運転中にスマホを操作することはもちろん違反行為です。しかし電話やメールの着信があった場合、信号待ちのときに少しだけその内容を確認しても駄目なのでしょうか。実は、違反行為ではありません。今回は車の運転中、信号待ちで止まったときのスマホ操作について解説します。
車が“完全に停止”していれば違反にならない
運転中にスマホを操作することは飲酒運転と同様、ドライバーとして絶対にやってはいけない行為であり、車に乗る者としての“常識”と言っても過言ではありません。
しかし赤信号で停車したときに着信やメールを確認するために、信号待ちの間だけスマホを操作することは違反になるのか否か、疑問に思っている方も多いと思います。
「道路交通法」の第71条第5号の5「運転者の遵守事項」には、“自動車を運転するときは当該自動車が停止中を除き、携帯電話で通話をしたり画面に表示された画像を見続けたりしてはいけない”と書かれています。
信号待ちのときのスマホ操作が違反になるか否かを解くカギは、条文内の“自動車が停止中を除く”という記載です。
“停止中”とは、タイヤの回転が完全に止まった状態のこと。
信号待ちのときは車が完全に停止しているので、赤信号で停車中の間だけはスマホを操作しても良いという解釈ができるのです。
警察もこの条文に基づいて取締を行っているので、基本的には停車中のスマホ操作で違反切符を切られるということはありません。
しかし、信号待ちといえばすぐに車を動かさなければならないことも多いシチュエーション。
走行中にメールや通話の内容が気になって運転に集中できなければ、非常に危険です。
また先に述べた解釈はあくまで一般論であり、同じ条文でも法律は人によって解釈が違うものなので、取り締まる警察官によっては反則切符を切られるかもしれません。
自動運転車の場合はどうなるのか
2018年12月20日、警察庁から発表された「道路交通法改正試案」では、運転中のスマホ操作も含めた“ながら運転”に対する罰則を強化する旨が書かれています。
運転中にスマホを操作した場合、これまで“5万円以下の罰金”だった罰則は、“6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金”に変更され、ながら運転による事故を起こしたときの罰則も強化。
この試案には自動運転技術導入に対応する条文も書かれており、そこでは自動運転で車を走らせることを法律上の“運転”と位置づけ、その走行時の安全保持義務はドライバーにあるとしています。
とはいえ、スマホやカーナビの通話・操作・注視などに関しては、自動運転中であれば直ちに操作できる状況に限って認める方向で調整されているので、今後自動運転中にスマホを操作する人が出てくるかも知れません。
ただこちらの試案でも、車の走行中の安全確保はドライバーの義務と明記されており、警察庁が広く一般からの意見を取り入れて、今後変更される可能性もゼロではありません。
大切なのは交通事故を起こさないよう心掛けようとする、ドライバー自身のモラルです。
まとめ
今回は信号待ちのときにスマホを操作しても、違反にはならないことをお伝えしました。
道路交通法第71条第5号の5の条文を見ると、赤信号で停車した際のスマホ操作は違法ではないと解釈することが可能です。
しかし周囲とドライバー自身の安全を考えれば、やはり信号待ちで停車中のスマホ操作は、避けたほうが良い行為であることも明確。
停車中の一瞬の行いが、ドライバー自身と周囲の人の今後を大きく変えてしまう可能性も大いにあるのです。
違反になる・ならないに関わらず交通事故を起こさないためには、乗車中にスマホを操作する場合は、必ず路肩やほかの安全な場所に車を停めてから行うようにしてください。
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