FC3S型サバンナRX-7は、生産を終了してから28年が経過し、旧車の域に到達しています。さらに、ロータリーエンジンという特殊なエンジンが搭載されているため、今後FC3Sを購入する際は、どの部分に注意して選べばいいか、素人目では分かりません。そんな悩みを解消するため、FC3Sを購入する際は、どこに注意してチェックするべきか見ていきましょう。
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FC3S購入の注意点とは
今回ヤマトが訪れたのは、神奈川県相模原市に店舗を構える『R Magic』。
マツダ車を中心に、カスタムパーツの開発・販売や工整備、メンテナンスやカスタムをおこなっているショップです。
特に有名なのは、RX-7をベースとしたD1出場マシンや、筑波タイムアタックマシンなど。
RX-7やRX-8オーナーにとっては、非常に心強いロータリースペシャリストショップです。
車両の販売も行っている同ショップの代表である大原さんに、一般的な中古車店やディーラーでFC3Sを購入する場合の注意点を聞いてみました。
修復歴有りは仕方ない!しっかり直っているかが問題
FC3Sは約30年以上のクルマであるため、稼働可能な車両がどんどん減っているのが現状で、中古車市場でのタマ数は激減しています。
前オーナーが乱暴な運転をしていたり、修復歴有りの車両も目立つのが実情です。
FC3Sは修復歴が有っても、それなりの金額が必要となるため、修復歴の有無については割り切るしかありません。
問題は、補修をした箇所が、しっかり直されているかどうかです。
とは言っても、素人が車両を見て判断するのは非常に難しいのですが、目視で確認できる点はいくつもあります。
注目は、窓枠などゴムパッキンが劣化により剥がれかかっていないか。
ゴムパーツは純正パーツが新品で購入可能なため、すぐ直にせるのですが、ゴムが劣化しているだけでなく内部が錆びたせいでゴムパッキンが浮き上がってしまっているということもあり得ます。
そしてジャッキアップする際も、ジャッキアップポイントではない、アンダーカバーなどにドンっと当ててジャッキアップをしていると、アンダーカバーがバキバキになっている事も。
そのため、サイドシルを触って確認してみましょう。
内装パーツはまだまだ純正が販売されている
意外にも、FC3Sの純正パーツのいくつかは、いまだ販売されています。
FC3Sのエアコンルーバーやパワーウインドーのスイッチなどは、純正パーツが入手可能。
一方で、すでに欠品しているパーツもあるため、そういった場合は自力で直さなければなりません。
特にFC3Sで故障しやすいのはクラスタースイッチで、こちらは欠品パーツです。
FC3Sは右側がヘッドランプ、左側ワイパーのスイッチになっており、ヘッドランプ操作のうち『間欠』、『ロー』、『ハイ』のいずれかが、壊れていることがよくあります。
現車確認時には、車内のスイッチ類の動作確認は必須です。
部品も欠品しているため素人が修理するのは困難ですが、マンガ頭文字Dに登場したり、モータースポーツでも輝かしい成績を収めた名車であるため、DIYで直すマニアックな情報が、多くネットに上がっています。
また、FC3Sのオーナーズクラブに入れば、修復が難しい部品を直し方法や、代用できるパーツなどの情報交換ができるため、FC3Sオーナーは、こういったコミュニティへ積極的に参加することがおすすめです。
まだまだ修理可能!エンジンをかけて判別できるところとは
エンジンチェックで気を付けるべきは、『エアフロメーター』、『サクションパイプ』、『スロットルポジションセンサー』などです。
エアクリーナーが純正の場合、エンジンルームの左斜め下の部分にエアクリーナーボックスが配置されており、エアクリーナーが社外品に交換されていたとしても、エアフローレスではないクルマに関しては、エアクリーナーの直後にエアフローメーターが配置されています。
まず、このエアフロメーターが壊れやすいので要注意。
エアフロメーターの後ろからタービンまでは、サクションパイプと呼ばれる部品が装着されているのですが、FC3Sではサクションパイプは2分割されています。
このサクションパイプが割れて、破損してしまうことがあるのです。
サクションパイプに破損があると、そこから二次エアを吸ってしまい、エアフローメーターを通った後の空気の量が変わります。
そうなると、エアーフローメーターからECUへ空気量を伝達しているのに、二次エア吸い込みまたは空気の漏れにより、伝達した情報と空気量の整合が取れない事態が発生し、アイドリング不調を引き起こしてしまうのです。
エンジンをかけて確認することとは
このような故障はエンジンをかけてみることで、だいたいは、見分けることが可能です。
エンジンをかけて、まず確認することは以下の2点。
・セルを回してエンジンがかかるまでの時間
