新型コロナウィルスの感染拡大が始まり、自粛期間が長引くことでストレスが溜まるなか、気晴らしにドライブへ行きたいところですが、都道府県を跨ぐ移動を控えるよう要請が出ています。しかし、その目的は感染拡大の防止なはず。では、クルマの車内から出ないなら、ドライブはして良いのでしょうか。

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クルマから出なければソーシャルディスタンスが守れる!?

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「気晴らしにドライブでもいこうか!」と思っても、そうはいかない今のご時世。

新型コロナウィルスの感染拡大により、クルマ・バイク関連のイベントが軒並み中止に追い込まれ、クルマ好き・バイク好きが趣味を楽しめる機会が極端に減少しています。

「不要不急の外出自粛」や「Stay Home」は十分に分ってはいるけれど、クルマを運転するだけで車内から出なければ、ソーシャルディスタンスも守れるはずです。

しかし、不要不急の外出自粛や、都道府県をまたぐ移動を避けるようにという観点から考えると、ドライブは控えるべきなのでしょうか。

通勤・買い物・送り迎えならクルマ移動が3密を避ける

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個人向けカーリース『おトクにマイカー定額カモルくん』を運営するナイル株式会社は、新型コロナウィルスの感染拡大が国内で本格化し始めた2月から契約数が伸びています。

これは、対面接客なしでクルマが購入できることや、経済活動が停止している状況でも、頭金なしでカーライフを始められる契約形態に、ニーズが集中したと考えられます。

そこでナイル株式会社は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・兵庫県・福岡県在住で、車を所有しており、普段から利用している1,183人を対象に調査を行いました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されてから、クルマの利用頻度がどのように変わったかという質問には、19.6%が『増えた』、29.5%が『減った』、50.2%が『変わらない』と回答。

『増えた』という方が、どのような用途でクルマを利用しているかとの質問には、『買い物』が33%、『通勤・通学』が22%、『送り迎え』が22%、『レジャー』が11%、『避難』が8%、『その他』が3%でした。

徒歩や自転車での外出では他人との接触、公共交通機関を利用すれば3密(密閉・密接・密集)に遭遇するため、外部との接触を避けるために、意図的にクルマ利用する方が増えているようです。

また、テレワークの導入により、会社へ通勤する必要がない方が増えていますが、その一定数は通勤する必要があり、ソーシャルディスタンスを図るためにクルマの利用が増える傾向となっています。

多くのクルマ好きがドライブ自粛

通勤や買い物などによるクルマの利用頻度が増えている一方で、クルマ好きのほとんどがクルマに乗ることを自粛しているようです。

オークネットを運営する日本マイスター検定協会が、クルマ好き1,000人を対象にしたクルマの利用状況についてのアンケートを行った結果、84%がクルマによる外出を自粛していることが分かりました。

レジャー目的メインのドライバーに限定すれば、93.5%が外出を自粛し、利用頻度の変化については『利用しなくなった』が4%、『利用頻度が減った』が53%となっています。

また、テレワークが導入される前に、通勤・通学をメインにクルマを利用していた方のうち、52.5%が利用頻度が減ったと回答しています。

クルマを所有する多くの人が、気分転換にクルマに乗ることを自粛しているようです。

ドライブインで楽しめるイベントが豊富

WORLD CLUB DOME DRIVE-IN EDITION / 出典:https://www.worldclubdome.com/drive-in

新型コロナウイルスの感染拡大防止策を外出禁止レベルで実施する海外では、クルマに乗ったまま楽しめるイベントが多数考案され、開催されています。

ドライブインシアターが再ブーム

©2020 West Wind Drive-In & Public Market

アメリカでは、映画館の上映制限や外出禁止令が出るなかで、ドライブインシアターに注目が集まっています。

ドライブインシアターは、1950年代にアメリカ国内でブームとなり、その後に西ヨーロッパへ徐々に広まり、クルマ社会の象徴となりました。

しかし、1970年代には、入場料を払わずに隠れてタダ観する人が増えたことや、一部で屋外でのポルノ映画上映が問題視されたことで規制が厳しくなり、レンタルビデオ店が登場したこともあって、ドライブインシアターは衰退していきます。

しかし、今年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大により、クルマに乗ったまま映画を見ることができるドライブインシアターが大盛況!

