に供していた者”とされ、その運行によって他人の生命、身体に損害を加えたときは、損害賠償責任を負うというもの。

たとえば、会社員が社用車で業務の中に交通事故を起こし、第三者に怪我を負わせてしまった場合、自己のために自動車を運行の用に供していたといえるため、社員だけでなく会社も損害賠償責任を負う必要があります。

では、通勤中や業務上でマイカーを使用したときはどのようになるのでしょうか。

マイカー通勤時の交通事故は労災保険がおりる?

通勤は勤務時間に入らないため、会社側は社員がマイカーで業務をしていたと認める事は少なく、会社に使用者責任や運行供用者責任は負わせにくいようです。

しかし、会社がマイカー通勤を容認し、ガソリン代の支給や駐車場の提供をしていれば、会社がマイカーを業務のために利用させていることが証明できるため、使用者責任と運行供用者責任が認められることになります。

ちなみに労災保険については、交通事故による通勤災害は業務災害ではないものの、労務の提供に必然的に伴うものなので、保険給付の対象です。

労災保険は、労働者が業務中または通勤途中に交通事故に遭遇した場合であれば、保険給付を受けることができるため、事故で自賠責保険や自動車保険を申請する前に、労災保険が適用されるかを会社に確認してください。

マイカーで営業回り中の事故は会社も責任となる

営業回りでマイカーを使用した際、もし事故になればどうなるのでしょうか?

これも、マイカーを社用で使用していることを会社が容認していた場合、会社の業務に従事したとみなし、社用車の使用とほぼ同等の扱いとなります。

そのため、原則的には使用者責任、運行供用者責任が認められると考えられるため、会社が責任を取り労災保険が適用されると考えられます。

駐車場の確保はどうしたらいい?

出典:写真AC

駐車場は、会社に十分な駐車スペースが用意されていれば、マイカー通勤での駐車場所に問題ありませんが、都心の企業が集中しているところは駐車場の用意が難しく、現状でクルマ通勤のビジネスマンが増えれば、壮絶な駐車場争奪戦が起こっていることでしょう。

そうなれば、月極で会社の近くに駐車場を見つけるのは至難の業。

月極に限らず、出回りで駐車スペースを探したり、普段はテレワークであっても会社へ行く必要のある日に終日駐車場を借りなければならないとき、なかなか見つからない場合もあります。

会社から駐車場代が出るにしても、一定時間までの料金が一律、かつ手ごろなところを探したいです。

そうなれば、行く前に予めスマートフォンやPCからWeb予約できるサービスが最適です。

例えば、『akippa』『タイムズのB』『三井リパークtoppi!』であれば、短時間から1日単位で予約可能です。

決済はクレジットカードで行い、領収書の発行もWeb上で可能なため会社へ経費として計上しやすいです。

まとめ

出典:写真AC

政府は出勤者を最低7割減をかかげ、オフィスワークの方のテレワークや時差通勤も徐々浸透してきました。

しかし、7割減にはまだまだ程遠く、コロナ感染の渦のなか、まだまだ多くの方が電車通勤をしています。

どうしても出勤しないといけないのであれば、マイカー通勤や同じ会社の社員同士が社用車の乗り合いという対策もできます。

社員のだれか一人が感染がきっかけになり会社内で集団感染すれば、会社の業務全体を一定期間停止ということにもなりかねません。

マイカー通勤や社用車での自動車通勤は、会社の経費が増すことや交通事故の恐れがあるにしても、社員の感染リスクを無くすために、今しないといけないことなのでしょう。