・かかる瞬間の元気の良さ
セルを回して、アクセルをあおらないと掛からないというのはNGで、アクセルに足をかけることなくエンジンがかかる事が鉄則です。
セルを回してからエンジンがかかるまでに時間がかかったり、異音が伴った場合は、プラグがかぶっているといったトラブルを抱えている可能性があります。
また、アイドリング時にタコメーターの指針が動いているような場合は、アイドリングが不安定で、エンジンが不調な可能性があります。
スロットルポジションセンターは青色がベスト
インタークーラーの下にあるスロットルポジションセンサーは、見せてもらった車両ではコードの被膜が青色でした。
この色は生産時期によって異なり、新車販売されていたときはグレーです。
しかし、FC3Sのスロットルポジションセンサーは故障が多く、これまで2度対策されて、1度目の対策品は黒、2度目の対策品は青色です。
現車を確認するとき、インタークーラーの下をのぞき込んでスロットルポジションセンサーの色を確認し、青色に変わっているものがベスト。
もし初期のグレーや黒であれば、購入後に必ず対策版の新品に交換すべきです。
インジェクターの根元を確認
燃焼室に燃料を噴射するインジェクターの根元には、『インシュレーター』と呼ばれるゴムパッキンが付いています。
これらはインシュレーターの劣化により、インジェクターとの間に隙間ができて空気漏れを起こす可能性も。そうなると、エンジンは不調となります。
エンジンルームを開けてもインシュレーターまでは確認できませんが、エンジンに不調があれば、確認箇所の一つとしてインシュレーターの劣化を疑ってみるべきです。
ロータリーエンジンは圧縮が一番重要
ロータリーエンジンは、圧縮が適正であることが番重要です。
言い換えれば、圧縮がありさえすれば直せる箇所が多数あります。
では、ロータリーエンジンの圧縮を調べるにはどうするかというと、専用のコンプレッションテスターが必要です。
コンプレッションテスターは一般ユーザーでも購入でき、価格は4~5万円。
FC3Sを販売する全てのお店が、販売前にコンプレッションテスターで圧縮を測定しているとは限らず、ロータリー専門店でなければ、圧縮を聞いても「わかりません」と答えてくることもあり得ます。
しかし、ロータリーエンジンの圧縮を無視しての購入は、リスク大。
コンプレッションテスターを持参して、圧縮を測定させてくださいと頼んでも、首を縦に振ってくれるお店は極稀でしょう。
そんな時、エンジンの圧縮をエンジン始動だけで見極める方法は、以下の2つです。
・圧縮がバラつきなく全体に低い場合はエンジンはかかるし、そんなに揺れない
・圧縮が高いところや低いところがあるバラツキがあるとエンジンが揺れる
圧縮に異常がある場合はエンジンの始動にバラつきがあり、ボンネットを開いてみると、稼働していエンジンが前後左右に振動していたり、車内のシフトノブが振動している場合は、圧縮が適正でないことが予想されます。
ロータリーエンジンの圧縮は、1ローターあたり3つの数値が出るため、RX-7だと2ローターで6つの数値が出ることになります。
そして圧縮の限界値は7kgで、6つのうち1か所でも7kg未満になるとオーバーホールが必要です。
また、3つの数値のうち一番高いところと一番低いところの差が1.5kg以上あると、故障と判定。
エンジンの不調によりエンジン本体の修理が必要となった場合は、フルメニューで150~200万円ぐらいかかるため、比較的安いFC3Sを購入する場合は、エンジンの圧縮値に要注意です。
まとめ
中古車両の見極め方は以下のとおりです。
・ガラスモールの樹脂パーツが浮いていないか。
・内装部品は新品で販売されるものが多数あるので、多少の破損があっても修理可能。
・一番気になるエンジンは、エンジンがかかるまでの時間、音、エンジン稼働のアイドリング、揺れを確認。
FC3Sはエンジンありきのクルマであるため、エンジンには特に注意してください。
R Magicでは、工場長が2日間かけて徹底的に車両をチェックし、『セブンドック』を実施します。
中古車を購入した場合はR Magicのセブンドックを受けることで、どこが良くないかを把握して修理できるので、FC3Sに長く乗ることが可能。
FC3Sを自らメンテナンスして乗り続けるのも良いですが、特殊なクルマだけに、購入前にR Magicのようなロータリーエンジンに強い専門店を探しておくべきでしょう。
R Magic(アールマジック)
住所:〒252-0244
神奈川県相模原市中央区田名3530-1
TEL:042-764-7077
FAX: 042-764-7078
営業時間:10:00~20:00
定休日:毎週水曜定休
ホームページ:http://www.rmagic.jp/
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