ドライブインシアター全盛期を知らない世代も集まって、フロントガラス越しに見る大画面の映画を楽しんでいます。

史上初!?ドイツでドライブインフェス開催

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ドイツでは、クルマに乗ったまま参加できる音楽フェス『BigCityBeats WORLD CLUB DOME』が2020年4月30日に開催されました。

音楽フェスをドライブインで行ったのは、おそらくこれが世界初でしょう。

フェスイベントでは、ステージ上でのDJパフォーマンスだけではなく、ステージから花火や炎があがる演出がおこなわれ、参加者はクルマに乗ったまま大迫力のステージを楽しんでいました。

ちなみにドライブインフェスは次回の開催が、2020年5月20日に決定しており、ドライブインのイベントが今後増えていくのは時間の問題でしょう。

39県で緊急事態宣言解除!だけど都道府県を超えてはダメ

5月14日、政府は茨城県・石川県・岐阜県・愛知県・福岡県の特別警戒都道府県を含む39県で緊急事態宣言を解除すると発表。また、東京や大阪など、緊急事態宣言が継続される8都道府県についても、5月21日に再度解除できるかを判断するとしています。

しかし、全国知事会は通勤などを除き、都道府県をまたぐ移動を原則行わないことを呼びかけるよう政府に求める方針で、対立しているといっても過言ではありません。

自粛警察による過剰な嫌がらせ

最近になって、『自粛警察』という言葉を度々聞くようになりました。

これは、他県ナンバーのクルマや営業を続ける飲食店に対し、新型コロナの感染拡大の原因となるとして、嫌がらせをする人々のこと。

他県ナンバーのクルマの画像を撮って、誹謗中傷コメントと一緒にSNSに投稿したり、そのクルマのナンバーやドライバーの顔写真を隠さず個人情報をさらすなど、公開処刑の様相です。

また、他県ナンバーのクルマが走っていると、幅寄せやあおり運転をするなど、過剰ないやがらせ行動が目立っています。

コロナ対策はうつされる不安を感じさせないこと

©フリー素材のぱくたそ

緊急事態宣言が発令されてから、新型コロナウイルスの新規感染者が日に日に減っていますが、多くの人は”まだまだ安心はできない”と感じています。

なぜなら、緊急事態宣言が解除された後も新規感染者が出ており、一部地域では知らず知らずのうちに飛沫感染や接触感染によるクラスターが発生しています。

万全の対策をしていると思っていても、すべての人に感染するリスクはあり、感染の脅威に恐れる、不安な日々となりました。

そんな新型コロナウイルスへの真の対策は、自らの感染を防ぐことや人へうつさないことだけでなく、周りの人に感染させる不安を感じさせないことです。

まとめ

© Ministry of Health, Labour and Welfare,

結論は、まだドライブは控えたほうがよいでしょう。

今の世間がそうだからという見方もありますが、クルマから降りなかったとしても、都道府県をまたいで移動してきたナンバーが見られることで、周囲を走るドライバーに不安な思いをさせる恐れがあること、そして過剰行動を行う自粛警察に遭遇しないためです。

では、自らが住んでいる都道府県なら大丈夫かといわれれば、そうとも限りません。

緊急事態宣言が解除されたとしても、今なお日本のどこかで新規コロナウイルス感染者が出ているため、少なからず感染リスクは存在します。

そう考えると、不要不急の外出は避けるべきではないでしょうか。

日本でもアメリカやドイツのようなドライブインで楽しめるエンターテイメントがあればなぁ~と思いつつも、現在の日本では難しいでしょう。

ストレス解消のためのドライブは、新型コロナウイルスが終息するまで我慢し、今はドライブが可能になるまでのメンテナンス時期としてみてはいかがでしょうか。

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